マルサの女2
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マルサの女2
A Taxing Woman's Return
監督
伊丹十三
脚本伊丹十三
製作玉置泰
細越省吾
出演者宮本信子
三國連太郎
加藤治子
津川雅彦
益岡徹
大地康雄
桜金造
マッハ文朱
結城美栄子
石田弦太郎
洞口依子
小松方正
中村竹弥
笠智衆
丹波哲郎
音楽本多俊之
撮影前田米造
編集鈴木晄
配給東宝
公開 1988年1月15日
上映時間127分
製作国 日本
言語日本語
配給収入13億円[1]
前作マルサの女
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『マルサの女2』(マルサのおんな2)は、1988年公開の日本映画伊丹十三監督。前年の1987年に公開され大ヒットとなった『マルサの女』の続編。
概説

マルサ(国税局査察部=査を○で囲んでマルサ)に勤務する女査察官を主人公に、宗教法人を隠れ蓑に巨額の脱税を働く地上げ屋や、その背後に潜む邪悪な権力者たちとマルサの攻防を描いている。

伊丹にとっては「前作はマルサの入門編」であり、本当に描きたかったのは今作であるという趣旨を述べている。

この映画ではまだ当時、日本に1台しかなかった最新型のスタインベック編集機を使って編集されている[注 1]。同機は後に小林旭が購入している[4]
ストーリー

地上げ屋同士の熾烈な攻防戦が吹き荒れる、バブル期東京オフィスビルの建設ラッシュを機に、政治家建設業者商社銀行が結託して巨額の利益を上げんと欲望を燃え上がらせていた。

そんな中、大物政治家の漆原から地上げを指示された代議士猿渡は、「天の道教団」の管長・鬼沢を手配する。鬼沢は宗教を隠れ蓑に風俗業など数々のビジネスを展開し、さらにヤクザを操り地上げの嵐を吹き荒らしていた。しかもそれらの商売による所得は秘密裏に宗教法人の収入に置き換えることで課税を免れていた。

「宗教活動以外での所得は課税対象となる」という税法を盾に、やり手査察官・板倉亮子を始めとする国税局査察部・通称マルサは、鬼沢の内偵調査を行う。亮子は大蔵省のエリート官僚・三島を引きつれ、鬼沢の身辺調査に入るが、教団信者やヤクザ達の妨害に遭い、調査は難航。ようやく脱税のシッポを掴んだマルサは強制調査に着手し、鬼沢の取調べが行われるが、鬼沢は頑として金のルートを明かさず、むしろ居直って地上げの正当性を主張する。

査察部は「天の道教団」から押収した証拠から裏金の全容をつかみつつあった。そんな中、鬼沢の手下が射殺される。査察部は脱税を隠蔽するために鬼沢が口を封じたのではないかと疑うが、鬼沢本人が尋問の真っ最中に狙撃されるという事件が発生。鬼沢も「トカゲの尻尾」、つまり使い捨てられる駒でしかなかったのだ。腹心の猫田も口封じで殺されるが、危うく難を逃れた鬼沢は巨額の財産を隠していた自分のに愛人とともに逃げ込んで高笑いする。

