メック_(架空の兵器)
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メック(Mech、バトルメック(BattleMech)の略)は、FASA社1984年に発表したボードゲームバトルテック』(Battletech)、および派生製品であるBattleMechや『メックウォーリア』(MechWarrior)シリーズに登場する架空の人型兵器の総称である。「メック」とは、本来は和製英語の「メカ」を英語表記したものである。
盗用?オリジナル?

ボードゲームバトルテック』の初期の版では日本アニメメカニックデザインを無許可流用していた。詳しくは『バトルテック』の「盗用?オリジナル?」を参照。『超時空要塞マクロス』からは、バトロイド形態のバルキリーがワスプ、スティンガー、フェニックス・ホーク、戦闘ポッド・グラージがマローダー、デストロイドであるトマホーク、ディフェンダー、スパルタン、ファランクスがそれぞれ、ウォーハンマー、ライフルマン、アーチャー、ロングボゥ、『太陽の牙ダグラム』のコンバットアーマーからは、ダグラムはシャドウホーク、ラウンドフェイサーはグリフィン、ブロックヘッドはウルヴァリーン、アイアンフットはサンダーボルト、ビッグフットはバトルマスターと名前を変えられメックとして登場していた。

ちなみにワスプ、スティンガー、フェニックスホークは宇宙でも使用可能な気圏戦闘機に変形することができる『Land-Air 'Mech』(LAM)のヴァリエーションもあるが、これもマクロス・シリーズ(ロボテック)からの露骨な盗用であり、後にすべて削除されることになる。各メックの特徴としてマローダーは重量級の重武装・重装甲な機体で長距離火力に優れ、シャドウホークは機動力と装甲が高く、どんな行動をしても一切発熱しないため極めて扱いやすいが、総合的な攻撃力が決定的に不足している初心者向けの機体、バトルマスターは機動力と長距離火力に劣るが凄まじい重装甲を誇り、圧倒的な近接火力を以て敵機を粉砕する基本セット中最強の機体に設定されている。
デザインの傾向

アニメに登場するロボット兵器に比べ、総じて機械的で直線の多い無骨なデザインが特徴でレーザーミサイル、実体弾を発射するオートキャノン(Autocannon)やガウスライフル(Gauss Rifle)、粒子砲(Particle Projector Cannon)などを主兵装とする。また武器の弾薬も装備として扱われるほか、現用兵器と同じ思想に基き、装甲によってのみ敵の攻撃を防ぐ(バリア/フォース・フィールドの類いは登場しない(日本でおこなわれたリプレイで光学兵器に対してのみ存在する))。

また、ハチェットやソード(日本国をモチーフとする国家ドラコ連合の戦士が好むことから、一般的な形状は打刀のようである)と呼ばれる近接格闘武器も存在し、至近距離での格闘を行う事も可能である。およそ10m超の二足歩行形態を標準とするが、一部の機体の脚部はいわゆるチキン・レッグと呼ばれる逆関節仕様となっている。航空機のコックピットそのままの操縦席を胴部から前方に突き出し、手足を持ってチキンレッグで歩く様にはガウォークの強い影響を見て取ることができる。

軽量級の20トン級から強襲級の100トン級までのサイズのバリエーションがある。兵装の多くは機体内蔵式(大砲やミサイル類[ポッドに格納されている]は外付けが多い)で、腕部に至っては手指を取り除き、すべての火器をガンポッドに収めているデザインが非常に多い。ホバーによる高速移動やジャンプは可能だが飛行はできない。腕は専ら、兵装を取り付けるための可動式ガンポッドとして描かれ、長方形状のためコンピュータ・ゲームなどでは側面からの攻撃で破損され易い。腕が破損すると、その部分に搭載された兵器も破壊されてしまう。
カスタマイズ

ゲームシステムによってはメックのカスタマイズが可能だが、フレームのサイズに応じて搭載機器の最大重量の上限が自動的に決定されている。

このフレームに装甲やエンジン核融合炉)・兵器・兵器が消費する弾薬が積載され、また兵装やエンジンから発生する廃熱を外部に放出するための放熱器が取り付けられる。この廃熱をきちんと処理できないとオーバーヒートしてしまうため、放熱器とのバランスを考えて装甲・兵装を計画する必要がある。

その一方でPPCや火炎放射器ナパーム弾などの高熱を相手に照射する(輻射熱で発射した側も熱を帯びる)兵器も存在し、安全温度を突破すると核融合炉が強制シャットダウンしてしまい、なおも熱処理が間に合わずに温度上昇を起こすと、積載火器の弾薬が自然発火したり核融合炉の暴走で自爆してしまう。

武器の種類は強弱だけではなく、その効果も種類によって様々で、また各々の兵器種類によって射程も設定されており、遠距離用のミサイルでは強力な追尾機能をそなえる物もある。(ボードゲームの場合、1ターンに1回しか射撃できないため、速射性は複数回命中効果、あるいは命中率および威力の向上として表現されている)
バトルメックの概要

メックとは人間が乗り込んで操縦するロボットに付けられた名称で、最初期の頃は鉱山での採掘などの作業用の物が主流だった。その後、これらの産業メックを武装化する案が地球帝国で考案され、戦車に代わる陸戦兵器として製造されて「バトルメック」と呼称される。バトルメックは戦車を遥かに凌ぐ武装と装甲で覆われており、二足歩行で走行するなど高い走破性と機動力も有していた。また、ジャンプジェットを装着する事で最大で100m以上の高さまで上昇する事が可能である。こうした数々の特性を持つ事により、バトルメックは地上最強の兵器として君臨し、「戦場の覇者」と呼ばれるようになる。
バトルメックの歴史
バトルメックの誕生

西暦2439年、最初のバトルメック「マッキー」が製造され、西暦2443年に惑星「スティクス」でドラコ連合と地球帝国との間で行われた戦争で初めて実戦に投入される。この戦いでドラコ連合の戦車部隊は完敗し、以後の戦場の主流はバトルメックに移っていく。数年後、ライラ共和国の工作員がマッキーの製造法を奪取して以降は、各国でバトルメックが製造されるようになるが、それでも地球帝国の優位性が崩れる事はなかった。この傾向は星間連盟が結成されると更に強まり、最新のバトルメックはSLDF(星間連盟防衛軍)に最優先で配備された。しかし、星間連盟の結束と地球帝国の勢力に衰えが見え始めると、最新鋭機であってもSLDFに優先されなくなるようになり、地球帝国と周辺の国々の軍事バランスが崩れていく。
継承権戦争の破壊と技術の衰退

2766年に発生したステファン・アマリスの反乱と、その後に起きた内戦で星間連盟は崩壊し、2787年、連盟首長の座を巡る継承権戦争が勃発する。この際、戦時条約である「アレス条約」が破棄された事でNBC兵器の無差別投入などの暴挙が公然と実行され、数多くの星が荒廃した。また、バトルメックを製造する工場や修理施設、更にそれらを支える産業基盤が破壊された結果、新規のバトルメックの製造・開発を行う事が不可能となってしまう(完全に不可能になった訳ではなく、僅かに残った工場や研究所で細々と開発と製造が行われていた)。

こうした事情から、バトルメックは兵器でありながらパイロットの家系に代々伝えられる財産として見做されるようになり、パイロット達を「メック戦士」と呼ばれる特権階級に仕立て上げた。


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