マルチタッチ
[Wikipedia|▼Menu]
マルチタッチスクリーン

コンピューティングにおけるマルチタッチは表面(トラックパッドタッチパネル)で2点以上のやり取りが存在することを認識するためのタッチセンシングを指す。この複数点認識はたびたびピンチ・トゥ・ズームや前もって定義したプログラムのアクティベーションといった高度な機能を実行するために使用される。

曖昧さ解消の努力や一部企業によるさらなるマーケティング分類によってマルチタッチの様々な定義が分類されている。例として3Mではマルチタッチを、3つ以上異なる位置を登録するためのタッチパネル機能と定義している[1]
マルチタッチの歴史

マルチタッチ技術やパーソナルコンピュータ以前よりタッチパネル技術が電子機器を操作するために使用されることはあった。ヒュー・ル・ケイン(英語版)やロバート・モーグといった初期のシンセサイザーや電子楽器製作者はタッチセンサー式静電容量方式センサーで音を奏でる実験をしていた[2]。1960年代にIBMは初めてのタッチパネル生産を開始し、1972年にコントロール・データ・コーポレーションが発売したPLATO IVコンピュータでは教育向け端末としてユーザーインターフェイスに16×16のシングルタッチポイントが使用された。CERNが開発したx-yの相互キャパシタンスマルチタッチスクリーンの試作品[3]

初期のキャパシタンスマルチタッチスクリーン技術の一つとしてCERNが1977年に開発したのは[4][5]、1972年にデンマークの電気技術者であるベント・スタンプが開発したキャパシタンスマルチタッチスクリーンが元になっている。この技術はスーパー陽子シンクロトロン(英語版)粒子加速器のコントロールルームで使われるユーザーインターフェイスの新型開発に使用された。

スタンプは1972年3月11日付けの手書きノートで、静電容量式タッチスクリーンを使ってディスプレイに固定数のプログラマブルボタンをディスプレイに表示する計画を書いている。このスクリーンはガラスシート上で銅のフィルムにコンデンサのセットをエッチングし、各コンデンサは指の感触により近くのフラット導体で構築されキャパシティが相当量増える。コンデンサは細い線で構成されガラスシート上で銅にエッチングされる。コンデンサは目に見えないほどの十分な細さ(80 μm)と広がり(80 μm)を必要とする(CERN Courier April 1974 p117)。最新型のデバイスでは指が直接コンデンサに触れないようにシンプルなラッカーコーティングが施されている。

マルチタッチ技術が始まったのは1982年のことでトロント大学の入力研究グループが初めての人による入力のマルチタッチシステムを開発した。このシステムではすりガラスパネルの下にカメラを仕込んでいる。一本もしくは数本の指でガラスを押した時にカメラが白背景の中で動きを示した一つ以上の黒いドットを検知することで入力を登録できるようにする。ドットの大きさは圧力(人がどれだけの圧力でガラスを押したか)で変わり、システムもやや圧力に敏感になる[2]

1983年、ニュージャージー州マレーヒル(英語版)にあるベル研究所がタッチパネルベースのインターフェイスに関する包括的なディスカッションを行った[6]。1984年、ベル研究所は複数の手で画像を変えるタッチパネルを設計した。1985年、ビル・バクストン(英語版)を含むトロント大学のグループがかさばったカメラベースの光学検知システムに代わる静電容量式のマルチタッチタブレットを開発した[2]

マルチタッチが発展し始めたのが1991年からで、ピエール・ウェルナーが数本の指とピンチングモーションをサポートしたマルチタッチの「デジタルデスク」を論文として発表した[7][8]

初期のタッチスクリーン地図用のテーブルインターフェースの一部として、ダニー・ヒリスによって、現在「ピンチ・トゥ・ズーム」と呼ばれるズームインターフェースを制御するために複数のタッチポイントを使用すること発明が公開され、特許を取得した[9]。マルチタッチにはいくつかの特許があるが、後に法廷紛争となった事例として、アップル社とサムスン間での「ピンチ・トゥ・ズーム」がある。これは「ピンチ・トゥ・ズーム」特許に関するアップル社の主張を、ヒリスの特許に記載されているという理由で却下したUSPTOの決定[10]根拠となった。

21世紀始めにこれらの発明により数社の企業が拡大していった。フィンガーワークス(英語版)という企業はタッチストリームキーボード、iGesture Padといった数種類のマルチタッチ技術を1999年から2005年の間に開発した。マルチタッチ技術のいくつかの研究は2000年代初期にコーネル大学のヒューマンファクター・人間工学教授のアラン・ヘッジによるものである[11][12][13]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:33 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef