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ミミズトカゲ
Amphisbaena alba
分類
ミミズトカゲは、爬虫綱有鱗目ミミズトカゲ類 (Amphisbaenia) に属する爬虫類の総称。地中生活に適応して四肢が退化し、ミミズのような外観を持つ。かつては「ミミズトカゲ亜目」とされることもあったが、分子系統解析からカナヘビ科の姉妹群であることが示されており、系統分類上はカナヘビ下目(Laterata)の一系統群である[1]。 地中生活に適応した動物には、自分で穴を掘る者と、他者が掘った穴を利用する者があるが、ミミズトカゲ類は自分で穴を掘る真の地中生活者である。地中生活のため、前述の四肢の退化の他に、掘削のための頭部の特殊化、体表環節の発達、視覚の退化、外耳・鼓膜の退化、体表色素の欠如傾向などの適応が見られる。 地中掘削に使用する頭部は、他の有鱗目に比べて非常に頑健になっている。トカゲ類で発達させた前頭骨と頭頂骨間の関節などは、可動性を失い結合している。頚部の筋肉も掘削のために強靱になっている。掘削方法に併せて、竜骨状構造が発達したり、鋤状になったりすることがある。吻部先端を掘削に使用することから、口唇部先端は吻端より少し後方に位置する。 四肢は基本的に消失しており、肩帯も腰帯も退化して痕跡的である。ただし、フタアシミミズトカゲ科は小さいながら5指が揃った前肢を持ち、後肢は退化しているものの腰帯は残存している。体表は、皮膚が折りたたまれて環節状の体節を形成している。胴部はヘビ亜目と同じく伸張するが、ヘビとは逆に右肺が退化する。尾は自切する(フトミミズトカゲ科を除く)が、トカゲとは異なり再生しない。しかし元々尾部は胴部に比べて非常に短いのであまり問題はない。 瞼は消失し、眼は退化していることがほとんどで、皮膚に覆われている。通常は頭頂孔(頭頂眼)を持たない。外耳孔と共に鼓膜が消失するため、祖先では内耳と鼓膜間で音を伝達していた外耳小柱は巨大化して前方に伸張し、下顎の骨膜に接する。地中を伝わってきた振動(音)は下顎で感知される。 最古の記録は暁新世に遡るが、化石記録が非常に乏しいこともあり、どのような先祖からいつ頃進化してきたか等についてはほとんど判っていない。 地中を掘り進む動物は、トンネル部分に存在した土の処理という問題に突き当たる。この問題の対処法としては、カニ・モグラのようにトンネル入り口まで土を運んで地表に投棄する方法や、スナトカゲのように経路としてのトンネルを残すことには無頓着に土を後方に押しやってトンネルを埋めながら進む方法などがあるが、ミミズトカゲはさらに別の方法、トンネル外壁に土を押し固めて進む方法をとっている。この方法の利点としては、トンネルを居住経路として残しながらも、土を一々地表に運ばなくてもすむという点が上げられる。ただしこの方法は、相対的に細いトンネルを掘る際にしか通用しない。このことがミミズトカゲ類が体積の割に前方投影面積の小さい形状である細長い体型に進化した一因であると考えられている。掘削に用いられる頭部(フロリダミミズトカゲ) 地中の掘削は特殊化した頭部によって行われる。掘削の方法は頭部形状によって幾つかに分かれる。銃弾型の頭部を持つ種は、その頭を土中に押し込むことによってそのままトンネル外壁に土を押しつける。シャベル状の頭を持つ種では、頭を土中に差し込み、その頭部を上に押し上げることによって外壁に土を押し固める。縦に竜骨状の構造を発達させている種では頭を土中に押し込んだ後、左右に降って同様に土を押し固める。
特徴
生態