メーストラー
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ヤン・ステーンの『娘メストラを売るエリュシクトン』。1650年と1660年の間。アムステルダム国立美術館所蔵。

メーストラー(古希: Μ?στρα, M?str?[1])あるいはムネーストラー(Mn?str?[2])は、ギリシア神話の女性である。長音を省略してメストラ、ムネストラとも表記される。テッサリアー地方の王エリュシクトーンの娘[3]。エリュシクトーンはアイトーンの名前でも呼ばれたため[3][4][5]、しばしばアイトーンの娘とされた[6][7]

メーストラーは魔法に長けた女性で、様々な動物に変身する能力を持っていた[3]オウィディウスの『変身物語』などによると彼女にその力を授けたのはポセイドーンである[7][8]。またポセイドーンに愛され、コス島の王エウリュピュロスを生んだとも伝えられている[9]アウトリュコスの妻になったという説もある[8]
神話

メーストラーの父エリュシクトーンは傲慢な人物で、デーメーテールの聖森の神聖な樫の巨木を切り倒した[3][8]。そのためエリュシクトーンはデーメーテールに罰せられ、決して癒えることがない激しい飢えを送られた。エリュシクトーンは飢えを癒すために大食し、先祖から受け継がれてきた財産を瞬く間に食いつぶし、娘のメーストラーをも売り飛ばした。彼女は人買いの男に連れて行かれるとき、ポセイドーンに助けを求めた。するとポセイドーンはメーストラーに変身する力を与えたので、メーストラーは別の人間に変身して逃げることができた。これを知ったエリュシクトーンは何度も娘を売り飛ばして食料を買う金を手に入れ、そのたびにメーストラーは様々な動物に変身して逃げ帰り、父親を助けた[8]ヘーシオドスの『名婦列伝』によると、父娘は息子グラウコスの花嫁にしようと考えたシーシュポスからも莫大な婚資を騙し取った。シーシュポスは用心のためにメーストラーを縛り、そのうえ見張りもつけて、彼女が逃げられないようにした。しかしメーストラーは別の動物に変身すると、容易に縄を抜け出して逃亡した。その後、メーストラーはポセイドーンによってコス島に連れ去られ、エウリュピュロスを生んだのち、父親を助けるために帰国した[9]。しかし、こうしたメーストラーの献身の甲斐もなく、エリュシクトーンの飢えはさらにひどくなり、ついには自分の指や手足を食らって死んだという[8]
系図

      アイオロス エナレテー   ゼウス エウリュメドゥーサ 
    
                            
            
ポセイドーン カナケー       ペイシディケー ミュルミドーン   ニュクテウス 
    
                                  
                          
     ホプレウス ニーレウス トリオプス ヒスキュラ エポーペウス アンティオペー ゼウス 
     
                                        
                     
アローエウス イーピメデイア ポセイドーン ポルバース エリュシクトーン     ゼートス アムピーオーン 
    
                         

  パンクラティス アローアダイ       メーストラー ポセイドーン 
  
                        


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