モスラ
[Wikipedia|▼Menu]
.mw-parser-output .hatnote{margin:0.5em 0;padding:3px 2em;background-color:transparent;border-bottom:1px solid #a2a9b1;font-size:90%}

「モスラ」のその他の用法については「モスラ (曖昧さ回避)」をご覧ください。

モスラ
MOTHRA[出典 1]

監督

本多猪四郎(監督)

円谷英二(特技監督)

脚本関沢新一
原作

中村真一郎

福永武彦

堀田善衛

製作田中友幸
出演者

フランキー堺

香川京子

小泉博

ザ・ピーナッツ

ジェリー伊藤

田山雅充

河津清三郎

志村喬

上原謙

音楽古関裕而
撮影

小泉一(本編)

有川貞昌(特撮)

編集平一二
製作会社東宝[出典 2][注釈 1]
配給東宝[6][8][注釈 1]
公開 1961年7月30日[出典 3]
上映時間101分[出典 4]
製作国 日本
言語日本語
次作モスラ対ゴジラ
テンプレートを表示

『モスラ』は、1961年昭和36年)7月30日に公開された、東宝製作の怪獣映画[11][13]。およびそれに登場する架空の怪獣の名前。日本初のカラー、「東宝スコープ」(ワイド・スクリーン)の怪獣映画である[出典 5]。多元磁気立体音響[19]。同時上映は『アワモリ君売出す[出典 6]
概要

東宝がゴジララドンに続く怪獣キャラクターとして精力を注いだ、構想3年、制作費2億円(当時)、撮影日数200日をかけた大作特撮映画[出典 7]。本作品で初めて登場した怪獣モスラは、その後も多くの作品で活躍し、先出の2怪獣とならび“東宝三大怪獣”と称される。

モスラは、従来の怪獣と異なり最初から善玉に近い存在として描かれており、小美人の存在もあわせ女性的なイメージが取り入れられている[22][21]。当時の宣材パンフレットには、フェミニズム先住民問題がテーマとして掲げられている[23]。小美人役には、当時のアイドルデュオ、ザ・ピーナッツを起用[18][21]。また、東宝特撮では初めて人間の悪人が登場する[22][3]。物語の結末も怪獣を倒さずに大団円を迎えるなど、特撮映画がファミリームービー化する転換点となった作品とされる[24]

安保闘争の翌年の作品で、当初は世界同時公開が予定されていたこともあり[注釈 2]、ロリシカ[注釈 3]として描かれた米国との関係や、サンフランシスコ講和条約で日本が独立を回復したにもかかわらず、外国人の犯罪捜査や出入国管理が相変わらず在日米軍主導で行われていること、モスラがわざわざ横田基地を通ることなど、当時の日本の政治状況を反映した描写が目立つ。

公開時、東宝撮影所の食堂には、ロールパンをモスラの幼虫、ゆで卵をモスラの卵に見立てた洋食の「モスラランチ」が登場し[29]、本編監督の本多猪四郎と特技監督の円谷英二がこれを試食する写真が撮影されるなど、話題となっている[30][17]。また、バヤリースが企業タイアップしている。

東宝プロデューサーの田中友幸は、本作品のヒットをきっかけに「ゴジラ」を復活させようという意見が東宝社内で挙がり、『キングコング対ゴジラ』の製作へ繋がっていったと語っている[31]。また、本作品の舞台であるインファント島を皮切りに、1960年代の東宝特撮では南海の孤島が登場する作品が多くなった[22]
ストーリー

台風により日本の貨物船第二玄洋丸が座礁沈没する。乗組員はロリシカ国の水爆実験によって放射能に汚染されたインファント島に漂着し、後に救助されたが、不思議なことに放射線障害が見られなかった。スクープ取材のため、乗組員たちが収容された病院に潜入した日東新聞記者の福田善一郎は、カメラマンである花村ミチともども原田博士に注意されながらも、原水爆実験場であるはずのインファント島に原住民がいることを知る。

当初、ロリシカ国は原住民の存在自体を否定したが、急遽日ロ合同調査隊の派遣を決定。福田は調査団員の言語学者である中條信一と接触する。インファント島調査隊の見送りが盛大に行われる中、福田は調査団の船に無断侵入する。記者活動を行わないことを条件に臨時の警備員としての参加を認められるが、ロリシカ国側事務局長のクラーク・ネルソンは、参加する科学者たちの収集資料のすべての提出を求めたりと、科学調査隊としては極めて不審な行動をとる人物だった。

インファント島に上陸した調査隊の前に現れたのは、放射能汚染された島の中心部に広がる緑の森だった。奇妙な植物群の中に謎の石碑を発見し、記録をとった中條は巨大な吸血植物に絡め捕られるが、その窮地を福田によって小美人と命名された双子の妖精のような女性に助けられる。ネルソンは小美人たちを「資料」として捕らえたが、彼らを守りインファント島で平和に暮らす原住民の存在を知った調査隊は小美人たちを解放する。誰が言うとなく緘口令が敷かれ、帰国した調査隊は日本側・ロリシカ側ともに誰一人島の秘密を語ることなく解散した。

その後、中條の自宅を訪れた福田はネルソンを話題にする。ロリシカ側代表のラーフ博士の手紙によると、インファント島調査隊はネルソンが運動し、資金を提供したものだった。その正体は国際古美術ブローカーではあるまいか、と福田が疑念を口にする。一方、中條は島で発見した石碑の碑文の解読を見せるが、「モスラ…」という語が意味するものは謎のままだった。

その頃、ネルソンは直属の部下を率いてインファント島を再訪していた。彼の目的は小美人そのものであった。特徴的なサイレンの音に姿を現した小美人たちをそのまま誘拐し、助けようとした原住民に容赦なく発砲する。石を鳴らして相手を威嚇するしか術のない彼らは次々に倒れていくが、ネルソンたちが去った後で洞窟に崩れ落ちた老人が祈るように「モスラ…」とつぶやく。その祈りに応えるかのように、洞窟の奥の祭壇が崩れ落ち、虹色の巨卵が出現した。

天野貞勝編集長により、東京で評判になっていた「妖精ショー」の主催者があのネルソンであることを知った福田や中條、花村らは、興行師であったネルソンによって小美人たちが囚われの身となったことを知り、抗議に赴く。観客として「妖精ショー」を見た彼らは、意味は分からないが印象的な小美人たちの歌声の中の「モスラ」という言葉に魅かれる。小美人たちの歌声は単なる歌ではなく、インファント島の守護神モスラの再生=誕生を促す祈りが込められていた。同日同刻、はるか異国の小美人たちの歌声にシンクロして、インファント島でも原住民たちの儀式が最高潮に達しようとしていた。そして虹色の卵を破り、モスラが孵化する。

インファント島から東京に向かう洋上に姿を現したモスラは超巨大なイモムシ状の怪物だった。防衛隊の洋上爆撃のナパーム弾で炎上した海にモスラは姿を消す。勝利を確信し、祝杯すら挙げていたネルソンに福田は憤り、原田は「死骸が確認されたわけじゃない」と皮肉を吐く。その時、東京近郊の第三ダム(劇中の地図に奥多摩湖と表記されている)[32]に異変が発生したとの知らせが入る。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:271 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef