モデル_(職業)
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モデル(: model)とは、絵画彫刻写真などに題材を提供するために自身の身体の像(姿)を提供する仕事や、それをする人。
概要

絵画彫刻写真・映像(動画像)・CMショーなどの題材(や主題)として、自身の身体的像、姿を提供する仕事、またそれをする人。

モデルの仕事はほとんどが単発の仕事である(※)。単発の仕事をしている間、撮影の現場ではその人のことを「モデル」と呼ぶ。たとえば美術モデルの仕事も単発であるし、CMのモデルの仕事も単発である。(※)数少ない例外はキャンペーンモデルや雑誌の専属モデルの仕事くらいで、これはあくまで例外である。

モデルの仕事を経験する人でも、ほとんどの人は仕事の量はごくわずかである。アルバイト的に、数ヶ月に1度とか、月に1回?数回程度するだけである。必ずしも「本業」、主たる職業としていなくても、副業やアルバイト的にしていても、経歴の仕事欄に「モデル」と書きたがる人はいる。

単に「モデル」という場合に、どのようなモデルを指しているかは、専門分野によって、あるいはその言葉を使っている人の興味の範囲によって異なる。
たとえば、美術関係者(絵画関係者や彫刻関係者)や美術に関心が深い人々の間で単に「モデル」と言うと美術モデルを指しており、絵画関係者も彫刻関係者も、いちいち「美術モデル」とは言わない。単に「モデル」と言う。

たとえば高校生でも、美術関連の高校の生徒は、美術モデルを、単に「モデル」と言う。写真家や写真好きの人は、写真のモデルのことをいちいち「写真モデル」「ポートレートモデル」などとは言わず、単に「モデル」と言うし、服飾関係者やファッションに興味がある人々は「ファッションモデル」と言わず、短く「モデル」と言う傾向がある、といった具合である。

他にも各分野の例を挙げればきりがない。どんな領域でも、当の業界を指すための用語はいちいち言うのは省略し、短く単純化させる傾向がある。言わなくても明らかだからである。

俳優タレントなどは、演技や芸など内面的な特徴が重要視されるため、一般には職業欄には「モデル」とは書かないが、モデルの仕事の割合が(その人にとって)一定程度以上ある人は、末尾に「モデル」と書きくわえる場合もある。

身体全体の像を提供するモデルばかりでなく、特定の身体部位の像だけを提供するパーツモデルという仕事もある。これは主に手・足・目など体の特定部位の像だけを提供するモデル。

商業用写真、宣伝用写真を撮影する現場などでは「手タレ[注 1]」「足(脚)タレ」などと呼び分ける。CMなどでは複数人のパーツモデルが使われて、巧妙に部分部分のイメージをつなぎあわせて、実在しない、架空の、一連の身体的イメージ(あたかも一人であるかのようなイメージ)を作り出す、という場合もあるので、その場合、パーツモデルは一連のイメージのごく一部を担当する、という位置づけとなる。

他の仕事(※)で著名になった人が、その余波でモデルの仕事をすることもある。(※)たとえばアスリートとして有名になった人が、当該のスポーツ種目のスポーツ用品のモデルの仕事(特定のスポーツ用品を使用している姿を見せるモデルや、特定のスポーツウェアを着用している姿を見せるモデルの仕事など)をすることはある[1]

また本業が俳優の人の中でも特にテレビドラマに頻繁に出演する人は昭和・平成期などはテレビ情報誌などの「表示モデル」の仕事をすることは多かったが、現在では他にも何かのきっかけを得て単発でモデルの仕事をすることもある。たとえば俳優養成所出身で有名になった滝藤賢一は、普段からおしゃれな着こなしをしていることでも話題となり、モデルの仕事(某シューズメーカーのブランド・モデルの仕事)も舞い込んだ[2][3]
分類・種類
用途別のモデル分類
美術モデル詳細は「美術モデル」を参照

美術モデルは、Fine-art(ファインアート。美術、純粋芸術)のために姿を材料として提供する仕事。絵画彫刻などの題材や主題として姿を提供する仕事。歴史が最も長い。広義には、次に説明する芸術指向の写真等も含める。
絵画のモデル

絵画のために自分の姿を提供する仕事。

画家の注文に応じて、画家が望む衣装を着て、「ポーズ」(静止姿勢)をとり、誰かの「フリをする」。

19世紀などでは、絵画は立派な「媒体」でもあった。絵画に描かれた題材は、ヨーロッパでは、上流階級の人々の話題やゴシップのネタにもなった。

ヨーロッパの17世紀?18世紀などの絵画は、しばしば主題は聖書に含まれる物語などからとられていて、その場合、描かれるべき本人を画家は見ることはできないので、モデルを用いて、そのモデルに衣装などを着せて、物語の設定に合わせたポーズをとらせて、絵画を描いた。17世紀や18世紀のヨーロッパの画家の中でも大家は、大きなアトリエを構え、そこにさまざまな衣装類や小道具類も用意していた。当時のヨーロッパの絵画油絵)の制作のためのアトリエは、いうなれば現代の「写真スタジオ」のようでもあった。

