ミノフスキー粒子
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ミノフスキー粒子(ミノフスキーりゅうし、Minovsky particle[1])は、アニメ機動戦士ガンダム』をはじめとする「ガンダムシリーズ」に登場する架空の物質。

本記事では、ミノフスキー粒子を応用した架空の技術についても解説する。
設定の経緯・変遷

『機動戦士ガンダム(以下「ガンダム」)』劇中の台詞にも登場し、散布することで通信障害を引き起こし、レーダーを妨害する不可視の物質として描かれている。ただし、機器による濃度の測定は可能とされる。

『ガンダム』の総監督である富野喜幸は、ロボットアニメの演出をおこなう際に、レーダーが万能であれば敵味方が同じフレーム(画面)の中で戦うということはありえないのが気になっていた。そこで、設定考証を担当していたスタジオぬえ松崎健一に、レーダーの使えない学術的なものとして、電波障害を強力かつ広範囲に起こす物質として設定してもらったのが本粒子である[2]。なお、名称は「富野が好き」に由来する[3]

『ガンダム』制作開始前に作られた「機動戦士ガンダム設定書・原案」による初期設定では、白ロシア系ジオン人であるミノフスキーによって開発された強力な帯電機能をもつ微粒子で、三日戦争(本編では「一週間戦争」に変更)およびルウム戦役での核兵器の大量使用によって放出されたプラズマとミノフスキー効果によって無線やレーダーが使用不能になると設定されており[4]、現在知られる設定とは一部異なる。

そして『ガンダム』の制作・放送が開始されるが、松崎は劇中でホワイトベースが空中浮揚しながら後進までかけたシーンを観て、「富野さん、なんてことしてくれんのよ!」と心の中で叫んだという。設定考証担当として、そんな話は聞いていなかったのである。しかし、放送されてしまったからには仕方がないので、泣く泣く仲間と一緒に理屈付けを始め、これを発端にミノフスキー粒子という「魔法のランプ」から急激に応用技術が拡がり出したという[5]。放送終了後の1980年7月発行の『ロマンアルバム・エクストラ35 機動戦士ガンダム』への松崎の寄稿では、本粒子の効果が初期設定の説のほかにエーテル理論の再来とも言える「ミノフスキー物理学」の技術的応用例のひとつであるとする説もあり、この説を採れば小型核融合炉メガ粒子砲、ホワイトベースの低空空中浮遊をすべて説明できるとした[6]。そして、スタジオぬえの関係者や永瀬唯が参加した同人誌『Gun Sight』で本粒子および応用技術の設定に肉付けがおこなわれ[7]、それをベースにした商業誌『ガンダムセンチュリー』が1981年9月に発行され、後発の作品や書籍などにも反映されていった。
設定解説

本粒子の物理学およびその応用技術を「ミノフスキー物理学」と呼ぶ[8]

静止質量がほとんどゼロで[6]、正粒子は負(マイナス)、反粒子は正(プラス)に[3]荷電する[6]一種の素粒子[9]。質量がほとんどゼロのためにほとんどの物質を透過し[注 1]、発生と同時に高速で拡散し[6]、十分に密度を保った状態ではその静電入力と[11]Tフォース[注 2](転換相互作用)と呼ばれる「力」によって正反粒子が一定の間隔を置いた[3]立方格子状に整列[6]結晶化[8])し、目に見えないフィールドを形成する[9]。この立方格子の電磁波作用でマイクロ波よりも波長の長い電波[注 3]は妨害され[6](99パーセントを遮蔽[14])、レーダーの精度が低下し、遠距離の無線通信が不可能となる[9]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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