「エタノール」とは異なります。
この項目では、化学物質としてのメタノールについて説明しています。2018年の同名のテレビ映画については「2012年チェコにおけるメタノール入り密造酒事件#テレビ映画」をご覧ください。
メタノール
IUPAC名
methanol
別称木精
メチルアルコール
カルビノール
ヒドロキシメタンメチルアルコール
識別情報
CAS登録番号67-56-1
-97 °C, 176 K, -143 °F
沸点
64.7 °C, 338 K, 148 °F
水への溶解度任意に混和
蒸気圧133 hPa
酸解離定数 pKa~ 15.5
屈折率 (nD)1.3292 (20 ℃)
粘度0.59 mPa・s (20 ℃)
双極子モーメント1.69 D(気体)
危険性
EU分類 F T
NFPA 704330
RフレーズR11, R23/24/25, R39/23/24/25
Sフレーズ(S1/2) S7 S16 S36/37 S45
引火点11-12 ℃
関連する物質
関連するアルコールエタノール
プロパノール
ブタノール
関連物質クロロメタン
メトキシメタン
出典
[1] ICSC番号:0057
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。
メタノール (methanol) は、有機溶媒などとして用いられるアルコールの一種である。別名として、メチルアルコール (methyl alcohol)、木精 (wood spirit)、カルビノール (carbinol)、メチールとも呼ばれる。
一連のアルコールの中で、最も単純な分子構造を持つ。ホルマリンの原料、アルコールランプなどの燃料として広く使われる。燃料電池の水素の供給源としても注目されている。エタノールと違い、人体に有毒な化学物質で、代謝によりギ酸(蟻酸)を大量に生成し、失明や代謝性アシドーシスに至るため飲用不可である。
製法
木材由来による木酢液の蒸留("木精"という名の由来)。
石炭ないし天然ガスの部分酸化で製造した一酸化炭素 (CO) に、酸化銅-酸化亜鉛/アルミナ複合酸化物を触媒として、50-100気圧、240-260℃で水素 (H2) を反応させる[2]。
CO + 2 H 2 ⟶ CH 3 OH {\displaystyle {\ce {CO + 2H2 -> CH3OH}}}
メタノール産生菌による発酵。
(目的としない副産物として)ワイン等の植物を原料とした酒の醸造の際における、細胞壁の主成分の一つとして含まれるペクチンの発酵[3]
現代の工業製法はコスト面の事情により、天然ガスからの製造が主流である。 フェノール樹脂や接着剤、酢酸およびホルマリンの合成原料。さまざまな化学反応の溶媒のため、中間製品として多様な産業で用いられる。 石油代替自動車燃料としてはエタノールより安価でCNGと並ぶ価格競争力がある(詳細: アルコール燃料)。また、ノートパソコンなどのモバイル機器を長時間稼動させるため、直接メタノール燃料電池 (DMFC) が期待されている。 メタノールを加熱すると、一酸化炭素と水素の合成ガスが得られる。 CH 3 OH ⟶ CO + 2 H 2 {\displaystyle {\ce {CH3OH -> CO + 2H2}}} − 30.7 k c a l {\displaystyle -{\rm {30.7kcal}}} 必要な温度は300 - 400 °C程度で、エンジンの排熱を利用できる。この反応は吸熱反応であり、見かけ上燃料のエネルギー量は増加し熱効率が高まる。またこの分解ガスのオクタン価は極めて高く熱効率40%近くのエンジンも実現出来るとされる[4][5]。 水素燃料電池の燃料としても使える。一般に直接メタノール燃料電池 (DMFC)よりエネルギー効率が高い。ただし、SOFC、MCFC以外の白金を使った燃料電池は一酸化炭素に被毒するので徹底的な除去が必要である。 改質器による空間の圧迫、システムの複雑化が課題である。
主要な用途
化学原料
燃料用途
燃料改質
主な化学反応
燃焼時の反応で二酸化炭素と水が生成する。
2 CH 3 OH + 3 O 2 ⟶ 2 CO 2 + 4 H 2 O {\displaystyle {\ce {2CH3OH + 3O2 -> 2CO2 + 4H2O}}}
熱した酸化銅 (CuO) と反応して酸化するとホルムアルデヒド (HCHO) が生成する。
CH 3 OH + CuO ⟶ HCHO + Cu + H 2 O {\displaystyle {\ce {CH3OH + CuO -> HCHO + Cu + H2O}}}
ナトリウム (Na) と反応して、ナトリウムメトキシド (CH3ONa) と水素 (H2) が生成する。
2 CH 3 OH + 2 Na ⟶ 2 CH 3 ONa + H 2 {\displaystyle {\ce {2CH3OH + 2Na -> 2CH3ONa + H2}}}
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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