この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(このテンプレートの使い方)
出典検索?: "ミス・マープル"
ミス・マープル(ジェーン・マープル、Miss Jane Marple)は、アガサ・クリスティ作の推理小説に登場する架空の老嬢。エルキュール・ポアロに次ぐクリスティ作品の代表的な主人公(名探偵)である。『牧師館の殺人』からクリスティ最後の作品になる『スリーピング・マーダー』まで12の長編と20の短編に登場し人気を集めた。 初登場作品は厳密には1927年に雑誌に掲載された短編「火曜クラブ」である。しかし、短編集『火曜クラブ』が刊行されたのは1932年になり、その2年前の1930年に長編『牧師館の殺人』が刊行されている。そのため初登場作品は『牧師館の殺人』とされる場合が多い。これはポアロものの『アクロイド殺し』『ビッグ4』が発表順ではなく単行本化の順になっているのと同じである。 最後の登場作品となる『スリーピング・マーダー』はマープルシリーズの完結を目的として1943年に執筆され、『カーテン』と共に死後出版の契約が結ばれた。結局生前に刊行された『カーテン』とは異なり、予定通り死後1976年10月に刊行されている。 編纂によって複数収録された話も存在するため、初出の短編集を基に挙げる。()内は、雑誌掲載などによる発表年。 マープルものだけで構成された短編集は全13編からなる『火曜クラブ』のみである。ほかイギリスで刊行された『Miss Marple's Final Cases and Two Other Stories』(直訳:ミス・マープル最後の事件簿と他2話)全8編中の6編と『クリスマス・プディングの冒険』に収録された「グリーンショウ氏の阿房宮」、計3冊にマープルものの短編全20編が収録されている。 『牧師館の殺人』では詮索好きで辛辣な性格だったが、その後の作品では詮索好きには変わりはないものの温厚であり、人好きするタイプに変わり、一般にイメージされるような優しい老婦人になっている。 生まれはヴィクトリア朝後期、出身はロンドン近郊。家は中流だった。人並みの人生を送るが、両親に結婚を反対されたことから独身を貫くことを決め、ロンドンから25マイルほど離れたセント・メアリ・ミード村[1]に移住する。その後は、編み物や刺繍、庭いじりを趣味として村に閉じこもったような暮らしぶりだが、意外に活動的で、よくロンドンや英国各地へと出かけ、カリブ海に療養に行ったことさえある。しかも、出かけた先で割と気軽に他人に話しかける(そしてそれが事件介入のきっかけとなる)ことも多く、社交性は旺盛というよりむしろ過剰な方である。 あるとき、作家である甥のレイモンド・ウェストらによって作られた“火曜クラブ”(訳によっては“火曜ナイトクラブ”)にて、家を会合の場所として貸すこととなる。当初は村以外のことは何も知らない老婆と見られて、参加者から軽んじられていたが、参加者が話す迷宮入り事件を完璧に解き、探偵としての才能を認知される。なお、これ以前から村の中で起こった小さな事件などを解決しているらしい。その後の活躍により、少なくとも3つの州の警察署長を手の内に押さえていると言われるほど[注 1]、警察関係者の間でその名が知られるようになる。 近代教育を受けていない無学な人間だと謙遜することがあるが、イタリアの寄宿女学校に留学していた経験を持ち、一通りの教養は備えている。 起こった出来事もしくは話された内容を、自身の経験、特にセント・メアリ・ミード村で過去にあった出来事に当てはめることで推理をするという点に最大の特徴がある。唐突に、一見無関係のような昔話を始めるので、初めて会った者は彼女を馬鹿にすることが多い。このような推理法が可能なのはひとえに彼女の人物に対する観察力と長年の経験に裏付けられた洞察力によるものである。そのため他の探偵達と比べると物理的な証拠をもとにした推察よりも、動機面から推理を始める傾向が強い。この傾向はクリスティ作品全般に見られることだが、ミス・マープルにはその性質上特に強く見られる。 推理スタイルや『火曜クラブ』のフォーマットなどにより安楽椅子探偵と思われがちだが、大部分の作品は他の探偵もの同様、自分から事件現場に赴いたり、出掛けた先で事件に遭遇したりしている。 ミス・マープルのモデルとなったのは作者の祖母と見られている。また、マープルの原型と呼べる人物が、『アクロイド殺し』に既に登場している(シェパード医師の姉・キャロライン)。これらはどちらもクリスティ自身が述べている。 マーガレット・ラザフォード、アンジェラ・ランズベリー、ヘレン・ヘイズ、バーバラ・マレン 劇場作品では1961年から1964年にかけてマーガレット・ラザフォード演じるMGMの映画が以下の4本製作された。
登場作品
長編
1930年:牧師館の殺人 - The Murder at the Vicarage
1942年:書斎の死体 - The Body in the Library
1943年:動く指 - The Moving Finger
1950年:予告殺人 - A Murder is Announced
1952年:魔術の殺人 - They Do It with Mirrors
1953年:ポケットにライ麦を - A Pocket Full of Rye
1957年:パディントン発4時50分 - 4.50 from Paddington
1962年:鏡は横にひび割れて - The Mirror Crack'd from Side to Side
1964年:カリブ海の秘密 - A Caribbean Mystery
1965年:バートラム・ホテルにて - At Bertram's Hotel
1971年:復讐の女神 - Nemesis
1976年:スリーピング・マーダー - Sleeping Murder
短編
1932年:火曜クラブ(訳題は米版The Tuesday Club Murdersに由来。収録作品の「火曜クラブ」とはタイトルが異なる。)
火曜クラブ - The Tuesday Night Club(1927年)
アスタルテの祠 - The Idol House of Astarte(1928年)
金塊事件 - Ingots of Gold(1928年)
舗道の血痕 - The Bloodstained Pavement (1928年)
動機対機会 - Motive v. Opportunity (1928年)
聖ペテロの指のあと - The Thumb Mark of St. Peter (1928年)
青いゼラニウム - The Blue Geranium (1929年)
二人の老嬢 - The Companion (1930年)
四人の容疑者 - The Four Suspects (1930年)
クリスマスの悲劇 - A Christmas Tragedy (1930年)
毒草 - The Herb of Death (1930年)
バンガロー事件 - The Affair at the Bungalow (1930年)
溺死 - Death by Drowning (1931年)
1939年:レガッタ・デーの事件(早川書房版は黄色いアイリス)
ミス・マープルの思い出話 - Miss Marple Tells a Story (1935年)
1950年:三匹の盲目のねずみ(早川書房版は愛の探偵たち)
奇妙な冗談 - Strange Jest (1944年)
昔ながらの殺人事件 - Tape-Measure Murder (1942年)
申し分のないメイド - The Case of the Perfect Maid (1942年)
管理人事件 - The Case of the Caretaker (1941年)
1960年:クリスマス・プディングの冒険
グリーンショウ氏の阿房宮 - Greenshaw's Folly (1960年)
1961年:二重の罪(早川書房版は教会で死んだ男に収録)
教会で死んだ男 - Sanctuary (1954年)
人物
推理法
モデル
映像・演劇作品
映画
マーガレット・ラザフォード版
Size:49 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
担当:undef