メンター_(人工衛星)
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発展型オリオン(メンター)
衛星の典型的な諸元
( メンター5 (USA-223) )
メンター5 (USA-223, NROL-32, ORION 7)のミッション・パッチ。プロビデンスの目がモチーフである。
所属アメリカ国家偵察局 (NRO)
主製造業者不明
衛星バス発展型オリオン(メンター)
任務シギント (電子諜報)
打上げ日時2010年11月21日, 22:58 UTC
輸送ロケットデルタ IV Heavy D351
打上げ場所ケープカナベラル空軍基地 SLC-37B
COSPAR ID2010-063A
SATCAT37232
軌道要素
参照座標地球周回軌道
軌道静止軌道
軌道傾斜角5.09°
遠点高度35985 km
近点高度35601 km
軌道周期23.93 時間
静止経度東経 100.9°[1]
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メンター5 (USA-223, NROL-32, ORION 7)打上げ用デルタIV Heavy ロケットエドワード・スノーデンのリーク資料(NSA SIDToday January 2009)中にあるメンター4 (USA-202)のイメージイラスト。説明文中のMHSとはスパイ衛星運用局の英空軍メンウィズヒル局を表す略号。[2]

メンター(英:Mentor)は、静止軌道上からシギント(信号諜報)活動を行っているアメリカ合衆国の現役の偵察衛星(スパイ衛星)のシリーズである。アメリカ国家安全保障局 (National Security Agency:NSA)と中央情報局 (Central Intelligence Agency:CIA)の協力を得て開発され、実際の運用は アメリカ国家偵察局 (National Reconnaissance Office:NRO) が行っている[2]

民間の軍事アナリストやアマチュア観測者達は、このシリーズに属する衛星は、地上間の通信を直接衛星で傍受するOVERHEADと呼ばれる諜報活動を行っており、直径100mを超える巨大な受信アンテナを有していると考えている[2]
名称

このシリーズに属すると思われる衛星の正式名称は米国政府から公表されたことはなく、メンターという名称は、何らかの漏れ情報、伝聞情報に基づいて民間の軍事アナリストやアマチュア観測者達が便宜的につけた呼称である。軍事アナリストからは「発展型オリオン」(Advanced Orion) と呼ばれる場合もある。

2013年8月30日にワシントン・ポスト紙は、エドワード・スノーデンがリークした資料の中に含まれていた米国政府の諜報プログラムの2013会計年度予算の米国議会への予算説明書 (National Intelligence Program - FY 2013 Congressional Budget Justification) から、今まで謎に包まれていた米国の諜報活動に関する新たな事実が判明したと報じた[3]。この資料の中には複数のスパイ衛星の名称が記述されており、メンター衛星に該当するスパイ衛星の正式名称は ORIONである可能性が高くなった[4][5]

特にこの資料中の予算一覧表の高高度シギント衛星の項(p167)では、「ORION 7」という名称の衛星の予算は2011会計年度で終了しているが、これは2011会計年度(2010年10月から2011年9月)中に打上げが行われたことを意味すると推定される。メンター5は2010年11月21日に打上げられており、メンター5がORION 7に該当すると考えれば辻褄が合うと思われる。なお、このリーク資料の一部はCryptomeで閲覧可能である[6]
第1世代衛星

メンターはアメリカ中央情報局 (CIA) からの資金供給で開発され、1995年から2003年までに3基がケープカナベラル空軍基地(Cape Canaveral AFS、CCAFS:フロリダ州ケープカナベラル)からタイタンIV-AまたはタイタンIV-Bロケットを使用して打上げられ、上段に追加されたセントールロケットによって静止軌道に投入された(この3基の衛星を便宜的に第1世代衛星と呼ぶことにする)。

これらの衛星は静止衛星軌道で地上からの電波放射を収集するシギント衛星であり、より古いマグナム/オリオン衛星網の代替を意図したものであったと考えられる。

軍事ウォッチャー達は、タイタンIV-A または タイタンIV-B / セントールロケットの静止軌道への衛星投入能力から考えて、衛星の質量は 4,700 kg から 5,700 kg 程度であり、直径100m程度の非常に大きな受信アンテナを持つと推測している[7]。この巨大な受信アンテナは細い金属製ワイヤーの網でできており、打ち上げ時は折りたたまれて、衛星本体とともにフェアリングに収納され、宇宙空間で展開される[8][9]

これらの衛星の任務と能力は高度な軍事機密であり、一切公表されていない。同様な任務をもった初期の衛星である Rhyolite/Aquacade シリーズはTRW社によって製造されたことが明らかにされているが、メンターの製造者は明らかにされていない(ノースロップ・グラマン・スペース・テクノロジー社ではないかとの情報がある)[10][11]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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