「ミスキャンパス」は、日本の大学で、在校生を候補として行われるミス・コンテストの通称・総称である。大学祭の催事として実施される場合が多く、模擬店などを抑え大学祭で1番注目される催しとする調査もある。全国で開催される数は200を超えるとみられ[1]、その半数以上はミスター・キャンパスと同時開催されるとみられる。
1コンテストあたり5名から6名程度がファイナリストとして活動し、ネット投票や会場投票などを通じ内1名がグランプリとして選ばれることが多い。一部の大学におけるミスキャンパスは、女性タレントや女子アナウンサーへの登竜門ともなっていることで知られる。 ミスキャンパス・コンテストは、1950?70年代頃から開催されているとみられる。女優の野際陽子は在学中にミス立教に選ばれ、1958年にNHKに入局している。ミス青山学院は2015年時点で開催40回目を迎え[2]、ミス慶應は1975年に第1回が開催されている[3]。大学により異なるが、学園祭実行委員会や学友会などが主催することが多い。 基本的には、学園祭の催事、余興の一つではある。地域活性・振興を目的としているコンテストもある。「女子学生が社会とつながり自己実現を目指すためのツール」と表現した大手新聞社もある[4]。 その年の、春4?6月頃に出場者の募集を行い、夏7?9月頃にファイナリストの発表を行い、10?12月頃の学園祭シーズンにグランプリ発表を行うといった一連の流れがある。なお、各大学でのコンテスト後の時期である12?3月頃、各大学で選ばれたミス・キャンパスの中から、日本一のミス・キャンパスを決定する「Miss of Miss CAMPUS QUEEN CONTEST」(ミスオールキャンパス)が2003年より開催されている。 ファイナリストを発表することを「お披露目」と呼ぶことがあるが、お披露目以降、ファイナリストは大学や地域などの各種イベント参加や、学内外の各種メディアなどの取材・撮影への参加、本番日に向けてのウォーキングやスピーチのレッスンを行うなどする[5]。大学によってはファイナリストの活動期間は約半年間に及ぶ。近年、活動期間中、SNSを開設し広報することも多く、広報活動の開始が早い大学の候補者はTwitterアカウントのフォロワー数が軒並み1,000?15,000程度になるなど、SNS上における影響力が高い[6]。 ウェブ投票や会場投票を通じて審査が行われることが多い。 ウェブ投票では、全国の方が選考に参加できることが多い。候補者のSNSを見て誰に投票するかを決めるというのも昨今の潮流としてあり、SNSを通じて候補者の内面も審査に影響するとの見方がある[7]。 会場投票では、投票前にダンスや歌などの自己PRの披露があることも多く、それらが評価に影響することもある。また、テーマ発表が行われることもある[1]。なお、ステージでのゲームやクイズなどで評価される大学もある。 ミスキャンパス同志社は地域貢献活性・地域振興を掲げ発足[8]、ミスあべの(大阪府立大学・大阪市立大学)も、両大の交流とともに、阿倍野の地域活性化を目的としている[9]。ミス関大と吹田商店街のケースのように地域活性化につなげようとする動きも見られる[4]。ミスキャンパス立命館とサッカーの京都サンガによるサンガキャンパス隊[10] などのように、地域のプロスポーツチームのPRを行うケースもある。 かなざわ学生フェス ミス&ミスターコンテスト、広島キャンパスコレクション、福島ミスキャンパスコンテスト、キタQミスキャン![11] などのように、地域内において大学の垣根を越えて、地域のメディアやイベントなどと連携をとりコンテストを開催するケースもある。静岡出身ミスキャンパスによる「さわやかGreen teaラボ」[12]、熊本出身ミスキャンパスによる「よかモン熊本ラボ」[13]、ミスキャンパスによる鹿児島・奄美の魅力を発信する「もぜ(鹿児島弁・かわいい)!かごんまラボ」[14] といった取り組みなどもある。 お披露目から本番日までの間に、スピーチやウォーキングといった各種レッスンを行うコンテストも多い。他にも例えば、ミスキャンパス同志社は、セルフプロデュースレッスン、肌メイクレッスン、生け花体験、茶道体験、女性のキャリア・自己分析イベントなどを活動として行った事を、コンテスト公式Twitter[15]で報告している。同様に、ミスキャンパス立命館は、人間力向上レッスン、スキンケアレッスンなどを報告している[16]。 1990年代頃を中心に以降もジェンダー論的や女性の記号化に反対などの考え方もあり、ミスキャンパスを実施しない大学や、早稲田大学や明治大学のようにファッションショーによるイベントを行う大学も存在する。なお、昨今のミスコンテスト開催については、ジェンダー論や女性学の大学教授の中でも「女性が社会に出て、男性と対等にやっていけるという余裕の表れ。男性も容姿を問われる時代になったことも影響している」などとの見解もある。[17] なお、企業協賛の豪華さが報道されることがある[18] が、航空会社による航空券の提供など有名企業の豪華賞品協賛は1970年代頃より存在している。また、グッドデザイン賞も受賞したCircle App[19] など企業と大学生をつなぐプラットフォームの登場・増加などにもより、2013年頃より、ミスキャンパスに関わらず、企業による大学の学生団体・サークル・ゼミ・体育会等活動全般への協賛がそもそも増加潮流にある。 出場者のコンテスト応募動機は様々であり、将来や就職を考える上、自己成長や自己実現のため、今できることに挑戦したい、芸能界やアナウンサーへの憧れなどがある[1][4]。 出場後の感想の声としては、社会とのかかわりが持てた、視野が広がった、自分磨きの機会になった、自分に自信が持てた、自己を見つめなおせた、美意識が向上した、周囲への感謝の気持ちが生まれた、人の温かさを知れた、人に支えられていることを知れた、新たな出会いがあった、いい経験になったなどが挙がる[4][20]。 ルッキズムに加担するものであるとして、大学の名において開催することを認めない大学が21世紀に入ってから現れ始めた[21](例:東京大学[22]、法政大学[23])。上智大学では性別無関係に大学を象徴するに相応しい学生「ソフィアン」を選ぶコンテストに切り替えている[24]。 『ミス東北福祉大学』 『ミス秋田大学』 『ミス弘大コンテスト』
概要
意義
一連の流れや出場者の取組
審査
大学別の動向
地域活性・振興
レッスン・体験
ファッションショーによる代替
その他
出場者の声
批判
著名なミスキャンパス出身者
北海道・東北地区
伊東幸子(2001年/青森放送アナウンサー)
相内抄彩(2012年/元福井放送アナウンサー→山形放送アナウンサー)
千葉真由佳(2014年ファイナリスト/元NHK青森放送局契約キャスター→TBSスパークル、フリーアナウンサー)
木下遥(2015年/ドンクエンタープライズ
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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