クロッキーのモデルなど、かなり短い時間で済むモデルもあるが)油絵のモデルというのは、たいていは数時間?数日程度以上、同じポーズをとる必要があり、(画家にもよるが)長い場合は数週間以上に渡って同じポーズをとりつづける必要があった。その意味では、身体的にそれなりにつらい仕事である。@media all and (max-width:720px){.mw-parser-output .mod-gallery{width:100%!important}}.mw-parser-output .mod-gallery{display:table}.mw-parser-output .mod-gallery-default{background:transparent;margin-top:.3em}.mw-parser-output .mod-gallery-center{margin-left:auto;margin-right:auto}.mw-parser-output .mod-gallery-left{float:left;margin-right:1em}.mw-parser-output .mod-gallery-right{float:right}.mw-parser-output .mod-gallery-none{float:none}.mw-parser-output .mod-gallery-collapsible{width:100%}.mw-parser-output .mod-gallery .title,.mw-parser-output .mod-gallery .main,.mw-parser-output .mod-gallery .footer{display:table-row}.mw-parser-output .mod-gallery .title>div{display:table-cell;text-align:center;font-weight:bold}.mw-parser-output .mod-gallery .main>div{display:table-cell}.mw-parser-output .mod-gallery .gallery{line-height:1.35em}.mw-parser-output .mod-gallery .footer>div{display:table-cell;text-align:right;font-size:80%;line-height:1em}.mw-parser-output .mod-gallery .title>div *,.mw-parser-output .mod-gallery .footer>div *{overflow:visible}.mw-parser-output .mod-gallery .gallerybox img{background:none!important}.mw-parser-output .mod-gallery .bordered-images .thumb img{outline:solid #eaecf0 1px;border:none}.mw-parser-output .mod-gallery .whitebg .thumb{background:#fff!important}

17世紀のレンブラントの絵画、『夜警』のモデルとなった人々。決して、これだけ大人数の人々が同時にポーズをとったわけではない。画家は、ひとりひとりのモデルに個別にアトリエに来てもらって、それぞれに衣装を着せて、ポーズをとらせてはデッサンを行ったり、何日?何週間もの時間をかけて油絵の試作を描いたりし、後でそれらを合成・総合させる形であらためて別に1枚描き、それによって最終的に大きなサイズの油絵を仕上げた。

レオナルド・ダ・ビンチの『最後の晩餐』。新約聖書福音書に書かれている、イエス・キリストが(自分は十字架にかかると本当は知っていながら)弟子たちと最後の食事をとりつつ、大切なことを伝える場面を絵画にしたものである。中心の人物が「イエス・キリスト」(という設定)であるが、この絵画でイエス・キリストとしてポーズをとったモデルの男性は「Pietri Bandinelli」という名だと、判明している[4][注 2]

フェルメールの『真珠の耳飾りの少女』のモデルとなった少女。名前は知られていないがフェルメール家でお手伝いの仕事をしていた少女がフェルメールに頼まれてモデルとなることを引き受けたのかも知れない、と推測している人もいる。トレイシー・シュヴァリエの1999年の小説『真珠の耳飾りの少女』のモデル(小説のモデル)ともなった。

彫刻のモデル

彫刻モデルは、彫刻の制作のために身体像を提供する。

ミケランジェロの『ダビデ像』のモデルとなった男性の姿。(「ダビデ」とは聖書にも登場するイスラエルの王だが、(ミケランジェロは、無論、本物のダビデ王を見て彫刻を作ったわけではないが) モデルとなった男性の名前は知られていない。なおこの彫刻は(この像のサイズは現実の人間よりも大きくて、上下の比率も現実ばなれしていて)モデルとなった人の身体をありのままの比率で再現しているわけではない、[注 3]と言われている。

フランスの彫刻家マイヨールによる、「Torso of Venus ヴィーナスのトルソー」。マイヨールは、ひとりの女性をモデルとしてこうしたブロンズ像を作り出したわけではない、と言う[5]。(もちろん、モデルたちをアトリエに呼んでさまざまな作業もするが)モデルの肉体そのもののままの形で彫刻を作るのではなく、モデルの肉体は一種のモチーフとして使って、こうしたブロンズ像を生みだしている[5]

写真のモデルと 映像モデル.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}


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