メモリースティック
[Wikipedia|▼Menu]
.mw-parser-output .hatnote{margin:0.5em 0;padding:3px 2em;background-color:transparent;border-bottom:1px solid #a2a9b1;font-size:90%}

この項目では、ソニーが提唱したメモリーカードの規格・製品群について説明しています。一般名詞としてのメモリーカードについては「メモリーカード」をご覧ください。
各種メモリースティック製品。上から標準サイズ、Duoサイズ、マイクロサイズ。

メモリースティック (Memory Stick) は、かつてソニー製を中心とするデジタルカメラデジタルオーディオプレーヤー携帯電話携帯ゲーム機などの記録媒体として利用されていたフラッシュメモリを用いた小型メモリーカード、およびその関連規格・製品群の総称である。省略して「メモステ」「MS」などとも呼ばれる。1997年に発表されたが、すぐに競合規格であるSDメモリーカードに後塵を拝するようになった。
概要

メモリースティックは1997年7月17日ソニーから発表された。ソニーのVAIOセンター、富士通などによる共同開発で、アイワ(初代法人)、オリンパスカシオ計算機三洋電機シャープソニーが発表時から協賛していた[1]

発表当時、既にメモリーカード市場ではコンパクトフラッシュスマートメディアなどがシェアを争っていたが、PC周辺機器での使用を前提として開発されたそれらの規格と違い、メモリースティックはさまざまなユーザーが利用することを想定した家電寄りのユニバーサルデザイン的な設計思想が特徴である。「メモリースティック」という規格名は、平易な単語で構成することで非英語話者でも理解しやすいよう試みたもの。

メモリースティックには、他のメモリーカード規格と同様にいくつかのバリエーションがある。まず、電気的仕様の違いから従来型「メモリースティック」系と上位規格「メモリースティック PRO」系に大別される。PRO規格は従来型規格の上位互換となっており、PRO機器では従来型メディアが利用できるが、一方で従来型規格の機器ではPROメディアは利用できない。また、メモリースティックPROにはさらなる拡張規格として、転送速度を強化したメモリースティック PRO-HGと、最大記録容量を強化したメモリースティックXCがある。

次に、物理サイズの違いから標準サイズとDuoサイズ、マイクロサイズの3種類がある。小型タイプのメディアは簡素な構造のアダプタを介することで、より大きいメディアに対応した機器で利用することができる。ただ、機器の小型化に伴って標準サイズのメディアはほとんど利用されなくなっており、現在は実質的にDuoサイズとマイクロサイズのみとなっている。

なお、初期のメモリースティックでは、著作権保護技術MagicGate』に対応する製品と対応しない製品に分かれていたが、現在はMagicGate機能標準搭載で統一されている。

メモリースティック、メモリースティックPROの比較メモリースティック系メモリースティックPRO系
拡張規格なし標準HGXCXC-HG
標準サイズメモリースティックメモリースティックPROなしなしなし
DuoサイズメモリースティックDuoメモリースティックPRO DuoメモリースティックPRO-HG DuoメモリースティックXC DuoメモリースティックXC-HG Duo
マイクロサイズなしメモリースティック マイクロメモリースティック HG マイクロメモリースティックXC マイクロメモリースティックXC-HG マイクロ
MagicGate機能一部対応[2]全モデル対応
最大記録容量128MB×232GB2TB
最大転送速度160Mbps(20MB/s)480Mbps(60MB/s)160Mbps(20MB/s)480Mbps(60MB/s)
最低保証速度なし15Mbps(1.875MB/s)120Mbps(15MB/s)15Mbps(1.875MB/s)120Mbps(15MB/s)

メモリースティック
概要(メモリースティック)メモリースティック

メモリースティック (Memory Stick) は、メモリースティック開発表明と同時に発表された、最初期の標準規格である。総称としての広義の「メモリースティック」と区別するため「青メモリースティック」「青メモステ」などとも呼ばれる。本項では「従来型メモリースティック」と表記している。

外形寸法は21.5mm×50mm×2.8mmで、長さは単3乾電池と同じに設定されている。ユニバーサルデザイン的な設計思想にもとづき、扱いやすさを考えてこのサイズ・形状にされた。メディア片面の仕上げをザラザラとした手触りにすることで、メディアを見なくても裏表が判断できるような工夫がなされ、また人為的な誤消去を防ぐためミニディスクフロッピーディスクのような誤消去防止スイッチが設けられている。

接触不良を防ぐため端子数は10ピンにおさえ、指などが直接触れないよう端子をくぼみの奥に配置した。動作電圧は2.7V - 3.6Vとなっている。通信には独自のシリアルプロトコルを採用することで将来的な容量・素子の変更時にも互換性が確保でき、当時スマートメディアなどが頻繁に起こしていた互換性問題にも無縁であるとされた。また、メモリースティックへの静止画、音楽、動画などの記録については個別にアプリケーションフォーマットが規格化されており、メーカーや機器にかかわらず互換性を保つよう努められている。

転送速度は書き込みが最大1.5MB/s、読み出しが最大2.45MB/sである[3]

外観は、製造メーカーや容量を問わずほとんどの製品が青紫色のカラーリングで統一され、表面にフロッピーディスクと同様のラベル貼付エリアが設けられた。

1998年9月に最初の製品として4MBおよび8MBのメディアが発売され[3]、その後128MBまでの大容量化が行われた。2000年にソニーが発表したロードマップでは当初少なくとも1GBまでの大容量化が予定されていた[4]が、規格上の問題から製品化できたのは128MBまでにとどまり、256MB以上の大容量メディアは「メモリースティック PRO」という新規格での発売となった。このため256MB相当の代替製品として、128MBメモリを内部に2つ内蔵し、物理的なスイッチで切り替えて使う「メモリースティック(メモリーセレクト機能付)」(Memory Stick Select) が用意された。なおソニーは128MBメモリを4つ内蔵した512MB相当モデルや、メモリとスイッチをさらに増やした大容量モデルも計画していた[5]が、実際の製品化には至っていない。
メモリ容量(メモリースティック)

1998年: 4MB

1998年: 8MB

1999年: 16MB

1999年: 32MB

1999年: 64MB

2001年: 128MB

2003年: 128MBx2

マジックゲート メモリースティックMGメモリースティック

マジックゲート メモリースティック (MagicGate Memory Stick) は、著作権保護が必要なセキュアデータの取り扱いに対応すべく、著作権保護機能MagicGate機能を搭載したメモリースティックである。MGメモリースティック、MGMSなどとも呼ばれる。MagicGate機能を持たない従来型メモリースティックと区別するために、ホワイトのカラーリングで統一された。MagicGate機能の有無以外の仕様は従来型メモリースティックと同一である。

メモリースティック ウォークマンの発売にあわせ、1999年12月に最初の製品として32MBおよび64MBがソニーから発売され、後に128MBが追加された。しかし、MGメモリースティックはMG非対応のメモリースティックに比べて割高で、MG非対応の青紫色メモリースティックも引き続き併売されたことなどから普及が進まず[6]、また市場にこれら2製品が混在することによる混乱の声も聞かれた[7]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:121 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef