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ブラジル北部のパラー州にあるマングローブ林
マングローブ(英: mangrove
[1])とは、熱帯および亜熱帯地域の河口汽水域の塩性湿地にて植物群落や森林を形成する常緑の高木や低木の総称[2][3][4][5][6][7]。漢訳した日本語で「紅樹(こうじゅ)」といった場合、オヒルギ[3]、または、オヒルギなどヒルギ科の常緑樹[2][7]、あるいは、マングローブの構成種全般[2]を指す。また、集合体すなわち植物群落[6]または森林としては英語で "mangrove thicket"[ en: mangrove〈マングローブ〉+ thicket〈低木の茂み、薮、雑木林〉]といい[8][6]、日本語ではこれを訳して「マングローブ林( - りん)」という[8]。さらに、漢訳した日本語では「紅樹林(こうじゅりん)[2][3][4][5][6][7][9]」といい、時に@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}「海漂林(かいひょうりん)」ともいう[要出典]。なお、種の総称としての「マングローブ」と集合体としての「マングローブ林」は、研究者や辞事典[4][5][7]も含めて厳密に使い分けされているとは言えず、前者は後者の意味でも用いられる。後者の表現に限って前者を指すことはまずない。 マングローブ林は2016年の時点で126の国や地域に分布しており、分布総面積は約1520万ヘクタールと推定されている[10]。主として、オセアニア(南洋諸島からオーストラリアまで)、東南アジアを主とするアジア大陸南東部、インド亜大陸、東アフリカ南部(マダガスカル島を含む)、西アフリカ、南アメリカ大陸北部、中央アメリカと西インド諸島、北アメリカ南部(メキシコとフロリダ半島)の沿岸地域に分布する(■画像を参照)。日本では南西諸島全域と九州南部(沖縄県全域と鹿児島県南部)に自然分布するが、本州にも人工的に移植された場所がある(※後述:#日本のマングローブ)。一方で伊豆・小笠原・マリアナ島弧には見られない。 特に20世紀後半以降、世界中のマングローブ林の多くは開発による伐採が問題になっている(後述) マングローブの語源は、マレー語で潮間帯に生育する樹木の総称を表すmangi-mangi(マンギ・マンギ)に、英語で小さい森を表すgroveの合成である[11]。 マングローブという用語は「森林全体」と森林を構成する樹木の「種」を表す場合があり、混乱を招くため、前者を「マングローブ(林)」、後者を「マングローブ植物」と使い分けることが一般的である。また、前者をマンガル(mangal)、後者をマングローブと区別することもある[12][13]。 マングローブ林は一般的に熱帯から亜熱帯の、波浪の影響が弱い、中等潮位付近から最高高潮位までの高位干潟に成立する[10]。宮城豊彦は、マングローブ林が成立する立地を次の3つに分類している[10]。 波当たりのない、遠浅で汽水の場所であるので泥がたまりやすく、泥質に生育する樹木には往々に見られることであるが、泥質の中は酸素が不足がちになるため、呼吸根といわれる、地表に顔を出す根を発達させるものが多い。マングローブの、外縁(海側)のものは満潮時には幹や一部の葉まで海水に浸り、内側のものは塩分を含む泥質ではあるが直接に海水を被ることはなくそこから陸上の植生につながる。生育する植物の種は群落内の各地点で異なり、耐塩性の違いなどによって帯状分布を示す[10]。 亜熱帯上部、たとえば日本の九州ではせいぜい2mの高さのところもあるが、熱帯地域では30mに達するものがある。また、特有のつる植物もあり、場所によっては若干の草本も出現する。 ヌマスギ属のラクウショウなど、淡水性の樹木でもマングローブによく似たものは多いがこれらはマングローブとは区別される。日本の沖縄県の南大東島には世界的に珍しい陸封されたマングローブ林がある。 マングローブは干潟の性質を持ちつつ、そこに樹木が密生する場所である。干潟は、河川上流からや海から供給される有機物が集まって分解される場所であるため、非常に生産力の大きい環境であり、多くの生物の活動が見られる場所である。しかし、表面構造の単純さが、生物にとって大きな難関になっている。
分布
語源・用語
成立条件
デルタ・エスチュアリ型
川の河口域に存在し、河川による堆積作用によって形成された干潟上に成立するタイプ
砂州・浜堤-ラグーン型
海側に形成された砂州や浜堤によって作られた、静穏な環境にあるラグーンや湿地内の干潟に成立するタイプ
干潟・サンゴ礁型
沿岸の島との間に形成された陸繋砂州やサンゴ礁によって形成された干潟上に成立するタイプ
生態系の特徴
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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