マテバシイ
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マテバシイ
マテバシイの葉と堅果(どんぐり)(2005年10月)
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))

分類

:植物界 Plantae
階級なし:被子植物 angiosperms
階級なし:真正双子葉類 eudicots
:ブナ目 Fagales
:ブナ科 Fagaceae
:マテバシイ属 Lithocarpus
:マテバシイ L. edulis

学名
Lithocarpus edulis (Makino) Nakai (1916)[2]
シノニム


Pasania edulis (Makino) Makino (1897)[3]

和名
マテバシイ
(馬刀葉椎)

マテバシイ(馬刀葉椎[4]学名:Lithocarpus edulis)は、ブナ科の常緑高木である。植物分類上はマテバシイはマテバシイ属に属し、シイノキが属するシイ属とは同じブナ科でも別属に分類されるため、葉や幹などの外見はシイノキに似ているものの系統上はシイノキの近縁の別属である。日本に自生するマテバシイ属の植物は、本種とシリブカガシの2種のみである。
名称

学名種小名の edulis は英語の edible に相当するラテン語の形容詞で「食べられる」という意味である。和名は葉がマテガイに似たシイノキであるという意味がある。

単にシイよばれることもあるが[5]、別名で、マテバガシ[6]、マテガシ[6]、マタジイ[6]、サツマジイ[6]、アオジイ、トウジイ[5]ともよばれる。サツマジイ(薩摩椎)とよばれるのは南方に多いことを示しており、オオジイ(大椎)とよばれるのは葉が大きいことからの呼び名であろうと、植物学者の辻井達一 (1995) が述べている[7]
分布・生育地

日本本州房総半島南端、紀伊半島四国九州から南西諸島に分布し[8][注 1]。温暖な沿岸地に自生している[8]関東地方に多く、特に房総半島では普通に見られる[7]。人手によって、寺社の境内や公園などにも植えられている[10]
形態・生態マテバシイのドングリ

常緑広葉樹の高木で[4]、樹高は15メートル (m) になる。幹は表面が滑らかな淡灰褐色で縦に筋が入り、下部の枝がない樹形になる[4][11]。若枝は灰褐色で無毛である[4]

互生してよく茂り、長さ5 - 20センチメートル (cm) の倒卵状長楕円形で全縁、葉身は厚い革質で厚く、表面が平滑で光沢がある濃緑色、裏面は灰緑褐色で細かい鱗毛が生えている[10][6]。葉の大きさは、ツブラジイスダジイよりも大きい[7]

花期は6月頃で、雌雄同株[10]。雄花、雌花とも葉の付け根から直立して黄褐色の10 cm程度の穂状花序をつけ[6]クリの花のような匂いがする[10]雄花の花序は黄褐色で長さ5 - 8 cmあり[6]、皿状の花被から長い12本の雄蕊が突き出る。雌花の花序は緑色で長さ5 - 9 cmあり[6]、3つに分かれた雌蕊がある。

果実堅果(いわゆるドングリ)で、長さ2 - 3 cmの長楕円形、翌年の秋(10月頃)に熟す[6]。下部は直径1.5 cmの椀形の殻斗に包まれ、その表面につく鱗片は瓦重ね状に並んでいる[6]

冬芽は球形で淡緑色の複数の芽鱗に包まれて、葉の付け根につき、枝先に花芽が数個つく[4]。葉痕は半円形で、維管束痕が3個ある[4]
利用

樹木は街路樹、防風樹、防火樹として植栽される。材は建築材・器具材・木炭・薪[8]、果実はタンニンをあまり含まないため、アク抜きを必要とせず、そのまま炒って食用になる。炒って食べるとおいしく食べられる一方、生食でも食べることはできるが、あまりおいしくはない[10]。食味は、スダジイツブラジイに比べると落ちると評されている[7]。粉状に粉砕してクッキーの生地に混ぜて「縄文時代のクッキー」として味わうこともできる。
植栽

植栽可能地は、日本では東北地方南部から沖縄の範囲とされ[6]、各地の暖地に植栽されている[4]。マテバシイは葉が大きく密につくため、列植すると遮音性が高まり防音効果が期待され、大気汚染にも強いことから、往来の多い道路沿いに最適な樹種であると言われている[11]。植栽適期は、3月下旬 - 5月、6月下旬 - 7月中旬、9 - 10月とされる[6]

房総半島では、防風林や防火林、生け垣として農家の屋敷林に一般的に使われてきた樹種である[7]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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