ミョウガ
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ミョウガ
ミョウガ
分類

:植物界 Plantae
階級なし:被子植物 Angiosperms
階級なし:単子葉類 Monocots
:ショウガ目 Zingiberales
:ショウガ科 Zingiberaceae
:ショウガ属 Zingiber
:ミョウガ Z. mioga

学名
Zingiber mioga (Thunb.) Roscoe (1807)[1]
和名
ミョウガ
英名
Myoga
江戸時代の農業百科事典『成形図説』のイラスト(1804)

ミョウガ(茗荷[2]、?荷、学名: Zingiber mioga)はショウガ科ショウガ属の宿根性の多年草[3]。ミョウガの英名にJapanese Gingerがあり食用で栽培されているのは日本だけとされる[3]
名称

もともと日本では「めが」と称されていた。「めが」は「芽香」の意である説と、「兄香(せのか、のち「しょうが」に転訛)」に対応する「妹香(めのか)」が転訛したという説とが有る(但し、「せ」の対義語は「いも」であり、「め」は「を」と対応する。さらに、「せ」「いも」は(親しい異性を指す)年齢不問の呼称であり、(同性間の)上下を指すのは「え」「おと」である[4][5]。)

「みょうが」に転訛した理由に就いては、和語内部の変遷と捉えるならば「めのか/めが」>「めんが」>「めうが」>「みょうが」といった推定をおこなうことになるが、中古の資料では「みゃうが」と記されているため考えにくい。漢語「?荷」の呉音「にゃうが」の干渉と考えるのが妥当である[6]

加えて、下記の俗説もある。

釈迦の弟子の中に、周利槃特という、特に頭の弱い者がいた。彼は自分の名前すら忘れてしまうため、釈迦が「槃特」と書いた旗を作らせ、背中に背負わせてやった。しかし旗を背負ったことさえも忘れてしまい、とうとう死ぬまで名前を覚えることができなかった。周梨槃特の死後、墓から見慣れない草が生えていた。そこで「名」を「荷う」ことから、この草を「茗荷」と名付けたという[7]

英語名は、和名そのままに Myoga(ミヨガ)とよばれるほか[2]、Japanese Ginger(ジャパニーズ・ジンジャー:直訳すると「日本のショウガ」の意味)の異名もある[8]
特徴

日本を含む東アジア原産といわれ、各地に自生している[8][2]。日本以外では台湾や韓国の一部にもみられる[3]。日本では野菜として栽培も行われており、食用にするのは日本だけである[8][2]。日本では奈良県の東大寺正倉院中倉に保管されてきた『正倉院文書』にも記述が見られるなど、その歴史は古い[2]

草丈は40 - 100センチメートル (cm) くらいに成長する[9]。葉は茎の両側に3 - 4枚ずつ互生してつき、長さ20 - 30 cmの細長い楕円形で先端は尖っている[9][10]。全体の姿形は、栽培されるショウガに似ている[10]。地上部に見える葉を伴った茎状のものは偽茎である[11]

花は淡黄色の一日花で、株元の地面近くに長さ10 cmほどのタケノコ状の蕾をつけて数個咲く[10]。ごく稀に夏から秋にかけて温度が高い時に実を結ぶことがあるといわれている[10]

花穂および若が食用とされ、一般的には花穂の「花みょうが」を単にミョウガというが、幼茎を遮光して軟白栽培した「みょうがたけ」もある[3]。雌雄同株で、花器にも雄蕊雌蕊とも揃っている両性花が開花するが、5倍体のため、受精しても親と同じ数の染色体数になることは稀である。繁殖地下茎による栄養体繁殖が主体である。
栽培

食用で栽培されているのは日本だけとされる[8][2][3]江戸時代に早稲田村、中里村(現在の新宿区早稲田鶴巻町山吹町)現在の新宿区牛込地域は茗荷の生産地で「牛込の茗荷は勝れて大きく美味」と謳われていた。赤みが美しく大振りで晩生(おくて)のみょうがである。

東京小石川小日向茗荷谷という地名があるが、これは江戸時代に牛込早稲田から小石川まで広がる茗荷畑を見下ろす谷であったことに由来する。
品種

蕾の発生時期によって早生の「夏ミョウガ」と中生または晩生の「秋ミョウガ」がある[3]。産地ごとの土着の在来種がほとんどである[3]。陣田早生、諏訪1号、諏訪2号などが知られる[12]
栽培の実際ミョウガの若芽

ミョウガは日当たりの強い場所での栽培には向かず、の隅や樹木の陰になるような場所で育てるとよい[12]。日照時間が短い場所でも育つので、庭先で気軽に栽培することができる[12]。多年草のため、一度植え付けると毎年収穫できるが、3、4年ごとに植え替えると生育がよくなる[12]連作障害は出にくい[12]。「夏ミョウガ」(早生種)は早春に植え付けて夏に収穫するもので、「秋ミョウガ」(晩生種)は早春に植え付けて初秋から中秋にかけて収穫する[12]

植え付けは根株によって行い、植え付ける場所にはあらかじめ堆肥を施しておく[12]。ミョウガの根株は根が横に張って芽が出ているものを使用し、株分けでとるときは、春に芽が出る前に根を掘り起こし、3芽ずつくらいに切り分ける[12]クワで深さ7 - 8センチメートル (cm) の溝を掘ったら、株間30 cmで根株を定植して覆土後は鎮圧する[12]。植え付けから約2 - 3週間後くらいに地上に芽が出てくる[12]。2か月後には草丈が20 cmほどになるので、鶏糞やぼかし肥などで株間に最初の追肥を行い、以後様子を見ながら2週間ごとに計2 - 3回の追肥を行う[12]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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