メキシコとアメリカの壁
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メキシコとアメリカ間の国境地図アメリカテキサス州エルパソ近郊の国境フェンス左側のサンディエゴの国境警備隊事務所と、右側のメキシコティフアナの間の国境フェンスティフアナの国境フェンスアリゾナ州ダグラス、2009サンディエゴとティフアナの間にある壁。米国とメキシコの国境を越えようとして死亡した人々のための慰霊碑的な棺(MUERTESは、スペイン語で「死者たち」の意)。各棺はその年の死者の数を表している。これはオペレーションガーディアンの影響に対する抗議で行われている。

メキシコとアメリカの壁(英語: Mexico?United States barrier、スペイン語: Muro fronterizo Estados Unidos-Mexico)とは、メキシコからアメリカ合衆国への密輸密入国を防ぐことを目的としたアメリカ=メキシコ国境に沿った一連の壁とフェンスの事である[1]。この壁は一続きの構造物ではなく、比較的短距離の物理的な壁およびフェンスの総称であり、物理的な壁が設置されていない区間にはセンサ監視カメラのシステムによる「仮想フェンス」が敷かれ、アメリカ国境警備隊(英語版)がモニタリングしている[2]。2009年1月現在、アメリカ合衆国税関・国境警備局は、930キロメートル以上の壁があるとしている[3]。アメリカ合衆国とメキシコの国境は、北アメリカ大陸の陸上で全長3,145キロメートルにおよぶ[4]
背景詳細は「アメリカ=メキシコ国境」および「アメリカへの不法移民」を参照

これらの壁は、ラテンアメリカで作られた麻薬の密輸と不法移民対策の3大作戦(カリフォルニア州のゲートキーパー作戦(英語版)、アリゾナ州のOperation Safeguard[5]、テキサス州のOperation Hold-the-Line[6])の一環として1994年に建設された。

アメリカ合衆国とメキシコの3,145キロメートルの国境は、都市部や砂漠を含む様々な地形を横切っている。壁は過去に最も違法犯罪や麻薬密売が集中して確認された都市部や無人の場所に設置された。これらの都市部には、カリフォルニア州サンディエゴとテキサス州エルパソがある。2008年8月29日現在、アメリカ合衆国国土安全保障省は、歩行者用国境フェンス310キロメートル 、車両用国境フェンス248.3キロメートル、合計558.3キロメートルのフェンスを建設した。完成したフェンスは、主にニューメキシコ州、アリゾナ州、カリフォルニア州にあり、テキサス州では建設が進行中である[7]

アメリカ合衆国税関・国境警備局は、2009年1月の第2週の時点で、930キロメートル以上のフェンスが設置されていると報告している[3]。テキサス州のフェンスとカリフォルニア州のボーダー・インフラ・システムの作業はまだ進行中である。

この壁は一続きの構造物ではなく、比較的短距離の物理的な壁およびフェンスの総称であり、物理的な壁が設置されていない区間にはセンサ監視カメラのシステムによる「仮想フェンス」が敷かれ、国境警備隊によってモニタリングされている[2]

この壁の影響で、ソノラ砂漠とアリゾナ州のバボクイバリ山地を横断して密入国しようとする人々の数が著しく増加している[8]。このような不法移民は、トホノ・オオダムインディアン居留地にある最初の道路まで、80キロメートルもある不毛な大地を移動しなければならない[8][9]

2010年、南西国境の国境警備で96.6%の逮捕が行われた[10]。国境警備隊の逮捕件数は、2005年の1,189,000件から2008年には723,840件に減少、2010年には463,000件と2005年比で61%減少した。この減少は、米国の経済情勢の変化や国境警備の効果とみられる。2010年の国境での逮捕者数は、1972年以来の最低水準であった[10]
2006年安全フェンス法詳細は「en:Secure Fence Act of 2006」を参照

2005年11月3日、下院軍事委員会の議長で下院議員であったダンカン・ハンター(共和党・カリフォルニア州)は、米国とメキシコの国境に沿って強化フェンスを建設する計画を提案した。2005年12月15日、ハンター下院議員の修正案「the Border Protection, Anti-terrorism, and Illegal Immigration Control Act of 2005(H.R. 4437)」が下院を通過した。この計画は、3,145-kmの国境のうち1,123 kmにフェンスの建設義務化を要求していた[11]。2006年5月17日、上院は三重構造のフェンスと自動車用フェンスを600 km建設するという「Comprehensive Immigration Reform Act of 2006(S. 2611)」 を提案した。その法案は委員会で消えたが、最終的に国境に沿って1000q以上フェンスを建設する「2006年安全フェンス法」(H.R.6061)が議会を通過し[12]、2006年10月26日にジョージ・W・ブッシュ大統領によって署名された[13]。この法案の調印は、ほとんどのアメリカ人が「700マイル(1,125キロメートル)のフェンスを作るより国境警備隊員を増員した方が良い」というCNNの調査が示された直後であった[14]

メキシコ政府と幾人かのラテンアメリカ諸国の閣僚は、この計画を非難した。テキサス州知事のリック・ペリーもまた「国境を閉鎖する代わりに、法的で安全な移住を技術的に支援することで、国境をもっと開放すべきだ」と反対意見を表明した[15]。壁の延長は、テキサス州ラレド市議会でも全会一致で反対された[16]。ラレド市長ラウル・G・サリナスは「彼らは私たちの経済を40%も支えている人たちだ。そんな彼らのドアを閉めて壁をつけるだろうか?そんなことしない。それは顔を平手打ちされるようなものだ。」と語った。彼は国境での営みの現実をよりよく反映した法案に改正されることを望んでいた[17]

2012年の共和党の政綱宣言で「2006年の議会で国境の二重フェンスが制定されたが、いまだかつて完了していない。最終的にこれを建設しなければならない」と述べている[18]。この法案の費用は60億ドルと推定されているが[19]、税関・国境警備局の年間裁量予算56億ドルを上回っている[20]
拡張の再考と凍結

2007年1月、新任の下院多数党院内総務ステニー・ホイヤーD-MD)は、「委員会の議長が国土安全保障省が包括的な国境安全保障計画を提出するまで資金を止めている事について、議会はフェンス計画を再検討する」と発表した。その後、テキサス州の共和党上院議員ジョン・コルニンとケイ・ベイリー・ハッチソンは、計画を改正することを提唱した[16]

また、フェンス設置によって野生動物や環境に及ぼす影響を分析し緩和する対策にさらに費用が捻出されていた[21]


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