この項目「ラザフォード散乱」は翻訳されたばかりのものです。不自然あるいは曖昧な表現などが含まれる可能性があり、このままでは読みづらいかもしれません。(原文:Rutherford scattering
)ラザフォード散乱(ラザフォードさんらん、英: Rutherford scattering)とは、クーロン相互作用による荷電粒子間の弾性散乱を言う。1911年、アーネスト・ラザフォードにより説明された物理現象であり[1]、ボーア模型の先駆けとなったラザフォードの惑星型原子模型の発展につながった。現在では、ラザフォード後方散乱分光という元素組成分析手法に利用されている。ラザフォード散乱は、静電気力(クーロン力)のみに依存し、粒子間の最接近距離はクーロンポテンシャルのみにより決定されるため、初めはクーロン散乱と呼ばれた。古典的なアルファ粒子の金原子核によるラザフォード散乱においては、散乱された後の粒子の持つエネルギーと速度が散乱前と変わらないので、「弾性散乱」の例といえる。 1908年から1910年にかけてと1913年の4度、ハンス・ガイガーとアーネスト・マースデンが、金属箔にアルファ線を照射するガイガー・マースデンの実験をラザフォードの指導の下で行っていた時、2度目の実験の際に初めて発見された[2][3][4][5][注 1]。実験当時、原子はJ. J. トムソンの提唱した、負電荷(ブドウ)が正電荷を帯びた球体(パン)にちりばめられたブドウパン模型のように理解されていた。もしこの理解が正しければ、「パン」部分は現在のモデルにおいて正電荷が集中している原子核よりも大きく拡がっており、そんなに大きなクーロン力を及ぼすことはできず、アルファ粒子は小さな角度だけ偏向するに留まるはずだった。 しかし、ほとんどのアルファ粒子はほぼ直進するにも関らず8000個に1つほどのアルファ粒子はとても大きな角度(90°超)の偏向されるという興味深い結果が得られた。このことから、ラザフォードは質量の大部分が小さな、正電荷を帯びた領域(核・中心電荷)を電子が取り囲んでいるという結論に達した。正に帯電したアルファ粒子が十分に核に接近した場合にのみ、大きな角度の偏向を起こせるだけの強い斥力を受ける。核のサイズの小ささが反跳するアルファ粒子の数が少ないことを説明できる。ラザフォードは、後述の方法を用いて、核は 10?14 m よりも小さいことを示した[注 2]。 ラザフォードはその後、アルファ線の水素原子核(陽子)による散乱時に起こる非弾性散乱も解析している。この現象はラザフォードにより初めて観測されたにもかかわらず、ラザフォード散乱とは呼ばれない。このような過程においては、非クーロン力が影響を持ちはじめる。このような力、そして軽い標的から散乱粒子が得るエネルギーが根本的に散乱結果を変化させ、これにより標的の情報が得られる。1960年代には、このような過程を用いる深部非弾性散乱法により原子核の内部が調査された。 中心力により相互作用する粒子の運動方程式から、散乱断面積を導出することができる。一般に、中心力により相互作用する二粒子は重心の運動と粒子同士の相対運動に分解することができる。ガイガー・マースデンの実験の場合のように、重い核により散乱される軽いアルファ粒子の場合、換算質量は基本的にアルファ粒子の質量となり、核は基本的に実験室系において静止することになる。 ビネ方程式に代入すると、次の飛跡方程式が得られる。 d 2 u d θ 2 + u = − Z 1 Z 2 e 2 4 π ε 0 m v 0 2 b 2 = − κ {\displaystyle {\frac {\mathrm {d} ^{2}u}{\mathrm {d} \theta ^{2}}}+u=-{\frac {Z_{1}Z_{2}e^{2}}{4\pi \varepsilon _{0}mv_{0}^{2}b^{2}}}=-\kappa } ここで、u = .mw-parser-output .sfrac{white-space:nowrap}.mw-parser-output .sfrac.tion,.mw-parser-output .sfrac .tion{display:inline-block;vertical-align:-0.5em;font-size:85%;text-align:center}.mw-parser-output .sfrac .num,.mw-parser-output .sfrac .den{display:block;line-height:1em;margin:0 0.1em}.mw-parser-output .sfrac .den{border-top:1px solid}.mw-parser-output .sr-only{border:0;clip:rect(0,0,0,0);height:1px;margin:-1px;overflow:hidden;padding:0;position:absolute;width:1px}1/r であり、v0 は無限遠における速さ、b は衝突径数である。 上記の微分方程式の一般解は以下のように得られる。 u = u 0 cos ( θ − θ 0 ) − κ {\displaystyle u=u_{0}\cos(\theta -\theta _{0})-\kappa } これを r を用いて通常の極方程式に書き直せば、 r = 1 u 0 cos ( θ − θ 0 ) − κ = − κ − 1 1 − u 0 κ − 1 cos ( θ − θ 0 ) {\displaystyle {\begin{aligned}r&={\frac {1}{u_{0}\cos(\theta -\theta _{0})-\kappa }}\\&={\frac {-\kappa ^{-1}}{1-u_{0}\kappa ^{-1}\cos(\theta -\theta _{0})}}\end{aligned}}} となり、これは離心率 e = u0κ−1 の円錐曲線を表わす極方程式である。散乱問題では粒子は二つの漸近線を持つので、散乱粒子の軌道は双曲線となる。 入射時の漸近線から初期条件は以下のように課される。 u → 0 , r sin θ → b ( θ → π ) {\displaystyle u\to 0,~r\sin \theta \to b~(\theta \to \pi )} ここで、 u → 0 {\displaystyle u\to 0} より u 0 cos ( θ − θ 0 ) = κ {\displaystyle u_{0}\cos(\theta -\theta _{0})=\kappa } また、 d u d θ = − r ˙ r 2 θ ˙ → − 1 b {\displaystyle {\frac {\mathrm {d} u}{\mathrm {d} \theta }}=-{\frac {\dot {r}}{r^{2}{\dot {\theta }}}}\to -{\frac {1}{b}}} より u 0 sin ( θ − θ 0 ) = 1 b {\displaystyle u_{0}\sin(\theta -\theta _{0})={\frac {1}{b}}} であるので θ 0 {\displaystyle \theta _{0}} は θ 0 = π 2 + arctan b κ {\displaystyle \theta _{0}={\frac {\pi }{2}}+\arctan b\kappa }
概要
導出