メフロキン
[Wikipedia|▼Menu]

メフロキン
IUPAC命名法による物質名
IUPAC名

(RS,SR)-2,8-ビス(トリフルオロメチル)キノリン-4-イル]-(2-ピペリジル)メタノール

臨床データ
Drugs.commonograph
胎児危険度分類

AU: B3

US: B (No risk in non-human studies)




法的規制

AU: 処方箋薬(S4)

CA: ?-only

UK: 処方箋のみ (POM)

US: ?-only

投与経路経口
薬物動態データ
代謝肝臓
半減期2?4週間
排泄胆汁
識別
CAS番号
53230-10-7 
ATCコードP01BC02 (WHO)
PubChemCID: 4046
DrugBankAPRD00300 
ChemSpider37171 
UNIITML814419R 
KEGGD04895  
ChEMBLCHEMBL416956 
NIAID ChemDB005218
化学的データ
化学式C17H16F6N2O
分子量378.312 g/mol
SMILES

FC(F)(F)c2cccc1c(cc(nc12)C(F)(F)F)[C@H](O)[C@@H]3NCCCC3

InChI

InChI=1S/C17H16F6N2O/c18-16(19,20)11-5-3-4-9-10(15(26)12-6-1-2-7-24-12)8-13(17(21,22)23)25-14(9)11/h3-5,8,12,15,24,26H,1-2,6-7H2/t12-,15+/m1/s1 

Key:XEEQGYMUWCZPDN-DOMZBBRYSA-N 

テンプレートを表示

メフロキン(英語: Mefloquine)は、抗マラリア剤の一つであり、内服薬として用いる。メフロキンは、キニーネに類似の化学構造を持つ物質として1970年代に開発され、1980年代に使用され始めた[1][2]。商品名としてロシュのラリアム (Lariam) などがある。WHO必須医薬品モデル・リストに収載されている[3]。ラリアムは精神的な副作用の問題で28カ国で禁止されている[4]
効能・効果ラリアム250mg錠(ロシュ製)

メフロキンはマラリアの予防および治療[5]クロロキン耐性熱帯熱マラリアの治療に用いられる。予防に用いる際には暴露が予想される2週間前から4週間後まで週に1回服用する。軽度・中等度のマラリア治療に用いられるが、重篤なマラリアには使用すべきでない[5]。メフロキン耐性のマラリア原虫の拡大にともない、メフロキンの効果は減少していった。アルテミシニンなどのほかの抗マラリア剤と併用することもある。
マラリアの予防

メフロキンは多剤耐性菌マラリアの存在地域を除く各地でのマラリア予防に効果的である[6]アメリカ疾病予防管理センター (CDC) は使用を推奨している。米国感染症学会もマラリア予防の第一・第二選択薬(渡航地域での耐性出現状況による)として推奨している[7]

通常、旅行の1?2週間前から服用を始める[8][9]ドキシサイクリンおよびアトバコンプログアニル合剤(英語版)を1?2日服用すると忍容性が改善する[10][11]

メフロキン使用中にマラリアに感染した場合はハロファントリン(英語版)やキニーネは無効であると思われる[12]
マラリアの治療

メフロキンはクロロキン感受性または耐性のPlasmodium falciparum(英語版) によるマラリアの治療に用いられるほか、クロロキン耐性Plasmodium vivax(英語版) による合併症のないマラリアの治療に使用される[8][12]。米国疾病予防管理センターで使用が推奨される薬剤の一つに挙げられている[13]。重症マラリア、特にP. falciparum の感染による疾患には推奨されない。この場合静脈注射薬を用いる[8][12]。メフロキンは肝臓に侵入した原虫を除去しない。P. vivax 感染患者にはプリマキン等の肝臓内の原虫の駆除効果を持つ薬剤を併用すべきである[12]:4。

海外ではメフロキンは妊婦のマラリア治療に広く用いられている。安全性に関するデータは少ない[14]が、2,500名の妊婦を対象とした後ろ向き調査では、出生異常や流産の増加は見られていない[15]WHO妊娠中期・後期(第二・第三トリメスター)での使用を承認し、妊娠前期(第一トリメスター)に使用した場合の中絶措置を求めないとした[6]
禁忌

低出生体重児、新生児、乳児

妊婦または妊娠している可能性のある女性(100mg/kg用量でマウスとラットの仔に異常が認められている)授乳婦には禁忌ではないが母乳中に移行することが知られている
[6][12]:9

てんかんの患者またはその既往歴のある患者(痙攣を起こす可能性がある)

精神病の患者またはその既往歴のある患者(症状が悪化する可能性がある)

キニーネとの併用(急性脳症候群、溶血、心毒性等が発現する可能性がある)

ハロファントリン(英語版)との併用(致死的なQTc間隔の延長を引き起こす可能性がある)

製剤成分または類縁物質に過敏症の既往歴のある患者

副作用

重大な副作用として知られているものは、スティーブンス・ジョンソン症候群(0.1%未満)、中毒性表皮壊死症、痙攣、錯乱、幻覚(0.1%未満)、妄想、肺炎、肝炎、呼吸困難(0.1%未満)、循環不全、心ブロック、脳症である[9]
心臓への副作用

メフロキンは心電図上で確認可能な心拍異常を引き起こす。同様の副作用を持つキニンやキニジンとメフロキンを併用すると副作用が増強される。メフロキンとハロファントリンの併用はQT時間を大きく延長するので禁忌である[12]:10。
精神・神経系の副作用

アメリカ食品医薬品局 (FDA) は2013年にメフロキンの精神神経的な有害作用(投与中止後も残存する場合がある)について添付文書に黒枠警告 (en:Boxed warning) を設置させた[16][17]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:49 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef