メーデイア
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この項目では、ギリシア神話に登場する王女について説明しています。競走馬については「メーデイア (競走馬)」をご覧ください。
イーヴリン・ド・モーガンの1889年の絵画『メーデイア』。バーケンヘッド、ウィリアムソン美術博物館(英語版)所蔵。

メーデイア(古希: Μ?δεια, M?deia)は、ギリシア神話に登場するコルキス(現在のグルジア西部)の王女である。イアーソーン率いるアルゴナウタイの冒険を成功に導いたとされる。長母音を省略してメデイアとも表記される。
概要

太陽神ヘーリオスの孫であり、魔女キルケーの姪にあたる[1]。すでにヘーシオドスの『神統記』に名前が現れており、コルキスの王アイエーテースオーケアノスの娘エイデュイア(イデュイア)の娘で[2]アポロドーロスによればカルキオペー[3]アプシュルトスという兄弟がいたが[4]ロドスのアポローニオスはアプシュルトスを異母兄としている[5]。後代の説ではタウリケー王ペルセースの娘ヘカテーとアイエーテースの娘で、キルケー、アイギアレウスと兄弟とするものもある[1][6]。イアーソーンとの間にメーデイオス[7]、あるいはメルメロスペレース[8][9][10][11]、あるいは双生児テッサロスとアルキメネース、ティーサンドロスを生んだ[12]。またアテーナイアイゲウスとの間にメードスを生んだという[8][13][14][15][16][17]

ヘーシオドスはメーデイアを《眼輝く乙女》と呼んでおり[18]、ロドスのアポローニオスはメーデイアやキルケーがヘーリオスの子孫の証である黄金色の光を発する輝く瞳を持つとしている[19][20][21][22]。ヘカテー神殿に仕える巫女であり[22][23]、ヘカテーの魔術に長けていた。その名は「慮る、統治する女性」を意味し、本来はコリントスで崇められた主女神だったと考えられている[24]
メーデイアの魔法クラテールに描かれたメーデイア。クリーブランド美術館所蔵。

ロドスのアポローニオスによると、メーデイアは女神ヘカテーからあらゆる魔法の薬草とその扱い方を教わっており、彼女が薬草を用いて行う魔法は激しく燃える炎の勢いを和らげ、川の流れを堰き止め、星々や月の運行を妨げることが出来た[25]。そしてメーデイアは良からぬ研究をするたびに、の女神セレーネーを恋の魔法でエンデュミオーンのいる地上に引き下ろし、夜空から月明かりを消し去ったという[26]。また冥府の住人を呼び出したり[27]、幻を見せることもお手の物だった[28][29][30][31]シケリアのディオドーロスも、メーデイア自身が研究して習得した薬草学薬学の知識に加えて、母ヘカテーや姉キルケーが得た知識も等しく学んでいたとしている[32]

メーデイアの薬草の知識の中でも特筆されているのはプロメーテイオンと呼ばれる薬草である。この薬草はカウカーソスの山頂に縛られたプロメーテウスが不死身の大鷲に肝臓を食われた際に、大地に飛び散ったイーコールから生まれたもので[33]、この薬草から作った魔法の薬を真夜中にヘカテーに供儀した後、身体や武器・盾に塗りつけると、1日の間だけ刃や火から身を護り、無双の力を得ることが出来た[34][35][36]。ただし供儀の最中にヘカテーに対して礼を失するとその限りではない。供儀においては1人で黒衣をまとい、円形の穴を掘り、その中で雄の屠殺した後、穴のそばに積み上げた薪の山に置いて火をつけ、ヘカテーに捧げる。さらに蜂蜜を注いで女神を慰撫しつつ加護を祈願する。するとヘカテーが供物を受け取りに現れるので、薪の山から戻って来る。その際に女神の足音や地下のたちの鳴き声が聞こえても決して後ろを振り返ってはならない。さもなくば努力が水泡に帰すだけでなく、無事に帰ってこれないとメーデイアは語っている[35]
眠りの魔法メーデイアが眠りの魔法に用いたという杜松の枝。

またメーデイアは眠りの魔法にも優れていた。ロドスのアポローニオスはメーデイアが金羊毛を守護する竜を眠らせた手順を次のように語っている。まず呪文を唱えて眠りの神ヒュプノスに助力を乞い、ヘカテーに加護を祈る。すると呪文の力で竜は力を緩め警戒を解いたが、まだ眠らせることは出来なかったので、切り取ったばかりの杜松の枝を薬草の汁に浸し、魔法の秘薬を直接竜の眼にかけて眠らせ、最後に竜の頭に薬を塗った。こうしてイアーソーンは金羊毛を手に入れることができた[37]。一方、オウィディウスはまず見たものを忘却させる効果のある薬草を竜にかけた後、眠りをもたらす呪文を唱えたとしている。この呪文には荒波や激流を鎮める効果もあった[38]
若返りの魔法若返りの魔法を施すメーデイア。

メーデイアの最も有名な魔法は老人を若返らせる魔法である。オウィディウスによれば、それは次のようなものであった。まず満月の夜に、星々と月、ヘカテー、薬草をもたらす大地をはじめとする諸神に祈りをささげた後に有翼の竜の戦車に乗って各々の地方で薬草を採取する。


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