マーズ・オービター・ミッション
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Mars Orbiter Mission (Mangalyaan)
火星周回軌道上の衛星(想像図)
所属ISRO
公式ページ ⇒Mars Orbiter Mission
国際標識番号2013-060A
カタログ番号39370
状態運用終了
目的火星探査
観測対象火星
計画の期間300日
打上げ場所サティシュ・ダワン宇宙センター
打上げ機PSLV-XL
打上げ日時2013年11月5日 9時8分(UTC)
軌道投入日2014年9月24日 2時(UTC)
通信途絶日2022年4月
物理的特長
質量1337 kg
発生電力840 W(火星周回軌道上)
主な推進器440 Nスラスタ
姿勢制御方式3軸姿勢制御
軌道要素
周回対象火星
軌道傾斜角 (i)150度
軌道周期 (P)76.7時間
観測機器
MCC火星用カラーカメラ
TIS熱赤外線イメージング分光計
MSM火星大気メタンセンサー
LAPライマンα線フォトメータ
MENCA火星高層大気粒子質量分析計
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マーズ・オービター・ミッション(Mars Orbiter Mission、MOM)とは、インド宇宙研究機関(ISRO)による火星探査計画である。火星を長楕円軌道で周回しつつ、5つの搭載機器で観測を行う計画であり、その周回探査機は非公式の愛称としてMangalyaan(マンガルヤーン「火星の乗り物」)と呼ばれている。探査機の火星周回軌道の投入や火星探査にも成功し、当初の目的は達せられた。
概要
計画

マーズ・オービター・ミッションは2012年8月4日にインド政府によって承認され、マンモハン・シン首相は同月15日の独立記念日演説において、国民に向けインド初の惑星探査機で、火星を目指すと発表した[1]

これがインドで初めての地球の引力圏を脱出させる試みであり、全てインドの技術だけで探査機の開発を行った、言わば、インドの惑星探査技術の実証ミッションであった[2]。探査機にはインドの気象衛星Kalpana-1や測位衛星IRNSS-1と同じプラットフォームである「I-1K」を用い、インド宇宙研究機関の衛星センター(ISAC)において組立が行われた。メインエンジンとしてモノメチルヒドラジン四酸化二窒素を使用する2液式ロケット(推力440 N)を搭載し、その他に、姿勢制御用として小型スラスタ8基(推力22 N)を備える。
ミッション実行マーズ・オービター・ミッションの打ち上げ

2013年11月5日にサティシュ・ダワン宇宙センターよりPSLV-XLロケットを使用して打ち上げられ、近地点252 km、遠地点28,825 kmの楕円軌道に投入された後、やり直し1回を含む計6回のスラスタ噴射を順次行って、11月16日には遠地点高度を192,874 kmへ引き上げた。その後12月1日に22分間のスラスタ噴射を行ってさらに加速し、地球周回軌道を離脱して火星へ向かう遷移軌道に入った[3]。火星到達は2014年9月24日の予定とされた。その後、火星付近で減速して、近火星点365 km、遠火星点80,000 kmの長楕円軌道に投入し、可視光カメラによる地表観測、地表の鉱物分布、火星大気の逸出状況、生命活動に由来するメタンの存在有無に関する調査を300日間にわたって行う計画であった。

探査機との通信はカルナータカ州Byalaluに所在する、インド深宇宙ネットワーク(英語版)の32 mのパラボラアンテナを用いて行われ、バンガロールのテレメトリー追跡コマンドネットワーク(ISTRAC)が探査機の管制を行う。この探査ミッションは、7200万ドルの低コストであると共に[4]、政府によって計画が承認されてから打ち上げまで僅か1年5ヵ月という異例の短期間で成し遂げられた。

2014年6月16日インド宇宙研究機関は、同年9月24日に火星の周回軌道上に達する見通しだと発表した[5][6]。9月24日7時30分過ぎに、予定通り火星周回軌道への投入に成功し、インドはアジアで初めて[注 1]探査機を火星に到達させた国となった[7][8]。同日8時にはアンテナが地球の方向を向いていることが確認され、地球との交信を確保し、周回軌道投入の成功が明らかとなった。探査機からは火星の上空7.3 kmから地表を撮影した写真が届き、ISROはTwitterの公式アカウントを通じて、これを公開した[9][10]。観測機器も動作し、探査機による観測データは世界中の研究者に公開された[11]

2022年9月27日にインド宇宙機関が開いた記者会見で、探査機が長期にわたる日食後同年4月に通信が途絶し、推進剤が枯渇した可能性があることが指摘された[12][13][14]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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