ミニディスク
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この項目では、1992年に日本で発売されたオーディオディスクについて説明しています。1980年ごろにドイツで開発されていたオーディオディスクについては「ミニディスク・マイクロディスク」をご覧ください。
.mw-parser-output .pathnavbox{clear:both;border:1px outset #eef;padding:0.3em 0.6em;margin:0 0 0.5em 0;background-color:#eef;font-size:90%}.mw-parser-output .pathnavbox ul{list-style:none none;margin-top:0;margin-bottom:0}.mw-parser-output .pathnavbox>ul{margin:0}.mw-parser-output .pathnavbox ul li{margin:0} メディア (媒体) > 記録媒体 > 光磁気ディスク > ミニディスク メディア (媒体) > 記録媒体 > 光ディスク > ミニディスク

ミニディスク(英語: MiniDisc)は、ソニー1991年平成3年)に発表し、翌年の1992年(平成4年)に製品化したデジタルオーディオの光ディスク記録方式、および、その媒体である。略称はMD(エムディー)。MDレコーダーやMDプレーヤーなどで録音・再生ができる。

アナログコンパクトカセットを代替するという目標が開発の背景にあった[1]

2000年代後半以降、録音媒体としては主にフラッシュメモリに取って代わられていった。ソニーでは2024年現在もミニディスクの販売を続けており[2]、量販店では1枚340円程度で80分ディスクが入手できる。

なお本記事では音楽用MDのほか、データ用規格であるMD DATA、長時間録音規格であるMDLP、転送規格であるNet MD、容量などを拡張した規格であるHi-MDについても述べる。
歴史
開発経緯

1980年代にソニーの大賀典雄[注 1]らによって立ち上げられたコンパクトディスク(以下、CD)はディスク特有の瞬時に頭出しができる高速ランダムアクセス機能などによって、LPレコードにとって代わり、音楽メディアとして普及していた[3]。一方でミュージックテープを含むコンパクトカセットの売り上げが頭打ちになり、その国内生産量および生産額は1988年をピークに下降し続けていたことを受け、大賀はコンパクトカセットに代わるメディアを考え始めた[3]

時期を同じくしてソニーでは、磁気テープのように記録できるディスクの開発をめざし、1986年にWrite Once Read Manyである追記型の「WO」、1988年には書き換え可能な光磁気ディスク(MO)を商品化しており、「CDを使った録音機」も試作されていた[3]。この試作機を目にした大賀は試作機を作成した鶴島克明[注 2]に「CDによる録音ではなく、もっと小さなディスクを使って記録・再生ができる、コンパクトカセットに代わるものをつくるべきだ」と指示を出す[3]

CDの時と同様にハードウェアだけでなく、ソフトウェアやメディアも含めて、世界標準規格化を進める必要があったが、CDを共同開発したフィリップスは「コンパクトカセットに代わるものはカセットだ」と、カセットのデジタル化を考えており、話し合いを重ねたが、共同はできそうもなかった[3]。そのためソニー独自で開発することとなり、CD開発に関わった開発者を集め、社内で培われたMOの光磁気記録技術を活かして、さらに小型化したディスクへの音声記録を目指すこととなった[3]

仕様に関して、ディスクの直径は6.4 cmに決まったが、CDと同様に74分の音声を収録するために、当時最新デジタル信号処理技術であったATRACによる音声圧縮技術を開発し、同時に再生時の振動による音の途切れを抑えるために、半導体メモリーを使った「ショックプルーフメモリー」という技術を開発した[3]

こうして1991年5月、「ミニディスク(MD)」システムを発表、その際CDは自宅で、MDはウォークマンのように持ち運ぶなど、使用目的を明確にした[3]。そして大賀はMDを業界標準にするために日米欧で説明会やデモンストレーションなどを行い、有力なハード、ソフトメーカーと次々とライセンス契約を結んでいった[3]。ハードウェア開発陣にMDの商品化が伝えられたのは同年末のことで、開発者はウォークマンやポータブルCDプレーヤーの「D-50」を担当した者たちであった[3]。発売目標は共同できなかったフィリップスが立ち上げたデジタルコンパクトカセット(DCC)と同じ1992年11月と決められたが、この時点で発売まで1年もなく、開発者たちは連日の徹夜続きとなった[3]

その後、機器の発売に合わせてMD音楽ソフト、録音用のメディアも準備されていき、1992年8月にはMDソフトの量産が始まり、同年9月に商品発表された[3]
発売

1992年11月に録音・再生機の「MZ-1」、再生専用機の「MZ-2P」、録音用メディアの「MDW-60」、MD音楽ソフト88タイトルが発売された[3]

発売後、MDはCDと同様の使い方ができるように初めから考えられていたので、音声・画像・文字用の「MD DATA」(1993年)、画像用の「MDピクチャー」(1994年)が規格化された[3]。その後も1996年には動画用の「MD DATA2」、2004年には音声・ストレージ用のHi-MDが策定された。

1995年には業界全体でMDのハードウェアの国内販売台数は100万台に達した[3]。ディスクの出荷数の推移については「#累計出荷数」を、ハードウェアの出荷数の推移については「MDレコーダー#累計出荷数」を参照
衰退

MDはCD-Rが発売される前の録音メディアとして、CDと同等の操作が可能であり、コンパクトカセットの欠点である頭出しをすばやく行えることで人気を呼び、2000年代に入ってもなお愛用者が多かったが、2000年代中期にソニーを含む各社からフラッシュメモリを使用したデジタルオーディオプレーヤーが発売され、また2001年に発売して以来ヒットしていたAppleiPodにおいて、ディスクレスかつハードディスクドライブに最大10,000曲もの音楽を保管できるメリットを伝えるため、2004年に「Goodbye MD」とウェブページ上で喧伝[5] するなど、MDを上回る容量や利便性・携帯性を有したプレーヤーが登場したことで、次第にMD離れが進み[注 3]、2000年代後半ごろからMDの録音再生機器の製造・販売が縮小していった[注 4]。詳細は「MDレコーダー#歴史」を参照
録音用MD

2000年代半ばごろからMD機器の出荷数減少に伴い、ディスクの流通も減少していった。ただし、現在流通している音声記録メディアではCDレコーダーDATとともに、パソコンを一切使用せずにCDなどからの音源を直接デジタル録音できる数少ないメディアであるため、パソコンやスマホを持たない、あるいは持っていても十分に使用することが困難なユーザーなど、一部では未だに根強い需要がある。そのためミニディスクそのものは、スーパーマーケットなどでも大抵は5巻パックなどが揃っている場合が多く、ビクターアドバンストメディア(Victorブランド)製『MD-80RX5/MD-80RX10』と2001年1月に発売したパナソニックの『AY-MD74D』が、その他の単品ディスクは大創産業イメーションTDK Life on Recordブランドのみ。現:韓国オージン・コーポレーション)からも発売されていたが、それぞれ生産・販売終了となった。2023年現在では唯一、ソニーが2015年11月に発売した80分ディスクの『MDW80T』を生産・出荷・販売しており、家電販売店ホームセンター、オンラインショップなどで単品(1枚)から入手(購入)可能である。
再生専用MD

再生専用MDは2001年をもって新譜の発売が終了した。以下の要因で普及しなかった。
機能面


音声圧縮によりCDと比べて音質や情報量が劣る。特に登場当初はエラー修正に容量を割いていたため記録量が半分しかなく、DATはともかく、競合規格のDCC以上にオーディオマニア層に嫌われた。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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