マルドゥック・スクランブル
[Wikipedia|▼Menu]

マルドゥック・スクランブル
ジャンル
SF[1]
小説
著者冲方丁
イラスト寺田克也
出版社早川書房
掲載誌S-Fマガジン
レーベルハヤカワ文庫JA
刊行期間2003年5月 -
巻数既刊16巻(2023年5月現在)
漫画
原作・原案など冲方丁
作画大今良時
出版社講談社
掲載誌別冊少年マガジン
レーベル週刊少年マガジンコミックス
発表期間2009年10月号 - 2012年6月号
巻数全7巻
漫画:マルドゥック・デーモンズ
原作・原案など冲方丁
作画皆本形介
出版社講談社
掲載誌NEMESIS(月刊シリウス別冊)
レーベルシリウスKC
発表号#31(2016年12月) - #40(2018年6月)
巻数全2巻
映画:マルドゥック・スクランブル 圧縮(第一部)
マルドゥック・スクランブル 燃焼(第二部)
マルドゥック・スクランブル 排気(第三部)
原作冲方丁
監督工藤進
脚本冲方丁
キャラクターデザイン鈴木信吾、中井準
音楽Conisch
制作GoHands
製作マルドゥック・スクランブル製作委員会
配給アニプレックス
封切日第一部:
2010年11月6日
2011年8月6日(完全版)
第二部:2011年9月3日
第三部:2012年9月29日
上映時間第一部:65分 / 69分(完全版)
第二部:62分
第三部:66分
テンプレート - ノート
プロジェクトライトノベル漫画アニメ
ポータル文学漫画アニメ

『マルドゥック・スクランブル』は、ハヤカワ文庫JAから刊行されている冲方丁SF小説。イラストは寺田克也が担当している。作品の過去のエピソードを描いた短編『マルドゥック・スクランブル プレストーリイ』が2話、『SFマガジン』誌に掲載された。また、続編の『マルドゥック・ヴェロシティ』予告編の『マルドゥック・ヴェロシティ Prologue&Epilogue』が『SFマガジン』誌に発表されている。『マルドゥック・ヴェロシティ』本編は早川書房より2006年11月に出版された。完結編である『マルドゥック・アノニマス』が2016年3月より刊行されている。

第24回日本SF大賞受賞作品[2]。『SFが読みたい! 2004年版』ベストSF国内篇1位[3]。2010年3月時点でシリーズ累計部数は50万部を記録している[4]

2005年12月にゴンゾ製作でアニメ化されることが発表されていたが、2006年12月21日に製作中止が発表された。2010年11月からGoHands製作で劇場アニメ「劇場版『マルドゥック・スクランブル 圧縮』」が全国順次公開され、映画版に併せて全面改稿した改訂新版が1冊の単行本として発売された。更に、その改訂新版を3冊の文庫に分けた「完全版」が2010年10月8日に刊行された。

別冊少年マガジン』(講談社)にて大今良時によるコミカライズが2009年10月号から2012年6月号連載された。また、『NEMESIS』(同)にて皆本形介によるコミカライズ『マルドゥック・デーモンズ』が#31から#40まで連載された。
ストーリー

少女娼婦バロットは、ショーギャンブラーにしてオクトーバー社の汚れ仕事を引き受けるシェルの計画により命を落としかけるが、シェルの犯罪を捜査する委任事件担当捜査官のイースターと、人語を解する金色のネズミ型万能兵器ウフコックにより救出され、マルドゥック・スクランブル09法に基づく禁じられた科学技術の特別使用によって一命を取り留める。

バロットは、高度な電子干渉(スナーク)能力を手に入れ、イースター、ウフコックと共にシェルの犯罪を追う。一方、シェルも圧倒的な戦闘力を持っている委任事件担当捜査官ボイルドを雇い、バロットを追い詰めようとしていた。ボイルドはかつてはウフコックと手を組んでいたこともあったが、彼我にわかれて闘うこととなる。自分の忌まわしい過去を癒し、シェルを破滅に追い込むために、バロットたちは、シェルの真の履歴データを入手する必要があり、そのデータは、シェルの経営するカジノの、百万ドルチップ4枚に分散されて格納されていることを突き止める。バロットたちは、このチップからデータを取り込むために、カジノに乗り込み、四百万ドル以上の勝ちを目指す。
登場人物