一方、鬼沢が地上げした土地では、ビルの着工を前に地鎮祭が行われる。鬼沢を背後で操り自らは手を汚すことなく利益を得た大臣・代議士・企業幹部は、地上げ屋らが死んでいることも意に介さず、早期に建設地が確保されてそれぞれが利益を得られたことを喜びつつ談笑する。フェンス越しにその姿を見つめながら唇を噛む亮子たちを背に、利権にたかる者たちの笑い声が高らかに響いていた。
キャスト
マルサ
板倉亮子
演 -
宮本信子マルサの女。本作でもおかっぱの「マルサカット」を振り乱す。前作よりも髪と胸がボリュームアップしている[5]。愛車はホンダ・Z(初代)。
花村
演 - 津川雅彦国税局査察部統括官。独特の話術で猿渡を自供させる事に成功。
佐渡原
演 - 丹波哲郎国税局査察部管理課長。一徹な性格で漆原の圧力にも屈しない。
伊集院
演 - 大地康雄国税局査察官。
三島
演 - 益岡徹東京大学出身の大蔵省キャリア官僚。東大の事を「僕の学校」と言う癖があり、初っ端から「出身校を自慢するなら堂々としろ」と叱責されるなど、亮子にしごかれる。亮子が熱意のあまりに独断専行を犯したときには行動を共にしなかった。その結果、花村統括官から一時的に捜査活動から外れるように指示された期間にも、乞食に変装して鬼沢の身辺を伺おうと独自捜査をする亮子の姿勢に打たれ、次第に査察官として成長していく。
金子
演 - 桜金造国税局査察官。ダミー会社に入金された9億円の行方を追うも、領収書の多さにお手上げ状態となってしまう。
秋山
演 - マッハ文朱港町税務署員で亮子の後輩。「天の道教団」の税務調査の際、亮子に頼まれ、教団施設に亮子を連れて入る。
山田
演 - 加藤善博港町税務署員で亮子の後輩。
鬼沢とその主要関係者
鬼沢鉄平
演 -
三國連太郎表の顔は「天の道教団」管長であるが、裏の顔はやくざ集団『鬼沢一家』の組長で、その上宗教法人を隠れ蓑に脱税する地上げ屋。国税局の取り調べに対しても口を割らず、自らの稼業も日本の経済発展のために必要な汚れ仕事であると正当化する。しかし、結局は漆原達にとって使い捨ての駒でしかなく、「天の道教団」が隠していた裏金の記録を解読した国税局が再び行った取調べ中にヒットマンによる狙撃で殺されかける。
赤羽キヌ
演 - 加藤治子「天の道教団」教祖で鬼沢の妻。自称「衝動買いの名人」で、鬼沢に愛人ができる度に衝動買いをする。
受口繁子
演 - 柴田美保子鬼沢の家の女中で教祖・キヌの側近。鬼沢に心を寄せており、米田をハメるのに利用された見返りに鬼沢に同衾するよう求める。「繁子」の源氏名で銀座クリスティーンのホステスとしても働いている。査察が入ると鬼沢を庇って責任を負おうと取調べに対して頑なな態度を示す。
猫田
演 - 上田耕一表の顔は教団の幹部であり、裏では多数のヤクザを操る鬼沢の腹心。チビ政を「まさかの時にいつでも消せる」と鬼沢に嘯いていたが、結局は自身もトカゲの尻尾に過ぎず、殺害され海に浮かぶ。
チビ政
演 - 不破万作猫田配下のヤクザ。鬼沢の立ち上げたダミー会社「マサインターナショナル」の社長に就任し地上げを行う。借地借家法に守られて立ち退きを拒んでいる大衆食堂の夫婦に対して、「地主に対する恩はないのか「日本人の恥さらし」などと詰る。外堀を埋めた国税局は証拠固めの為にチビ政から証言を得ようとするが、その直前に鉄砲玉の青年に射殺される。
サダオ
演 - きたろう猫田配下のヤクザ。マルサに押収された鬼沢の秘密のノートを取り戻そうと、合鍵で国税局の倉庫へ忍び込むが、内側は暗証番号式の鍵があり脱出に失敗。その後、亮子が倉庫に来たスキに逃亡しようとして再び失敗し、亮子に諭されて投降する。
ハカセ
演 - 佐藤昇猫田配下のヤクザ。チビ政の手伝いに任命され、ダミー会社経営と地上げを行う。大衆食堂の脅しに使う偽物の手首をホラー映画を作っている友達に頼んで作らせたり、国税局の倉庫の合鍵作成の為に粘土で鍵の型を取るなど、地上げの技術面を担当。
奈々の父親
演 - 市村昌治500万円の借金でサラ金に追われ、金貸しのマルオの紹介で鬼沢に娘を「担保」に差し出して助けを求める、顔に大きなアザのある男性[注 2]。中央駅の手荷物預かり所の主任であったため、鬼沢達に利用される。
奈々
演 - 洞口依子父親の借金のカタとして鬼沢の愛人にされた少女。強かな性格ですぐに愛人稼業に順応してしまい、最後は鬼沢の子を妊娠する。
地上げのターゲット
大衆食堂の主人
演 -
小鹿番鬼沢の地上げのターゲットで日の出食堂の主人。頑強に地上げに抵抗するが、鬼沢の手下が切り落とした手首(ニセモノ)を見せられる脅しに屈して店を明け渡す。
大衆食堂のおかみさん
演 - 菅原ちね子ヤクザの脅し行為から必死に夫を庇う。鬼沢の手下の手首(ニセモノ)を見せられると嘔吐してしまう。
清原
演 - 石田弦太郎写真週刊誌カメラマンで鬼沢の地上げのターゲット。「自衛手段」として地上げ屋への過剰融資を記事にするとほのめかして銀行幹部を脅すが、鬼沢に巧みに謀られ、弱みを握られて部屋の明け渡し承諾書を書かせてくれと自ら懇願する。
清原の妻
演 - 結城美栄子ヤクザから日々嫌がらせを受け、疲労困憊しマンションを明け渡すように夫に言う。
米田
演 - 南原宏治大学教授で鬼沢の地上げのターゲット。


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