ミサイルの誘導方式
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ミサイルの誘導方式(ミサイルのゆうどうほうしき)では、ミサイル誘導爆弾を目標へ誘導する方式についての記述を参照することができる。
概論

ミサイルの誘導方式は、工学的な観点から、ホーミング誘導、指令誘導、プログラム誘導、複合誘導の4つに分類できる[1]

誘導と連携した飛翔制御(ミサイルの飛翔制御方式)により、ミサイルの飛行方向は正しく目標に向けられる。
ホーミング誘導

目標からの信号を得て追尾する方式で、信号に使用する媒体や信号を発する物により、以下のように分類できる。
電波ホーミング誘導詳細は「電波ホーミング誘導」を参照

電波(特にマイクロ波)を媒体としたホーミング誘導電磁波のなかでも、電波は光波赤外線など)より大気圏内の透過性が高く、より長距離でも目標を探知・捕捉できることから、光波ホーミング誘導よりも長い射程で運用される傾向にある。電波(レーダー波)の放射源が、目標と発射母体、ミサイル本体のいずれにあるかに応じて、パッシブ方式とセミアクティブ方式、アクティブ方式の3種類に大別される。また、慣性誘導など他の誘導方式と組み合わせて複合誘導方式としている場合も多く、おおむね、下記のような趨勢となっている。
第1世代
セミアクティブ方式
第2世代
慣性/指令+アクティブ方式
第3世代
慣性+指令+セミアクティブ/パッシブ/アクティブ
光波ホーミング誘導詳細は「光波ホーミング誘導」を参照

光波ホーミング誘導は、光波を媒体としたホーミング誘導方式。光波は電波(特にマイクロ波)と比して、より小規模な装置で運用できる一方、周波数としての特性上から大気圏内の透過性が低く、従って目標を探知できる距離がより短いという欠点がある。このことから、光波ホーミング誘導方式の兵器は、電波ホーミング誘導よりも短い射程で、より軽便なものとして運用される傾向にある。

光波ホーミング誘導は、おおむね下記のように大別できる。

パッシブ方式 - 赤外線ホーミング(IRH)誘導

セミアクティブ方式 - セミアクティブ・レーザー・ホーミング(SALH)誘導

その他のホーミング誘導
生物誘導
生物の能力により進路のずれを観測し、操縦装置を操作して、文字通りにミサイルを操縦する方式。アメリカでは調教された鳩を使ってミサイルの誘導を行う
プロジェクト鳩という計画が存在した。
手動操縦
飛行爆弾巡航ミサイルに含める場合、日本の桜花は人間を誘導装置として利用していたことになる。
指令誘導詳細は「指令誘導」を参照

外部の射撃指揮装置の指令に従ってミサイルを操舵・誘導する方式。ミサイルの針路補正において人間がどこまで関与するか、またその操舵命令が外部の射撃指揮装置とミサイル本体のどちらで発せられるかに応じて、以下のように分類される。
指令照準線一致(CLOS)誘導方式
外部の射撃指揮装置が目標を追尾する際の照準線と、実際のミサイルの針路とのずれをもとにして、ミサイルに針路を修正するよう指示する方式。
手動指令照準線一致(MCLOS)誘導方式
射撃指揮装置による目標捕捉・追尾から情報処理に至るまでを全面的に人間に依存する方式。
半自動指令照準線一致(SACLOS)誘導方式
射撃指揮装置による目標捕捉・追尾を人間に依存し、ミサイルの誘導・操舵に必要な情報処理は射撃指揮装置において自動的に行なわれる方式。
照準線ビームライディング誘導(LOSBR)方式
ミサイルの誘導・操舵に必要な情報処理をミサイル側において行なう方式。
指令照準線非一致(COLOS)誘導方式
射撃指揮装置が目標とミサイルの双方を追尾し、双方の針路が交錯するようミサイルに対して指令する方式。
プログラム誘導

ミサイルの飛行経路を発射前に設定して誘導する方式で、ミサイルの位置を確認する方法で以下のように分類される。目標は位置があらかじめわかっている都市、港湾、建物などの戦略目標や移動しない固定目標に対して主に使用される。
慣性航法詳細は「慣性航法装置」を参照

慣性航法は慣性航法装置(Inertial Navigation System, INS)にジャイロを用いた加速度計が装備されミサイルに加わった加速度と方向から事前に設定された進路とのずれを計算し、ずれを補正するように制御装置に指令を出す事で進路を保って誘導する。主に長射程ミサイルの中間誘導に使用され、弾道ミサイル巡航ミサイルと長射程の対艦ミサイルなどに用いられる。核弾頭を搭載する弾道ミサイルでは終末誘導装置を持たずに慣性航法装置だけを搭載するものも多い。これは大威力の核弾頭を用いれば着弾誤差がかなり大きくなっても目標を破壊することができるためである。慣性誘導は地形など外部からの信号を観測することなく飛行できるため、この誘導を妨害することは撃墜しない限りは不可能である。
衛星航法詳細は「衛星測位システム」を参照

衛星航法とはGPSなどの衛星からの電波をもとにミサイルを誘導する。アメリカの誘導爆弾であるJDAMや改良型トマホーク巡航ミサイルであるTACTOMや対レーダーミサイルであるAGM-88 - HARMで使用されている。ただし、妨害電波環境や山岳地等で衛星からの電波が受信しにくい状況では使用できない。
GPS補正

GPS補正誘導とは短距離弾道ミサイルや誘導砲弾や誘導ロケット弾の落下終末段階でGPS衛星からの電波をもとにミサイルを誘導する。なお、GPS以外の衛星測位システムによる誘導もGPSと俗称する。

中国の短距離弾道ミサイルDF-15は終末GPSと北斗によって慣性誘導を補正しCEP30?50 mを得ているという[要出典]。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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