この項目では、頭文字を組み合わせた記号、およびルイ・ヴィトン社の製品について説明しています。その他の用法については「モノグラム (曖昧さ回避)」をご覧ください。
オランダ東インド会社のロゴ。オランダ語による社名 "Verenigde Oost-Indische Compagnie" の略称の "VOC" のモノグラムになっている。かつて、同社が建設したキャッスル・オブ・グッドホープの入り口に掲げられていたもの。
モノグラム(英語: monogram)とは、2つ以上の文字やその他の記号を重ね合わせたり、組み合わせたりして、1つの記号を形成した文様のことである。日本語で「組合せ文字」ともいう[1]:575 [2]。単に文字を並べただけのものとは区別される。モノグラムは、個人名や企業名の頭文字を組み合わせて作られることが多く、認知度の高いシンボルやロゴタイプとして使用されている。
なお、頭文字を元にしていないものは、正式には「サイファー」 (cypher) としてモノグラムと区別する(例: ロイヤル・サイファー
(英語版))[3]。モノグラムの最も古い使用例は、紀元前350年頃の硬貨である。最も古い例では、硬貨を発行したギリシャの都市名を表したもので、都市名の最初の2文字が多い。例えば、アカイアのモノグラムは Α(アルファ)と Χ(カイ)の文字を組み合わせたものだった[4]。
特にギルドが不正な取引を禁止していた時代に、芸術家や工芸家が絵画や彫刻、家具などにモノグラムを署名として使用していた。有名な例では、アルブレヒト・デューラーの "AD" がある。
クリストグラム詳細は「クリストグラム(英語版)」を参照カイ・ロー(英語版)のモノグラム
何世紀にもわたって、イエス・キリストの名前から作られたモノグラムが、キリスト教のシンボルとして使われてきた。これを「クリストグラム(英語版)」という。"IX"のクリストグラムは、「イエス・キリスト」という名前をギリシャ語で書いた Ιησο?? Χριστο? の頭文字から取られたものである。"IHS" のクリストグラムは、ギリシャ語のイエスの名前の最初の3文字を表している。
初期キリスト教の時代から使用されている最も重要なクリストグラムは、"Χριστο?" の最初の2文字を組み合わせたカイ・ロー(英語版)である。このシンボルは、ローマ皇帝コンスタンティヌス1世(在位306-337)がローマ帝国正規軍の紋章(ラバルム)としても使用した。
王室のモノグラム詳細は「ロイヤル・サイファー(英語版)」を参照カール大帝のモノグラム
シグナム・マヌス(英語版) (Signum manus) またはクリスモン (Chrismon) とは、メロヴィング朝から14世紀まで、フランク王国とその末裔の間で行われていた、文書などに個人を表す特殊なモノグラムやロイヤル・サイファー(英語版)で署名するという慣習のことである。
君主の名前のモノグラムは、王国の公的組織の記章の一部として、警察のバッジなどに使用されている。これは君主とのつながりを示すものである。ただし、イギリスの郵便ポスト(ピラー・ボックス(英語版))に刻まれているロイヤル・サイファーは、頭文字を組み合わせたものではないため、厳密にはモノグラムではない。
王室のモノグラムは硬貨に刻まれることが多く、その上には王冠が描かれていることが多い。過去に硬貨にモノグラムを採用した国には、ブルガリア、イギリス、ロシア、スウェーデン、ドイツなど多くの国がある。現在、デンマークの硬貨には女王マルグレーテ2世のモノグラムが、ノルウェーの1クローネ硬貨には国王ハーラル5世を意味する H5 のモノグラムが裏面に描かれている[5]。ユーロを使用している国の中で、ベルギーとモナコは王室のモノグラムを国の識別マークとして使用している[6]。