ミョルニル(Mjolnir、ミョッルニル 古ノルド語: Mj?llnir IPA: [?mj?l?nir] )は、北欧神話に登場する神トールが持つ鎚(トールハンマーという名でも知られる)である。
名称は古ノルド語で「粉砕するもの」を意味し[1]、思う存分に打ちつけても壊れることなく、投げても的を外さず再び手に戻る、自在に大きさを変え携行できるといった性質を持つが、柄がかなり短いという欠点もあった[2]。
神話ではミョルニルはしばしば真っ赤に焼けているとされ、これを扱うためにはヤールングレイプルという鉄製の手袋が必要だとされる[3]。 ミョルニルはドワーフの兄弟ブロックとエイトリ(シンドリ)が、イールヴァルディの息子たちよりも優れた物を作り出せるかという競い合いの際にグリンブルスティ、ドラウプニルと共に作られ、トールに献上され[2]、彼の所有物となり、多くの巨人を打ち殺したため、霜の巨人や山の巨人はミョルニルが振り上げられる音でそれが分かるといわれる[4]。 その威力は凄まじく、一撃で死亡しなかった生物は世界蛇ヨルムンガンドぐらいであり(『ヒュミルの歌
神話
ミョルニルは相手を打つためだけに使われるものではなく、トールの戦車を引く2頭の牡山羊(タングリスニとタングニョースト)を食べても、骨さえ無事ならミョルニルを振るえば生き返らせることができた[6][注釈 1][注釈 2]。また、バルドルの葬儀の際、火葬するための火を浄化するためにも用いられた[7]。『スリュムの歌』ではスリュムという巨人がミョルニルを盗み、フレイヤとの交換を要求するが、フレイヤに変装した花嫁姿のトールを聖別するために、隠していたミョルニルを花嫁(トール)の膝に乗せたため、ミョルニルを取り返されて頭を砕かれるという顛末が描かれている[8]。 トールは、ローマ神話の雷神ユピテルと同一視されており、ゲルマン人はユピテルが司る木曜日をトールの日とした。木曜日は最も神聖な日とされており、オーディンが司る水曜日よりも格の高い日とされていた。 雷鳴の轟はトールの乗った戦車が天空を駆け巡る音、雷はミョルニルを投げつけた閃光と信じられ、空を支配する最強の神として崇拝されていた。また、雷雨は植物を成長させることから「農耕の神」としても崇められていた。 ミョルニルを象ったレプリカはスカンディナヴィアの広い地域でポピュラーで[9]、結婚式をはじめとする祭式で使われる[10]。 1925年頃のゴットランドでは新婚家庭において、新婚夫婦が子宝に恵まれるように、ベッドにこのレプリカが置かれたという[要出典]。キリスト教の伝来期においても、十字架に匹敵するほど人気があり、よく身につけられていた。そのため、トールはキリスト教におけるイエス・キリストのような役割を持つといえる[要出典]。それ以後も、宝石店などで北欧神話に関心を持つ人々のためにアクセサリーとしてミョルニルのレプリカが売られている。これは、キリスト教の宣教師が首から下げていた十字架をまねた物といわれる[要出典]。
文化