ミジンコ
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この項目では、甲殻類について説明しています。その他の用法については「みじんこ」をご覧ください。

ミジンコ(微塵子、水蚤)は、水中でプランクトンとして生活する、微小な甲殻類である。以下のようなものがミジンコと呼ばれている。
鰓脚綱枝角亜目(ミジンコ目)のもの
そのうち、特にミジンコ科ミジンコ属の1種Daphnia pulex

そのうち、特にミジンコ科ミジンコ属の1種Daphnia magna:オオミジンコ


貝形虫亜綱ミオドコーパ目あるいはカイミジンコ目のもの:カイミジンコ

カイアシ亜綱のもの:ケンミジンコ

この項ではDaphnia pulexについて扱う。なお、これらの見分け方は以下の通り。

ミジンコ(ミジンコ目):丸っこい体・両腕を広げている・卵を担いでいる・バタフライで泳ぐ(左右の腕を同時に振っている)

カイミジンコ:二枚貝の外見・はい回れる脚・クロールで泳ぐ(両腕を交互に掻いている)

ケンミジンコ:細長い体・長い触角・卵のうをぶら下げている・犬かきで泳ぐ(腹面に細かい脚)

ミジンコ(狭義)

ミジンコ
ミジンコ Daphnia pulex
分類

:動物界 Animalia
:節足動物門 Arthropoda
亜門:甲殻亜門 Crustacea
:鰓脚綱 Branchiopoda
亜綱:葉脚亜綱 Phyllopoda
:双殻目 Diplostraca
亜目:枝角亜目 Cladocera
下目:異脚下目 Anomopoda
:ミジンコ科 Daphniidae
:ミジンコ属 Daphnia
:ミジンコ D.pulex

学名
Daphnia pulex
(Leydig, 1860)
和名
ミジンコ
英名
water flea

ミジンコ (Daphnia pulex)は、鰓脚(さいきゃく)綱 双殻目 枝角亜目 異脚下目 ミジンコ科 ミジンコ属に属する淡水性の甲殻類である。
特徴

中型種で体長1.5-3.5mm、大型では5.0mmにもなる[要出典]。体は頭部を除き二枚貝のような背甲に覆われ、横から見るとひよこのような形をしている。背甲の下に卵を抱えて孵化まで保育する。ミジンコ目全体の特徴でもあるが、ミジンコに見られる大きな眼は、横から見ると左右あるように思えるが、実際は左右が融合した1つの複眼である。正面から見ると一つ目のお化けのように見える。

頭部にははっきりした吻があり、その下にある第1触角は吻端に達しない。体を覆う甲は広卵形で、後方の縁には細かな棘が並ぶ。後端にある棘状突起は甲羅の長さの4分の1以下、時にはないこともある。
生息環境

世界的に分布する。日本でも全土に分布、浅い池沼に生息する。
生態

ミジンコには、自分と同じクローンしか産まない単為生殖期と、交配して子孫を残す有性生殖期がある。一般的に、通常(環境の良いとき)はメスを産み、生存危機が迫ったときにだけオスを産んで交配するといわれている。また、エサや水温、日照時間の変化により、休眠卵(耐久卵)とよばれる卵を作り、有性生殖期には雌雄による受精卵を作ることもある。
ゲノム解読

ミジンコのDNAのサイズは約2億塩基対と小さいのに、タンパク質を作る遺伝子は少なくとも約3万900個と、これまでゲノムが解読された動物の中で最も多いことが判明している。東京薬科大学やアメリカインディアナ大学などの研究によれば、ミジンコの遺伝子は3万1000個以上にのぼり、ヒトよりも8000個も多い[1]
日本に生息する個体に関する知見の変遷

1926年以前 Daphnia morsei として分類され日本の固有種と考えられていた。

1926年
上野益三により Daphnia pulex と修正。

2015年 東北大学の研究グループにより日本各地の300か所以上の地点で捕獲した Daphnia pulex のミトコンドリアDNAと核DNAの分析結果から、日本に本種の有性生殖を行う循環単為生殖の個体群はいないこと、日本産個体のミトコンドリアDNAはいずれも Daphnia pulex のものであり核DNAの乳酸脱水素酵素遺伝子に北米産の日本には生息していない別種 Daphnia pulicaria の遺伝子が認められたこと、ミトコンドリアDNAの型と核DNAの型の組み合わせが4通りに固定していることから日本産の本種は D. pulex と D. pulicaria との雑種個体で、いずれも北米から侵入した4個体のメスに由来する絶対単為生殖のクローン個体からなる個体群で、ミトコンドリアDNAの変異比較からそのうち2個体はごく近年移入したもので、残る2個体は700年から3000年前に移入したものと発表[2][3][4]。同時に、侵入ルートや、単為生殖で繁殖したクローンであるため遺伝的多様性が低いにもかかわらず個体群を維持できた理由は不明であるとしている。なお、別に、「単為生殖を続ける個体群は有害遺伝子の蓄積により数千年で集団としての寿命が尽きる」との研究があることから、このままの単為生殖を続けた場合 Daphnia pulexの個体群は有害遺伝子の蓄積や病気による消滅の可能性があることが指摘されている[2][3][4]

利用

容易に飼育できる特性を利用して様々な利用がされている。

魚類飼育の際の餌
[5]。(使用例: メダカ

観賞用の飼育。

化学物質の生態毒性の試験[6][7]

なお、遺伝的研究などには同属の別種であるオオミジンコ D.magna が使われることも多い。ネット上などではこれを単にミジンコと表記している例もよく見かけるため、注意を要する。
脚注[脚注の使い方]^ ミジンコの遺伝子、ヒトを8000個上回る インディアナ大など AFP通信 AFPBB News 記事:2011年02月09日
^ a b So, Mika; Ohtsuki, Hajime; Makino, Wataru; Ishida, Seiji; Kumagai, Hitoshi; Yamaki, Kwnyu G.; Urabe, Jotaro (2015). ⇒“Invasion and molecular evolution of Daphnia pulex in Japan”. Limnology and Oceanography 60 (4): 1129?1138. doi:10.1002/lno.10087. ⇒http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/lno.10087/full
^ a bミジンコはたった4個体を起源とする北米からの帰化種だった -日本に生息する生物の意外な由来- 東北大学 プレスリリース 2015年4月7日
^ a b “日本のミジンコ、実はアメリカ外来種だった たった4個体から全国に どこから? 東北大発表”. ITmedia (2015年4月7日). 2016年2月23日閲覧。
^ ミジンコの利用に関する二, 三の実験 水産増殖 Vol.17 (1969-1970) No.1 P19-25
^ 農薬の水生動物に対する毒性試験法の確立 Journal of Pesticide Science Vol.6 (1981) No.2 P257-264
^ 化学物質の安全性試験と生態系への影響評価 Journal of Pesticide Science Vol.25 (2000) No.4 P431-434

参考文献

水野壽彦、『日本淡水プランクトン図鑑』 保育社、1964年。

岡田要他 『新日本動物図鑑』 北隆館、1976年。p.449

関連項目 .mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}ウィキメディア・コモンズには、ミジンコ属に関連するカテゴリがあります。


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