ミズナラ
ミズナラ(2005年7月・北海道釧路湿原)
分類
ミズナラ(水楢[10]、学名: Quercus crispula var. crispula)は、ブナ科コナラ属の落葉高木。コナラよりも葉が大きいナラの仲間で、別名オオナラ(大楢)ともよばれる[11][12]。温帯の落葉広葉樹林の代表的構成種である。和名の由来は、ナラの仲間で、材に水分が多く含み燃えにくいことによる[13][12]。
シノニムは Quercus mongolica var. crispula。これは本種を北東アジアの広範囲に分布するモンゴリナラの変種と考えての扱いである。 近縁のコナラやクヌギより寒冷な気候を好み、アジア北東部の日本、朝鮮半島、樺太(サハリン)、南千島に分布する[14][10]。日本では北海道、本州、四国、九州の鹿児島県高隈山を南限に分布し[14]、山地から亜高山帯にかけて自生している[11]。本州中部以南では標高1000 m以上に出現するが、北海道では標高の低いところにも生え、ほとんど海岸にも群落をつくる[15]。 ブナと並んで落葉広葉樹林の主要樹種の一つで、寒い地方の雑木林に多く見られ、ブナと混生することも多い[16]。ブナに比べると、やや明るい場所を好む。特に火山灰地などに多く、土壌的な極盛相 落葉広葉樹の高木で[14]、樹高はふつう15 - 30メートル (m) ほどになり[13]、大きなものでは35 メートル (m) に達する。幹の太さは、大きなもので直径2 mにもなる[15]。樹皮は黒褐色から灰褐色で、縦に裂け目が入ってはがれる[14][19]。若木の樹皮はなめらかだが、次第に縦に割れてくる[19]。一年枝はやや太く、褐色や紫褐色で無毛[19]。枝の髄は星形で褐色を帯びる[19]。 葉はごく短い葉柄がついて互生し[14]、つやのない緑色で、葉身は長さは7 - 20センチメートル (cm) の倒卵状長楕円形で[13][10]、コナラよりも大きく波打つようなはっきりした鋸歯(輪郭のギザギザ)がある[14]。カシワとコナラの葉の中間的な大きさで、大きな鋸歯と葉柄がほとんどないことがミズナラの葉の特徴である[12]。葉の裏面は淡緑色[10]。葉柄はごく短い[16]。秋の紅葉は黄色から黄褐色に色づくことが多く、やがて橙色から褐色を帯びる[16]。寒冷地の日当たりのよいところでは赤みが強く紅葉することもある[12]。冬には葉は散って落葉する[12]。 花期は晩春から初夏(5 - 6月ごろ)で[11]、雄花序
分布・生育地
形態・生態
果期は10月で[13]、夏の間は青い状態の果実(ドングリ)が、年内の秋には熟す[10]。殻斗は、こぶ状の突起がある鱗片に覆われている[14]。ドングリの大きさは、長さ15 - 20ミリメートル (mm) の卵状楕円形[13]。果実はリスやクマ、エゾシカ、ノネズミ、野鳥などの重要な食糧となり、野生動物が好んで食べる[20][13]。
冬芽は長卵形で頂芽のまわりに複数の頂生側芽がつき、小枝に側芽がらせん状に互生してつき、下のものほど小さくなる[19]。冬芽には稜があり、褐色で無毛、多数の芽鱗が重なるように包んでいる[19]。葉痕は半円形で、維管束痕は散らばるように多数ある[19]。 種としても分布上もカシワに近く、カシワとの中間種としてモンゴリナラ(学名: Quercus mongolica)がある[15]。ミズナラは、モンゴリナラの変種としても扱われている[15]。また、ミズナラよりもやや南に分布するコナラ(学名: Quercus serrata)にも近い関係にある[15]。
樹皮
葉
花
実
紅葉
近縁種