ムーンサルトプレス
[Wikipedia|▼Menu]
コーナー最上段からムーンサルト・プレスを仕掛けるクリストファー・ダニエルズコーナー最上段からムーンサルト・アタックを仕掛けるショーン・マイケルズコーナー最上段から場外へムーンサルト・アタックを仕掛けるショーン・マイケルズ。

ムーンサルト・プレス(Moonsault Press)は、プロレス技の一種である。日本名は月面水爆(げつめんすいばく)。
概要

リングの四方に存在するコーナーポストによじ登り、リングのマットに対して背中を向けた状態からジャンプし、バック転をしながらリング上に横たわっている対戦相手めがけてボディ・プレスを仕掛ける。技を仕掛ける側の円弧を描くような動きが技の名称の由来となっている。

技を仕掛ける側にもリスクを伴い、着地をする際に両膝がマットに打ちつけられることや、不安定なロープを踏み台にしてバック宙を決める動作が人間の膝関節が本来持っている動きと反してしまうことなどから、膝の半月板を損傷しやすいという問題点がある。

初代タイガーマスクは膝を痛めるのを嫌い、バック転しながら繰り出す縦回転式は新日本離脱直前の数試合で使用した以外はほとんど使わず、あえて旋回式にしたと話している[1]

ムーンサルトプレスをプロレス界に広めた使い手として知られる武藤敬司はフロリダ修行時代「この技だけで食っていた」と述懐しているが[2]グレート・ムタギミックで参戦していたWCW時代に多用したため、武藤の膝は変形して満足に歩けないまでに傷んでしまった。ただし、武藤自身は1990年代後半のプロレス誌のインタビューにおいて「膝が悪くなったのはムーンサルトのせいだとよく言われるが、実際はベイダー等の超重量級のレスラーをスープレックスで投げていたせい」という旨の発言をしている。変形の原因とは別問題である可能性もあるが、少なくとも武藤自身はスープレックスが膝に負担をかけていたという感覚だったようだ。小橋建太も若手時代に多用したため、膝を痛めて、5度の手術を繰り返している。

空中技の中では見栄えも良いことから使用者は多いが、使うレスラーによって技の見た目には個人差がある。多くのレスラーは大きな弧を描くように跳躍して体全体で上から叩きつける。
名称の変遷

この技にはムーンサルト・プレスとラウンディング・ボディ・プレスの二つの名前が存在する。ラウンディングボディプレスは初代タイガーマスクが使っていた斜め回転式[3]の技の名称である。古舘伊知郎が実況で名付けたために、多くのプロレスマスコミはラウンディングボディプレスという名称で統一していたが、月刊ゴングだけはムーンサルトプレス(当初はムーンソルトプレス)という名称で表記し続けた。同誌の記者小林和朋が命名したこの技名は浸透しなかった。数年後に武藤敬司が縦回転式を使用するようになっても、プロレスマスコミの多くはラウンディングボディプレスとして呼び続けるが、ここでも週刊ゴングだけは頑なにムーンサルトプレスという名前で使い続けた。決め手は同じく記者の小林が名付けた「月面水爆」という和名のインパクトでスポーツ紙などが使い始め、最終的にムーンサルトプレスという名前が浸透していったという[4]

ちなみに初代タイガーマスクが縦回転式のものを使用した際には実況アナウンサーの古舘伊知郎が「ムーンライト・コースター」と叫んでいる[5]。しかし古館は、初代タイガーマスクの全く別の技でもムーンライトコースターの技名を使ってしまっており[6]、武藤が使用するまで縦回転式の正式な名称はなかったといえる。

後に古舘の後釜である実況アナウンサーの辻よしなりが武藤の縦回転式のみを「ラウンディングボディプレス」と呼称したため、武藤本人でさえも名称がいまいち定かではなくなっている。

アメリカではムーンサルト・プレスを広めたのは武藤(グレート・ムタ)であるため、和製英語であるムーンサルトという技名がそのまま使われている。
派生技
アラビアン・プレス

サブゥーが開発したリバウンド式ムーンサルトプレス。リング内からリング外に向かって高くジャンプしてトップロープに尻餅をつき、両腿をトップロープにバウンドさせて後方へバック転ムーンサルトプレスを決める。サブゥーはパイプ椅子や机をリング内に持ち込み、それを踏み台にして敢行するなど多彩なバリエーションを持つ。技のプロセスに類似点が多いロブ・ヴァン・ダムのハリウッド・スター・プレスとは元来区別されていたが(アラビアン・プレスが直接トップロープに飛び座り込むのに対し、ハリウッド・スター・プレスはコーナー上へ立ってから座り込む)、最近は両者が仕掛けるバリエーションの増加などの事情から異名同技として扱われている。
ハリウッド・スター・プレス

ロブ・ヴァン・ダムが考案したリバウンド式ムーンサルト・プレス。コーナー前でリング内に背を向けて立ち、コーナーを登ってコーナー最上段に尻餅をつき、同時にトップロープに両腿をバウンドさせるようにして後方へバック転しながら飛び、ムーンサルト・プレスを敢行する。ジョン・モリソンは、横360度回転のアラビアンプレスをジ・エンド・オブ・ザ・ワールドという名称で使用している。ドラゴン・キッドは、ジーザスという名前で使っている。金丸義信もよく使用する。本来は、サブゥーのアラビアン・プレスとは似ているが違う技(アラビアン・プレスが直接トップロープに飛び座り込むのに対し、ハリウッド・スター・プレスはコーナー上へ立ってから座り込む)であった。最近は両方とも同じ技として扱われる場合が多い。
スカイ・ツイスター・プレス

チャパリータASARIが開発した捻りを加えた伸身ムーンサルトプレスである。後方に270度、横に540 - 720度回転している。他の使い手としてはGamma遠藤哲哉ジミー・ヤンが、ヤンタイムという名で使用している他、くいしんぼう仮面が下記カンクーン・トルネードを文字った関空トルネードの名で使用。ただし、元祖であるASARIを含め後方回転をほとんど行わずに飛ぶ使い手が多い。なお、前向きから飛ぶ一回半捻りプレスもスカイ・ツイスター・プレスと呼称していた(当時、ASARIからTAKAみちのくが直接指導を受け使用していた)。神風レッスル夢ファクトリーに所属していた時代にすでにカミカゼ・トルネードを完成させている。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:22 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef