マニュアルトランスミッション
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「手動変速機」はこの項目へ転送されています。ATについては「自動変速機」をご覧ください。

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I - インプットシャフト、II - メインシャフト、П - カウンターシャフト、1 - インプットシャフト、2 - スプリッターハイギアホイール、3 - ベアリング、4 - スプリッターシンクロナイザー、5 - スプリッタースライドスリーブ、6 - 6速ギアホイール(破損している)、 7 - 3速-4速ギヤスライドスリーブ、8 - 2速ギヤ駆動ホイール、9 - 後退ギヤシフトレール、10 - 3速-4速ギヤシフトレール

・シフトチェンジは、手元のシフトレバーを動かし、それにつながるシフトフォーク・シャフトがスリーブを押し、スリーブをギアに噛ませることで行う。
・スリーブを移動させることで、シンクロナイザ・キーがメーン・シャフト軸方向に移動し、シンクロナイザ・リングを押す。
・シンクロナイザ・リングは、メーン・シャフト上を空転するようになっている各ギヤのコーン部分にあたり、クラッチの役目をする。
・スリーブは、シンクロナイザ・リングをギアのコーン部に押し付けて、摩擦によりシャフトとシンクロナイザ・リングとギアの動きを同期させ、シンクロナイザ・ハブとシンクロナイザ・リングとギアの歯をかみ合わせる。マニュアルトランスミッション車におけるシフトノブの例5速マニュアル車のシフトパターンの例

マニュアルトランスミッション(: Manual Transmission, MT)もしくは手動変速機(しゅどうへんそくき)とは運転者が減速比(ギア)を選択して操作するトランスミッション(変速機)。主に内燃機関原動機である自動車オートバイ農業機械などに装備されている。操作が容易で燃費・ドライビングフィールも改良されてきたオートマチックトランスミッション(自動変速機)が普及した現在は著しく減少している。
概要

一般的にマニュアルトランスミッション(以下MT)は、減速比が異なる歯車の組を、変速段数と同じ数だけ持つ。これに対し、代表的なオートマチックトランスミッション(以下AT)は、遊星歯車機構の動作を切替えて減速比を変更しており、変速段数とギアの組数は必ずしも一致しない。現代の自動車のMTは、運転者が任意のギア段に飛び越して変速できる一方、オートバイやレース車両のMTでは、隣り合うギア段でしか変速することができないものが多い。後者を特にシーケンシャルマニュアルトランスミッションと呼ぶ。

ATが開発され普及した結果、レトロニムとして旧来の手動変速機がMTと称されるようになった。イギリス英語ではマニュアル・ギアボックスとも呼ばれる。日本語の慣例ではMT、マニュアルなどと略称される。一部でMTを指して「ミッション」という略語が用いられる場合があるが、「ミッション」は「トランスミッション」の略であり、MTかATかを区別することにはならない[1]

2010年代において、日本国内の自動車販売台数におけるMTの普及台数は少なく、業務用の大型車や作業用車両、趣味性が強いスポーツタイプ乗用車などに搭載されるに留まる。またスポーツタイプでも高価格帯では殆ど絶滅状態で、フェラーリマクラーレンといった代表的なスーパーカーメーカーではMTを全廃することも珍しくなくなった。フェラーリ最後のMT設定車であるカリフォルニアでは、英国で販売された260台のうち、MTはただ1台だけであったことからもその需要の少なさは窺える[2]

一方、ポルシェBMWは依然としてMT車を残しているほか、マツダCX-8を除く全ラインナップにMTを設定するなど中低価格帯を中心に需要は多少残っている。マツダの場合アテンザは売上の10%、ロードスターに至っては75%がMTである[3]。近年はトヨタもエンジン回転数自動調節機能を持つiMT(インテリジェンス・マニュアル・トランスミッション)を開発して、一般向け乗用車に搭載するようになってきている。
内部構造

フロントエンジン・リヤドライブ車用の5速MTの一般構造図(車体を真横から見た構図)

2速における駆動力の伝達経路(破線部)

上図の構成は一例であり、上図でアウトプットシャフトに保持されている歯車がインプットシャフトに保持される場合もある。また、前輪駆動車のようにディファレンシャルギアを内蔵してトランスアクスルとなる場合もある。

自動車用のMTでは3段程度から10段を超える物まで、用途や時代に応じて異なる段数の前進ギアを備え、後進ギアは1段の場合がほとんどである。上図のようにインプットシャフトとアウトプットシャフトが同軸となるMTでは、最高段の「トップギア」で歯車を介さず両シャフトを直結して伝達する構造をとり、減速比を1:1とするものが多かった。この方式を初めて採用したのは1898年にルイ・ルノーがド・ディオン=ブートン(De Dion-Bouton)車の改造で開発した「ヴォワチュレット」(Voiturette)で、通常多用されるトップギアでMT内部の摩擦を減らし、効率よく駆動させる狙いがあった。以後、世界各国の自動車メーカーが追随する方式となっている。エンジン回転数より出力軸の回転数が高くなる(1:1以上)のギアは「オーバートップ」や「オーバードライブ」と呼ばれ、エンジン回転数を低く抑えて静粛性・経済性を高める効果があったが、その普及は道路交通の高速化が進展した第二次世界大戦以降である。MTとは別体のオーバードライブユニットが組み込まれた物もあり、代表例としてイギリスMG・MGBではシフトノブに組み込まれたボタンによって作動させた。
シャフト

MTを構成する歯車やシンクロメッシュのシャフトは複数あるが、車両の駆動方式によって、入力軸と出力軸の配置や数が異なる。例えばフロントエンジン・リヤドライブ車のように、一方から入力を受けて反対側へ出力する場合、上図のようにインプットシャフト、カウンターシャフトおよびアウトプットシャフトの3本がある。インプットシャフトとアウトプットシャフトは同軸上にあるため、一方の端が中空でもう一方の端がその中に挿入される場合もあり、この場合は両方を合わせてメインドライブシャフトと呼ばれる。一方、前輪駆動車に多い、入力軸に向かって出力する形式の場合は、インプットシャフトとカウンターシャフトの2本のみ存在する。
歯車4速MTの機構模式アニメーション

トランスミッションに組み込まれる歯車は、選択された段位の歯車だけが噛み合う選択摺動式と、各段の歯車が常時噛合いつつ、噛合いクラッチで歯車とシャフトを1段だけ接続する常時噛合い(コンスタントメッシュ、: constant mesh)式がある。

選択摺動式では、歯車はシャフト上をスライドできるように保持されている[4]。歯車の歯面を滑らせながら噛み合いと分離が行われるため平歯車が用いられる。黎明期の自動車では一般的だったが、滑らかな変速には高度な技量を要するため、現代の自動車用途では後退ギアを除いて常時噛合い式に取って代わられている[4]

常時噛合い式では、歯車はシャフトとは独立して回転し、各段の歯車は常に噛合っている[4]。歯車の側面とシャフトには噛合いクラッチ用の歯が設けられ、変速操作時は対応するクラッチスリーブがスライドして、歯車とシャフトの歯を嵌合(かんごう)させて動力を伝達する[4]
シンクロナイザー詳細は「シンクロメッシュ」および「ノンシンクロトランスミッション」を参照

自動車用のMTにはシンクロナイザー(: synchronizer)と呼ばれる機構が組み込まれることが一般的で、これを備える変速機構はシンクロメッシュ(: synchromesh)と呼ばれる。これは常時噛合い式変速機のクラッチスリーブと歯車が噛合う際に、滑らかに互いの回転速度を同調(シンクロナイズ)させる機構である。

クラッチスリーブと歯車は互いに異なる回転速度で回転している場合がほとんどで、その速度差が大きい場合は噛合い歯の衝突による騒音が発生したり、機構を傷めることもある。シンクロナイザーはクラッチスリーブと歯車の間の同軸上に介在し、変速操作によって滑らかな面で荷重を受けながら歯車へ押しつけられ、摩擦力でクラッチスリーブから歯車へと回転を伝達する方式が広く普及している。シンクロメッシュが普及したことで、自動車の運転がより容易となった。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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