メトトレキサート
IUPAC命名法による物質名
IUPAC名
(S)-2-(4-(((2,4-diaminopteridin-6-yl)
methyl)methylamino)benzamido)
pentanedioic acid
臨床データ
胎児危険度分類
D(豪州)、X(米国)
法的規制
劇薬
指定医薬品
処方箋医薬品
投与経路点滴静注、経口
薬物動態データ
生物学的利用能17?90%
血漿タンパク結合50%
代謝肝臓
半減期3?15時間(用量依存)
排泄尿中:48(1時間)?100%(24時間)
識別
CAS番号
59-05-2
メトトレキサート(Methotrexate)は、葉酸代謝拮抗機序をもち免疫抑制剤に分類される薬剤である。抗悪性腫瘍薬(抗がん剤)、抗リウマチ薬、妊娠中絶薬などとして使用される。商品名は、抗がん剤としては、メソトレキセート (販売 : ファイザー)、抗リウマチ薬としては、リウマトレックス(同左)など。 抗がん剤として使用する場合は、本薬の注射後に解毒剤のフォリン酸(ロイコボリン)を投与する特殊な用法があり、これを「メトトレキサート・ロイコボリン救援療法」という。 そのほか、他剤との併用で胃癌、乳癌、尿路上皮癌などにも使用される。 海外では1950年代から乾癬に使用されているが、国内では乾癬への適応が認められないままであった。日本では2019年3月に公知申請により「局所療法で効果不十分な尋常性乾癬」および「関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症」に対する効能・効果および用法・用量に関する追加承認を取得した[3][4]。 ミソプロストールと併用することによって、妊娠初期の薬物中絶(Medical abortion)に使用され、子宮外妊娠の治療にも使用される[5]。
作用機序
葉酸を活性型葉酸にする酵素の働きを阻止することにより、核酸合成を阻止し、細胞増殖を抑制する。
免疫グロブリン産出、抗体産出、リンパ球増殖などの抑制により、免疫を抑制すると考えられている。また、滑膜組織や軟骨組織の破壊に関係するコラゲナーゼの産出を抑制する。
抗がん剤として
注射剤
メトトレキサート・ロイコボリン救援療法
肉腫(骨肉腫、軟部肉腫など)
急性白血病の中枢神経系及び睾丸への浸潤に対する寛解
悪性リンパ腫の中枢神経系への浸潤に対する寛解[1]
2.5mg錠剤
下記疾患の自覚的並びに他覚的症状の緩解
急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、絨毛性疾患(絨毛癌、破壊胞状奇胎、胞状奇胎)
抗リウマチ薬として「関節リウマチ」を参照
皮膚筋炎・多発筋炎[2]
乾癬治療薬として
妊娠中絶剤として
副作用
間質性肺炎
免疫応答として間質性肺炎を来たすことがある。頻度は1?2%といわれる。用量依存性はなく、葉酸で予防はできない。関節リウマチ治療においては、発症者のうち6ヶ月以内に80%が、1年以内に90%が発症するといわれており[要出典]、投与開始初期には十分注意を要する。胸部レントゲン写真、胸部単純CT、KL-6やSP-Dを用いて肺傷害を評価することが多い。
肝障害
骨髄抑制・骨髄破壊
骨髄で産生される、血液の細胞成分である赤血球・白血球・血小板は新陳代謝による回転(ターンオーバー)の速い細胞の代表的なものである。これらはDNAの代謝阻害を受けると、その影響が著明に現れ、減少する。骨髄抑制により貧血や日和見感染、出血傾向がみられることがある。骨髄抑制がより重症な状態では、骨髄幹細胞が破壊され、血液細胞が再生不能となる。これを骨髄破壊(myeloablation)と呼ぶ。
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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