ミミズ
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貧毛綱
ミミズの一種 Lumbricus terrestris
分類

:動物界 Animalia
:環形動物門 Annelida
:貧毛綱 Oligochaeta

学名
Oligochaeta

和名
ミミズ(蚯蚓)
英名
Oligochaetes
Earthworm
Night crawlers
Lob worm
Redworm



オヨギミミズ目 Lumbriculida

ジュズイミミズ目 Moniligastrida

ナガミミズ目 Haplotaxida

ミミズ(蚯蚓、??[1]、?蚓[1]、歌女[1])は、環形動物門貧毛綱(学名: Oligochaeta)に属する動物の総称。がなく、もない状の動物である。名称は「目見えず」からメメズになり、転じてミミズになったとも言われ、西日本にはメメズと呼ぶ地域がある。多くは陸上の土壌中に棲む。
体の構造「en:Prostomium」、「en:Metamerism (biology)」、および「en:Periproct」も参照

一般にミミズ類では体表面には目立った器官が見られないが、下等なミズミミズなどでは容易に頭部器官を認識でき、また、相対的に小さなこともあり、眼点も目立つ。エラミミズなどでは外鰓が発達する。大型の典型的なミミズ類であっても、体表には微小な視細胞が散在し、の方向を感知することができる。

一般的なミミズの体の特徴は、細長く、たくさんの体節に分かれていることである。最先端には口前葉があり、ミズミミズ類にはここに眼点等があって、頭部と認識できる例もあるが、殆どのものでは極めて退化的で確認が難しい。

体表をよく見ると、体節ごとに短いながらも頑丈な剛毛が生えているのが分かる。この剛毛がスパイクとして機能することで、ミミズは体の蠕動運動を前方への移動へと結びつけることができる。淡水性の微小なミズミミズやオヨギミミズでは、体のサイズと比べて相対的にかなり長い剛毛を持つ。剛毛はまっすぐに近く単純な毛状剛毛と、先端が曲がっており往々に先が二分する鉤型剛毛などの違いがあり、それらの特徴は分類上重視される。なお、剛毛が皮膚から直接に出て、疣足が見られないのは多毛類との大きな違いである。

成熟したミミズは、体の前の方にいくつかの体節にまたがった肥大した帯状部分を持つ。この部分は外見では中の体節が区別できなくなっているから、そこだけ幅広く、また太くなった節があるように見える。これは環帯(英語版)と呼ばれる[2]。地域によっては鉢巻と呼ぶことがある。多くの大型ミミズ類では、環帯より前方の腹面に雄性生殖孔が、環帯の腹面に雌性生殖孔がある。なお、多毛類においては生殖腺はより多くの体節にまたがって存在する例が多い。ミミズにおいてそれがごく限られた体節にのみ存在することは、より異規体節制が進んだものとみなせるから、より進化した特徴と見ることができる。

ミミズの体内は、体節ごとに隔壁によって仕切られている。このような、細かい部屋に仕切られた構造は、壁が柔らかい材料でできていても、そこに体腔液の水圧をかけることでずいぶん頑丈なものになる。ミミズにはもないのに、土を掘れるのはそのためで、このようなものを静水力学的骨格と呼ぶ。

循環器として血管があり、背行血管と腹行血管が体幹を縦走している。5つの血管がそれぞれ別々の働きをしている。傷の修復能力が高く損傷を負うと血管から細胞を移動させて瞬時に修復できる。しかし呼吸器はなく、ガス交換皮膚呼吸のみで行なう。皮膚の毛細血管から酸素を取り込み二酸化炭素を排出している。そのためガス交換の速度・量に限界があり、ミミズの太さは直径2.6 cmが限度である[3]消化器は体の先端部に口があり、そこから体幹の全長にわたってが伸びて、砂嚢及び小腸を通り、後端部の肛門に続く。咽頭腺から粘液を分泌し口から入った食物を移動させる。腸に入るとリパーゼアミラーゼセルラーゼを分泌したんぱく質脂質多糖類セルロースを吸収する。ひだの多いミミズの腸は、栄養の吸収の効率が良い。老廃物は、各体節ごとに腎管によって排出される。@media all and (max-width:720px){.mw-parser-output .mod-gallery{width:100%!important}}.mw-parser-output .mod-gallery{display:table}.mw-parser-output .mod-gallery-default{background:transparent;margin-top:.3em}.mw-parser-output .mod-gallery-center{margin-left:auto;margin-right:auto}.mw-parser-output .mod-gallery-left{float:left;margin-right:1em}.mw-parser-output .mod-gallery-right{float:right}.mw-parser-output .mod-gallery-none{float:none}.mw-parser-output .mod-gallery-collapsible{width:100%}.mw-parser-output .mod-gallery .title,.mw-parser-output .mod-gallery .main,.mw-parser-output .mod-gallery .footer{display:table-row}.mw-parser-output .mod-gallery .title>div{display:table-cell;text-align:center;font-weight:bold}.mw-parser-output .mod-gallery .main>div{display:table-cell}.mw-parser-output .mod-gallery .gallery{line-height:1.35em}.mw-parser-output .mod-gallery .footer>div{display:table-cell;text-align:right;font-size:80%;line-height:1em}.mw-parser-output .mod-gallery .title>div *,.mw-parser-output .mod-gallery .footer>div *{overflow:visible}.mw-parser-output .mod-gallery .gallerybox img{background:none!important}.mw-parser-output .mod-gallery .bordered-images .thumb img{outline:solid #eaecf0 1px;border:none}.mw-parser-output .mod-gallery .whitebg .thumb{background:#fff!important}ミミズの解剖図

