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ミュージック・ビデオ(英: music video、略称:MV)は、宣伝や芸術目的で制作された、曲とイメージを統合した短編映画である[1]。現代のミュージック・ビデオは、主に音楽録音の販売を促進するためのマーケティング手段として制作され、使用されている。また、マーケティングキャンペーンで曲を使用し、単なる曲以上のものにすることも可能である。食品やその他の製品の玩具やマーケディングキャンペーンでは、マーチャンダイジングとして使用されている。 ミュージック・ビデオの起源は1920年代に登場したミュージカル短編映画
概要
現代のミュージック・ビデオは、アニメーション、実写、ドキュメンタリー、抽象アニメーション(英語版)など非物語的なアプローチを含む幅広い撮影技術が使用されている。いくつかのミュージック・ビデオは、アニメーション、音楽、実写など異なるスタイルを混合している。これらのスタイルと技術を組み合わせることは、観客に変化を示すために、より一般的になってきた。多くのミュージック・ビデオは、曲の歌詞からイメージや場面を解釈するが、別のテーマのアプローチが採用される場合もある。また、必ずしも曲のライブパフォーマンスを撮影したビデオである必要はない[2]。プロダクトプレイスメントは、ミュージック・ビデオでは一般的な技巧であり、多くのヒップホップのビデオにはビーツピル(英語版)が登場する。 ミュージック・ビデオの概念は1970年代以前から存在しており、ポップミュージック以前ではディズニー制作の『ファンタジア』などが音楽と映像を融合させた作品として著名である。 1894年、楽譜出版社であるエドワード・B・マークスとジョー・スターンが電気技師のジョージ・トーマスと様々な演奏家を雇い、曲「ザ・リトル・ロスト・チルド
歴史
トニー・ベネットは自伝で、1956年にロンドンのハイド・パークにあるサーペンタイン・レイクに沿って歩いて撮影された「最初のミュージック・ビデオ」を制作したと主張している。それは、「ストレンジャー・イン・パラダイス」のビデオである[4]。ビデオは、イギリスとアメリカ合衆国のテレビ局に送られ、ディック・クラークの「アメリカン・バンドスタンド(英語版)」などの番組で放送された[5]。より抽象的な現代的なビデオと似ているプロモーション・ミュージック・ビデオの最も古い例は、1958年に制作され、ラディスラフ・リュヒマン(英語版)によって監督された「Dame si do bytu」である[6][7]。
イギリスのロックバンド、ザ・ビートルズは1966年以降にツアーを行わず、ロンドン周辺で創作活動を続けていた。そのため、新曲リリースのたびに、さまざまなテレビ番組に依頼され、出演しなければならない事を疎ましく思い、演奏シーンとイメージ映像を組み合わせた映像作品を予め作成し、テレビ局へ提供したのが始まりという説が一般的に浸透している。実際、ビートルズのメンバーでギタリストのジョージ・ハリスンは「MTVは僕たちの発明品だよ(笑)」と、冗談半分、本気半分で語っている他、ビートルズの主演映画『ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!』『ヘルプ!4人はアイドル』の監督を務めたリチャード・レスターは、MTVから「あなたはMTVの父だ」と賞状を贈られている[8]。アメリカ合衆国で1980年代にMTVの登場によって急速に一般化した。特にマイケル・ジャクソンやマドンナはミュージックビデオを駆使した例である(マイケル・ジャクソンの「スリラー」や「今夜はビート・イット」、「バッド」などは当時非常に話題を呼んだ)。 一般にシングル曲のプロモーションのために制作されることが多いが、2000年代に入るとシングルCD市場の衰退などの要因によりアルバム収録曲のミュージック・ビデオが制作されるケースが多くなった。50セントの2005年のアルバム『The Massacre』のスペシャルエディション(再発盤)やベックの2006年のアルバム『The Information』には収録曲全曲のビデオを収録したDVDが付属された。日本でも海外の手法を取り入れる形で、アルバム発売に際してそのリードトラックをシングルCDとしては発売しないままビデオのみ制作するケースも増えてきている。 ミュージック・ビデオにストーリー性を加味する物も多く、最も有名なものにマイケル・ジャクソンの「Thriller」(1983年)がある。ユニークな例では、同じ曲で違う歌詞の全12曲(12章、約40分)でストーリーを展開したR・ケリーの「トラップト・イン・ザ・クローゼット」(DVDとして纏められている)がある。 ミュージック・ビデオは、日本国内ではスカパー!やケーブルテレビ局などを介したCS音楽専門チャンネル(MUSIC ON! TV、スペースシャワーTVなど)で視聴できる。また2000年代後半以降は、YouTubeやGYAO!などのインターネットの動画配信ウェブサイトやiTunes Storeなどでも視聴できるようになった。他にも、テレビ神奈川(tvk)が『ミュージックトマトJAPAN』などの番組で古くからミュージック・ビデオを多数放送している。また邦楽のミュージック・ビデオについては、1990年代中頃からバラエティ番組などのエンディング時のスタッフロールのバックにタイアップ曲のミュージック・ビデオを流す手法が見られはじめ、2000年代以降には同様の手法を取る番組が数多く見られるようになった。ただしこの場合、サビ部分のみの30秒前後だけ流されることが大半である。 また、ハイビジョン撮影される作品も増えている。ミュージック・ビデオが収録されたBlu-ray Discが付録に付いたCDがリリース[注釈 1]されることは稀で、放送技術上の問題から公開される際に標準画質に落とされて放送されたり、DVD収録時にレターボックスで収録される形がほとんどである。
2000年以降