この項目では、クモの一種について説明しています。忍者の道具については「水蜘蛛」をご覧ください。
ミズグモ
ミズグモ
保全状況評価
絶滅危惧II類(環境省レッドリスト)
分類
*A. a. japonica
ミズグモ(水蜘蛛、学名:Argyroneta aquatica)は、節足動物門クモ綱クモ目に属するクモの1種。世界で唯一水中生活をするクモである。水際で生活するクモや、時々水中で活動するクモは珍しくないが、水中生活と言って良いのはこの種だけである。
1科1属1種で、ミズグモ1種でミズグモ科、ミズグモ属を構成するとされるが、ナミハグモ科(Cybaeidae)に分類されることもある[1]。目次 ミズグモは、1cm程度の大きさの黒っぽい体色のクモである。全身が毛深いことを除けば、外見上は近縁のタナグモ科
1 特徴
2 生態など
3 分布
4 間違われやすいクモ
5 伝承
6 出典
7 参考文献
8 関連項目
特徴
体長は雌雄とも8-15mm、頭胸部は赤褐色、腹部は灰色から黒褐色、特に斑紋はない。歩脚も褐色から黒褐色。背甲前方に2列8個の眼が並ぶ。頭胸部は卵形、腹部は楕円形、篩疣も間疣もない。
形態的には水中生活にふさわしいような特徴があまりない。ただ、第3・第4脚の腿節内側に長い毛を密生する。これは水中活動する際に空気を抱える部位に当たる。また。気管気門が一般のクモでは腹部腹面後方の糸疣近くにあるのに対して、ミズグモではほぼ中央にあり、空気を抱える後方歩脚間に近いのも、水中生活への適応ともとれる[2]。
日本固有亜種(A. a. japonica)が記録されているが、これについてはまだ確定的ではなく、変異の範囲とも見られている。 水中を泳ぐときには、体の表面を覆う微毛の間に空気の層ができるので、銀色に光って見える。水中では水草をたどって歩き、また足を掻いて泳ぐことができる。ヨコエビなどの小型の甲殻類や水生昆虫といった水中の小動物を捕らえて餌とする。 また、水中に巣を作る特性がある。巣は糸を重ねてできた膜によるドームで、ここに空気を蓄え、その中で休息する。空気は水面に出て、後ろ足の間と腹部の微毛の間に通常より厚い空気の層を抱えるようにして潜り、巣内に放すことを繰り返して集める。餌はこの巣に持ち帰って食べる。卵嚢もこの巣の中に作る。幼生はふ化後はそのまま水中に出て、巣を作って水中生活を始め、バルーニングは行わない。 ただし水中生活への適応は、例えば昆虫のゲンゴロウのような完全なものではなく、時折り陸上に出て体を乾かさなければならない。水槽内で飼育する時、水草などが入っていても、水面から出ていられる場所を作らないと、次第に体の表面に空気を維持できなくなり、水底に沈んでしまう。この段階で取り出し、体を乾かしてやれば回復するが、放っておくと溺死する[3]。 ヨーロッパから日本を含むアジアまで、旧北区に広く分布する。上記のように、この種はバルーニングを行わないため、この広い分布がどのように実現されたのかは興味深いところである。 日本では、1930年に京都市の深泥池で吉沢覚文(当時中学3年)が初めてミズグモを発見・採集した。彼はタヌキモを採集観察中にこれを発見し、「子供の科学」誌で見たミズグモを思い出して調べたところ、どうやらそれらしいと判断、ところが周囲の誰に聞いても「日本にミズグモはいない」と言われたという。しかし博物科担当教諭であった秋山蓮三、清水初太郎が実物を見た上で岸田久吉に連絡、岸田は京都に出向いてこれを観察、ヨーロッパのミズグモと同じ種であると確認、新聞紙上をにぎわすまでのニュースとなった[4]。
生態など
分布