マーク・カーニー(Mark J. Carney、1965年3月16日 - )は前イングランド銀行総裁、前金融安定理事会(FSB)議長、前カナダ銀行総裁。2021年よりストライプ取締役。
来歴で地元の高校で校長をつとめていた父と元小学校教師の母のあいだに次男として生まれる。兄弟は兄と弟、妹の4人兄弟。1971年、父親がアルバータ大学の教育史教授に就いたことで家族はアルバータ州エドモントンへと引っ越す。
そんな教育一家に育ったカーニーは1988年、ハーバード大学で経済学学士号を取得。次いでオックスフォード大学セント・ピーターズ・カレッジ及びナフィールド・カレッジ(英語版)に学び、1993年に経済学修士号、1995年には経済学博士号を取得し[1][2]、卒業後ゴールドマン・サックスに入社した[3]。ロンドン、東京、ニューヨーク、トロントのオフィスを渡り歩き13年間勤務。その間、様々な部門で要職に就き、順調にキャリアを積んでいった。特にロシア財政危機が起きた1998年は、アパルトヘイト後の南アフリカ新興債券市場への投機的業務に関わっており、ひたすら仕事に没頭していたという[4]。
2008年2月1日にはカナダ銀行総裁に7年間の任期で任命された[5][6]。G8参加国の中央銀行総裁では最年少[7]。2011年には金融安定理事会(FSB)議長に就任。2012年11月26日に、公募による選定でイングランド銀行の総裁への就任が発表された。任期は2013年7月1日の就任から5年間の予定。同年6月にカナダ銀行総裁を退任した。
2019年12月1日、イングランド銀行総裁退任が予定されていたことに伴い、国際連合のアントニオ・グテーレス事務総長より、マイケル・ブルームバーグの後任として気候変動問題担当特使に任命された[8][9]。2020年1月、ボリス・ジョンソン首相によって、グラスゴーで行われる第26回気候変動枠組条約締約国会議(COP26)の金融顧問に任命される[10][11]。同会議は、当初2020年11月に開催される予定であったが、後に2021年11月に延期された[12]。
2020年8月26日の時点で、カーニーは、ブルックフィールド・アセット・マネジメントの副会長を務めており、ESG(environmental, social and governance)及びインパクト投資戦略部門を統括している[13][14]。 2016年12月、リヴァプール・ジョン・ムーア大学で行われた公開講義(ロスコー・レクチャー)において、カーニーは、「すさまじい富の不平等」という社会的なリスクについて次のように警告した。「アメリカ人の1%である最富裕層が保有する富の割合は、1990年の25%から2012年の40%へと増加している…グローバルに見ると、世界の1%である最富裕層が持つ富の持分としては、2000年の3分の1から2010年の2分の1へと増大している」[15] カーニーは、ブレグジットはイギリス経済に悪影響を及ぼすことが見込まれるとして、イングランド銀行総裁時代に複数回にわたって警告を行っている。そのため、イギリスの欧州連合離脱に関する国民投票に当たってEU残留を支持する発言をしたとして、ブレグジット支持派の活動家からは同銀行の立場としては政治的に過ぎると非難された[16][17]。これに対し、このような問題に関して声を上げるのは同銀行にとっての義務であるとカーニーは回答している[18]。
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