頭部

ミミズの胴体の断面

神経系

進化

ミミズは、手足、触角等、目につく顕著な器官が体表に何もないので、ごく下等な動物と思われがちであるが、これらはむしろ顕著な頭部器官や疣足を持つ同じ環形動物門の多毛類ゴカイの仲間)のような複雑な形態を持った祖先から、地中生活への適応として二次的に単純化を起こす方向で@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}進化したものとみるべきである[要出典]。
大きさ関東最大種のイイヅカミミズ(神奈川県箱根町
手前に大きさ比較のための100円硬貨が置いてある。

ミミズは骨格がなく、移動に際して伸縮するため、正確な全長を測定するのは難しいが、種類ごとの大きさは極めて変異に富む。ミズミミズの仲間は1 mm以下のものもあるが、大きなものは数十 cmを超える。

日本では、東南アジア原産とされ、石川県から滋賀県にかけてのみ分布するハッタミミズ[4]が60 cm以上にも達する[5]が、伸縮の度合いが大きい。中部日本以西にいるシーボルトミミズ[6]は、最大のものは45 cmになる。アフリカ南アメリカでは2mを超える種類があり、オーストラリアに住むメガスコリデス・アウストラリスは3.35m又は3.5mと言われ、世界最大種とされる[7]
生殖と発生

上記のように、多くのミミズ類は雌雄同体である。生殖時期になると、二頭の成体が体を逆方向に向けて環帯部分の腹面を接着することにより交接をおこない、精子を交換する。交接後、ミミズは環体の表面に筒状の卵胞を分泌し、これと体の隙間に複数の受精卵を産卵して栄養物質を分泌する。産卵と分泌が完了すると、首輪を脱ぐように卵包を頭部の方向に送りだし、頭部から離脱すると、筒状の卵包の前端と後端が収縮して受精卵と栄養物質を密閉する。

発生直接発生で、ほぼ親と同じ姿の幼生が生まれる。

アブラミミズやミズミミズでは無性生殖も盛んに行われる。横分裂によって前後に二個体に分裂するのが普通である。増えた二個体がつながって活動する連鎖体が見られることもある。これらの類ではちぎれた場合もそれぞれが再生して一個体になる。

なお、より高等な類では無性生殖は行われない。大形のミミズを捕まえると、よく体がちぎれることがあるが、これはいわゆる自切である。この場合、前半身から後半身は再生が行われるが、後半身からは再生が行われない。
生育環境

一般にミミズといえば陸の土の中に棲息するものと考えられている。しかしながら、水中生のものもある。イトミミズ類は汚泥中に多く生息し、ミズミミズ、アブラミミズはごく普通の水域に多く棲息する。アブラミミズ、ミズミミズは沈殿物中を這い回って生活するものが多い。一部には体をくねらせてよく泳ぐものがある。ごく少数ながら海産種も知られる。

イトミミズと陸生のミミズの多くは泥の中に穴を掘って暮らしており、デトリタス食である。孔を掘り進み、土を飲み込んで暮らしているものもあるが、決まった棲管を作り、そこから体を伸ばして落ち葉を取り込んで食うものもある。ミミズが降雨後に地表面に這い出す行動があると言われており、その理由として、(1) 寄生バエ幼虫に侵されたため、(2) 地温の急激な低下、(3) 降雨による酸素不足の水の土壌中への流入、(4) 降雨による土壌中の二酸化炭素の増加、などの説がある[8]


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