ミレニアム_ドラゴン・タトゥーの女
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この項目では、スティーグ・ラーソンの推理小説、及びその小説を原作とする映画作品について説明しています。その他の用法については「ミレニアム (曖昧さ回避)」をご覧ください。

ミレニアム
Millennium
著者スティーグ・ラーソン
ダヴィド・ラーゲルクランツ
訳者ヘレンハルメ美穂
発行日 2005年 - 2019年
2008年 - 2019年
発行元 Norstedts Forlag
早川書房
ジャンル推理小説
 スウェーデン
言語スウェーデン語
形態四六判並製本

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『ミレニアム』(Millennium)は、スウェーデンのジャーナリストで作家スティーグ・ラーソンによる、「ドラゴン・タトゥーの女」「火と戯れる女」「眠れる狂卓の騎士」からなる推理小説

作者のラーソンは全10部の構想を持っていたが、第1部の出版を待たずして2004年11月 心筋梗塞で亡くなった。死後の2005年に『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女』、2006年に『ミレニアム2 火と戯れる女』、2007年に『ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士』が出版され、世界的大ヒットを記録しながらも絶筆のために完結した。その後、ダヴィド・ラーゲルクランツが続編として3作書き、2015年に『ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女』[1]2017年に『ミレニアム5 復讐の炎を吐く女』、2019年に『ミレニアム6 死すべき女』が出版された[2]

そして、2022年からはカーリン・スミルノフによる新シリーズが刊行されている(既刊1巻)。
概要

ジャーナリストであったラーソンがパートナーの女性エヴァ・ガブリエルソンと執筆した、処女小説にして絶筆作品である。ラーソンはジャーナリストとして反人種差別・反極右を掲げていたため、万が一にもガブリエルソンに危害が及ばないようにと、婚姻関係を結ばなかったが、ラーソンが18歳の時から50歳で亡くなるまでを共に過ごした生涯の伴侶である。

本国スウェーデンでは、第1部が出版されるや大変な人気を博し、第1部の刊行から約3年でシリーズ合計290万部[注 1]を売り上げるベストセラーとなり、「読まないと職場で話題に付いていけない」と言われるほどであった[3]。また、フランスドイツアメリカをはじめ30カ国以上で翻訳され、全世界で800万部以上を売り上げた。日本語版の翻訳権は早川書房が独占しており、2008年から2009年にかけて出版された[注 2]

第1部「ドラゴン・タトゥーの女」と第3部「眠れる女と狂卓の騎士」はスカンジナビア推理作家協会が授与するガラスの鍵賞[注 3]を、第2部「火と戯れる女」はスウェーデン推理作家アカデミー最優秀賞を受賞した。

第1部の原題 "Man som hatar kvinnor" は直訳すると「女たちを憎む男たち」であり、邦題の「ドラゴン・タトゥーの女」は英語版の題である "The Girl With The Dragon Tatoo" から。本作の第二の主人公リスベットは20代の女性だが、英語でGirlという場合は少女もしくは若い成人女性を指す。英語版タイトルは、2巻「火と戯れた女(娘)」3巻「雀蜂の巣を蹴った女(娘)」

瑞典題では、3巻:"Luftslottet som sprangdes" = 爆発した空中の城 とは、幻想や絵空事などの城)で二作目の題と同じ言い回しで題意が付けられている。英語で火と戯れるとは「火遊び」つまり危険なことをするという慣用表現。雀蜂の巣を蹴るとは危険を顧みずにとんでもなっていことをしでかす、あるいは敵を挑発するという意味。
作品テーマ
第1部の原題 "Man som hatar kvinnor" は直訳すると「女たちを憎む男たち」であり、シリーズ全篇を通して、女性に対する蔑視および暴力 (ミソジニー) がテーマとなっている。これは著者が15歳のころ友人と行ったキャンプで、一人の女性が友人達に輪姦されているところを目撃していながら、何もせずその場を逃げ去ったことに由来する。著者はその翌日、被害者の女性に許しを請うが拒絶される。その時以降、自らの臆病さに対する罪悪感と女性暴力に対する怒りが著者を生涯つきまとうようになった。その被害者の女性の名前は「リスベット」で、これと同じ名前が本作の第二の主人公に与えられている[4]
制作背景
第2部までを書き終えた時点で出版社と連絡を取り契約、その時点で第5部までの構想があったというが、ラーソンは第1部の発売も、シリーズの成功も見ることなく、2004年心筋梗塞で急死した。ラーソンの死により、彼のノートパソコンには第4部の4分の3に相当する下書きが残されたが、パソコンを現在所持しているパートナーのガブリエルソンは結婚しなかったのがあだとなって彼の作品に関する権利を持たず、彼の意思も残されなかったため公表の目処は立っていないという[5]。なお、1巻分もしくは2巻分の概要もしくは草稿が残されている可能性があるという[6][7]
しかし、出版社は続編3編の執筆をノンフィクション作家のダヴィド・ラーゲルクランツに依頼。ラーゲルクランツはオリジナル3編を十分読み込んだうえで執筆し、第4部を2015年に発表して好評を博した[8]。その後、第5部は2017年、第6部は2019年に発売されている[2]
その後、出版社のポラリス(Polaris)は、ラーソンの財団の許可を経て新シリーズ3作を刊行すると発表[9][10]。執筆は作家のカーリン・スミルノフが担当することとなり[11]、2022年に第1作が発表。日本では『ミレニアム7 鉤爪に捕らわれた女』として2024年4月に上下巻で刊行された(翻訳は山田文・久山葉子)。
メディア展開
三部構成で映画化され、第1部はスウェーデン本国では2009年2月27日に公開された。公開日週末の観客動員数は17万人を超え、人口の少ないスウェーデンでは滅多に見られない盛況ぶりで、スウェーデン映画としては大成功といえる結果であった[12]。テレビドラマ版は2010年2月より放映が予定されている。また、ハリウッドがリメイク版の製作に興味を示し[13]、2010年7月、デヴィッド・フィンチャー監督、ダニエル・クレイグ主演となることが決まった[14]。リメイク版ドラゴン・タトゥーの女 (2011年の映画)はアメリカで2011年12月、日本では2012年2月10日に公開された[15]。なお、三部作の残り二作品のハリウッド・リメイクは実現しなかったが、ダヴィド・ラーゲルクランツ版続編三部作の第一作(通算では第4部)であるミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女が、フェデ・アルバレス監督、クレア・フォイ主演で映画化されている。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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