※劇場用アニメ版で演じた声優名を併記する。
ルーン=バロット(RUNE BALOT)
- 林原めぐみ本作の主人公。少女娼婦。ルーン=バロットは娼婦としての源氏名で、本名は不明。シェルの計画により命を落としそうになるが、生命の保護などに限って禁じられた科学技術の使用を認める「マルドゥック・スクランブル-09法」に基づき、全身に金属繊維による人工皮膚を移植され一命を取り留め、それにより常人より遥かに優れた身体能力と体感覚、あらゆる電子機器を触れずに操作する能力を得る。もともと一保護証人であったが、とあることをきっかけにウフコック、イースターとともに積極的にシェルの犯罪を追う事になる。その過程で否応なく多くの戦いに巻き込まれ被害者から加害者へと変わり、そこから様々な人間や弱肉強食の世界に生きる者たちと語らい、時に戦うことで真に闘う意味と自分の存在の意義を確立していく。
ウフコック・ペンティーノ
声 - 八嶋智人委任事件担当捜査官。人語を解する金色のネズミ型万能兵器。体を複数の次元に分割しており、また亜空間に貯蔵してある物質を使って様々な兵器や道具に変化(ターン)することができる。イースター、フェイスマン等が在籍した宇宙戦略研究所で開発され、匂いを元に人間の感情を読み取る能力を持っており、研究所では「金の卵」と呼ばれた。かつてはボイルドとパートナーシップを組み、マルドゥック・スクランブル-09法に基づく証人保護プログラムに従事していたが、とある麻薬事件においてボイルドに濫用され、それを機にボイルドとは決別、道具存在としての自我を確立した。またその時の経験により、周囲を感知するセンサーを全身に装備している。誠実で思慮深い性格だが、物事を真面目に考えて悩む癖があり、名前と引っ掛けて「煮え切らない」と周囲から揶揄されることもある。尻尾をつままれて持ち上げられると怒る。なお、作者によるあとがきで、映画『レオン』の主人公レオンがモデルであることが明かされている。
ドクター・イースター
声 - 東地宏樹委任事件担当捜査官。かつては宇宙戦略研究所(今の"楽園")の研究者だったが、戦争終結による研究所の廃棄が決定された際、ウフコック、ボイルド等と共に研究所を出てマルドゥック・スクランブル-09法に基づく証人保護プログラムに従事した。またバロットの人工皮膚の技術やボイルドの擬似人工重力の技術はこの研究所で開発されたもので、ボイルドの不眠活動機能についてはイースターも直接開発に関与した。シェルに殺されかけて全身大火傷を負ったバロットを救い、バロットの証言を元にシェルの犯罪を追う。髪はカオス理論に基づきまだらに染め、派手な色の白衣を着込み、多くのキーホルダーを付けているというさながらパンク青年のような容姿であったが、バロットの不興を受け服装、髪型を改めた。
シェル・セプティノス
声 - 中井和哉ショーギャンブラーで娯楽産業を総轄する大企業オクトーバー社の下で複数のカジノを取り仕切り、またオクトーバー社のマネーロンダリングも引き受けている。キディ・ポルノのスター女優で少女娼婦であったルーン=バロットをスカウトし、自らの専属娼婦として新たな氏名や身分などを与えたが、自らの計画のためバロットを殺害しようとする。これまで殺した少女の骨をブルーダイヤにして指輪に嵌めている。殺害したはずのバロットが生きていたことを知り、オクトーバー社の下で仕事をする委任事件担当捜査官のボイルドを雇い、バロットの抹殺と事件の制圧を目論む。過去にA-10手術を受けている。シザース。
ディムズデイル・ボイルド
声 - 磯部勉かつてのウフコックのパートナー、そしてウフコックを濫用の限りを尽くした男。委任事件担当捜査官。かつての大陸国家との戦争では空挺部隊員、いわゆるエリートであったが、戦争の激化により、任務に就く際に覚醒剤を服用しその中毒により味方を誤爆する。その後軍隊を除隊し、宇宙戦略研究所に保護される。その時の枯れ果てたような姿から「錆びた銃(ラスティ・ポンプ)」というあだ名をつけられる。研究所で麻薬中毒の治療を受けたが、その際に研究所の創始者、“三博士”の一人のクリストファー・ロビンプラント・オクトーバーの提案により開発されたばかりのウフコックとパートナーシップを結んだ。また、研究所で特殊検診を受け人工的に擬似重力を発生させる能力と、睡眠をまったく必要としない体を得た。研究所の廃棄が決定された後はクリストファー、ウフコック、イースター等と共にマルドゥック・スクランブル-09法に基づく証人保護プログラムに従事していたが、とある事件の解決方法を巡ってイースター、ウフコックと反目し、現在はオクトーバー社の下で委任事件の捜査に当たっている。無睡眠化とウフコックの喪失とシザース化により、ウフコックの魂を嗅ぎとる能力を信じる以外のあらゆる感情を失っている。今回の事件ではシェルに雇われバロットの抹殺を目論む。極めて巨大なリボルバー(64口径)を使用しているが、それはかつてウフコックがターン(変身)したものである。かつての濫用による殺害とオクトーバー社に取り入ったのは全てウフコックを守るため、そしてオクトーバー社に報いるためのものであったが、ウフコックやイースターはその事実を知らない。
クリーンウィル・ジョン・オクトーバー
現在のオクトーバー社の社長。シェルがバロットたちに追い詰められていることを知り、ボイルドにシェル暗殺を指令する。グッドフェロウ・ノーマン・オクトーバーの傀儡である。
誘拐屋誘拐を生業とする集団。全員が名前にある臓器を身体に移植している臓器フェティシスト集団である。人体を中心に扱う畜産業者として港に潜伏している。各員が脳に通信装置を、網膜にディスプレイデバイスを移植しており、それを用いて高度に連携をとることができる。ボイルドに雇われバロットを暗殺しようとするも、ウフコックを濫用してしまったバロットの手により返り討ちに遭ってしまう。全てはボイルドの「緊急時において、使い手がウフコックをどういう風に扱うか」を図るための、噛ませ犬に過ぎなかった。
ミディアム・ザ・フィンガーネイル
声 -
若本規夫ミディと呼ばれている白髪の中年男。元は軍人の斥候。指フェチであり、殺した相手の指を切断してコレクションし、首飾りにしたり自分の指に移植したりしている。バロットに拳銃で挑むも、はるかに優れた身体能力を持つ彼女には敵わず、壊れた洗面所の水から感電させられて戦闘不能になる。その後、一命はとりとめていたため半身を機械にして復活。ボイルドと楽園の制圧に同行する。トゥイードルディや楽園の人を傷つけて回るが、防衛装置(重力制御により空中を泳ぐサメの集団)によって排除される。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:100 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef