マルス(英語: MARS : Multi Access seat Reservation System)は、日本国有鉄道(国鉄)・JRグループの座席指定券類の予約・発券のためのコンピュータシステムである。 JRの指定席券を主として、乗車券類・企画券などの座席管理・発行処理および発行管理(精算業務)を行う巨大なオンラインシステムであり、ホストシステム、端末ともに「マルス(端末)」と呼ばれることが多い。 名称について、元々は "Magnetic electronic Automatic seat Reservation System"(磁気的電気的自動座席予約装置)の略とされていたが、その後 "Multi Access seat Reservation System"(旅客販売総合システム)の略となり、現在では再び"Magnetic electronic Automatic seat Reservation System"の略となっている。ローマ神話の軍神マルスにかけたネーミングでもある。アルファベットでは"MARS"と書くが、一般には片仮名で「マルス」と表記される。 マルス1(マルスワン)が電子計算機技術のオンラインリアルタイムシステムへの応用の可能性を示したこと、現代でも実際に使われているシステムへの発展の基礎となったことが評価され、2008年(平成20年)10月、電気学会の電気技術顕彰制度「第1回でんきの礎」モノ部門に選定された[1][2][3]。 また、2009年(平成21年)には情報処理学会により「情報処理技術遺産」として認定された[4]。 マルス501の中央装置(ホストコンピュータ)は、2013年までは東京都国分寺市にあったが、その後住所を明らかにしない形で別の場所に設けられたシステムセンターに移転している[5]。このセンターは、震度7の横揺れにも耐えうる免震構造と、特定非営利活動法人日本データセンター協会 中央装置で一括管理する集中型を採用しており、中央装置は歴代日立製作所の大型コンピュータ・超大型コンピュータが採用されている。2020年(令和2年)時点で使用しているマルスは「マルス505」である。 もともとは鉄道切符(乗車券・特別急行券・急行券・座席指定券・特別車両券・寝台券など)の発売のために開発されたシステムだが、現在では乗車券類だけでなく、宿泊券、遊園地や展覧会などイベントの入場券等の販売も行えるようになっており、かつては航空券を取り扱ったこともあった。 JR鉄道駅のみどりの窓口や旅行代理店に設置される端末(MR端末、東日本旅客鉄道(JR東日本)ではMEM端末。MEX端末はJR東日本の子会社であるJR東日本情報システムがJR東日本向けに開発した端末が主流)とは、鉄道情報システムが管理するJRネットなどを経由してホストと接続されている。また、JTB(旧日本交通公社)、日本旅行、近畿日本ツーリストなど、大手旅行代理店の旅行業システムともオンラインで接続されており、旅行業側の端末でJRの指定券などを発売することが可能である。
概要
マルスシステム