タイタン(TITAN)はマツダが販売する小型および中型トラックである。 積載量1.25-4.5t級の小型・中型トラックで、ディーゼル車・CNG圧縮天然ガスエンジン車が存在する。1970年代後半には、電気モーターと併用のディーゼルハイブリッド車もあった[1]。 かつてのラインナップは全てマツダ独自開発車両で、マツダの本社が存在する広島県安芸郡府中町の工場で生産されていたが、現在は自社生産を中止し、いすゞ自動車からエルフのOEM供給を受けている。 2代目タイタンのCMには、手塚治虫原作の鉄腕アトム(1980年 - 1981年のテレビアニメ版)が起用されており、後輪のマットガード(泥よけ)にアトムが描かれていた。 日本国外ではマツダ・Tシリーズとして販売されていた。 初代から3代目までのタイタンはフォードへOEM供給され、主にオセアニア地域において「フォード・トレーダー」の名称で販売されていたほか、2000年代後半に北米地域において4代目を基にしたキャビンを装着したトラック「フォード・LCF
概要
マツダ独自開発時代の4WD車の特筆すべき点は、このクラスの通常の四輪駆動車だと差動装置の存在によりキャブステップ高およびキャブ全高が上がってしまうことが多いが、タイタンの場合はキャブ内に差動装置を食い込ませることによってそれらが上がるのを最小限に抑えている。ただし、食い込ませたことにより前席間が高く盛り上がり、シートを設けることができなかったため乗車定員が2名となっている(小型のタイタンダッシュを除く)。
歴史(自社生産モデル)
初代(1971年-1980年)初代タイタン 後期型
1971年(昭和46年)8月 - Eシリーズ[2]の後継として初代発表。エンジンはVA型直列4気筒1,985cc(92ps)ガソリンとXA型直列4気筒2,522cc(77ps)ディーゼルを搭載した。ボディカラーがガソリンがアポロイエロー、ディーゼル車がオリンピアブルーで色分けをしているのが特徴である。
1972年(昭和47年)
1月 - 1.5t積のタイタンライト(タイタンL)を発売。
4月 - HA型2700cc(81ps)ディーゼルエンジンを搭載するタイタン2700を発売。
1973年(昭和48年)
8月 - 使い易さの向上と保安基準対策でマイナーチェンジ。変更点はクラッチ踏力軽減、2系統ブレーキ、助手席シートベルトとヘッドレストの採用、フロントとリアの方向指示器をアンバー色に、フロントの車幅灯をクリアに変更された。
10月 - タイタンシリーズに低床3方開車2機種を追加。従来の低床1方開車の低い荷台の持つ荷役性の良さと両側面からの荷役の利便を考えて低床3方開車としたものである。
1976年(昭和51年)
3月 - タイタン2t積ディーゼルに荷台の広い幅広ダンプを発売した。
4月 - 英国パーキンス社と共同開発したXC型直列4気筒3,663cc(100ps)ディーゼルエンジンを搭載するタイタン3700を発売。低回転域で高性能を発揮した。最大積載量は2t及び3.5t。また排気ブレーキ、チルトキャブ、オーバーフェンダーを採用し、パワーステアリングが標準装備となった。
6月 - タイタンライトに低床後輪ダブルタイヤを採用したワイドローを追加。後輪タイヤに従来よりも3インチ小さい13インチのダブルタイヤを採用し、低床でフラットな荷台を実現している。
1977年(昭和52年)5月 - マイナーチェンジ。フェイスリフトと共に、エンブレムをマツダのロゴマーク(小文字のmをアレンジした丸型のマーク)から「MAZDA」の文字へ変更。ディーゼルを2700ccから3000cc(86ps)へアップ。テールランプを、前期型では単独1灯だった後退灯を2灯に増設してテールランプと統合。CMキャラクターにボンゴシリーズと共に山城新伍を起用。
韓国の起亜自動車でも全く同じ名称で1997年頃までライセンス生産されていた。
2代目(1980年-1989年)前期型(1980年-1984年)中期型(1984年-1987年)後期型(1987年-1989年)
1980年(昭和55年)10月 - 2代目発表。エンジンはディーゼルのみで、2,500 cc、3,000 cc直列4気筒のHA型と4,000 cc直列6気筒を搭載。このモデルには2ウェイシフトと名づけられた副変速機が設定されていた。リアコンビネーションランプを2連に変更し、後退灯を独立。
1984年(昭和59年)5月 - マイナーチェンジ。フロントグリルを変更。昭和58年排出ガス規制適合。3,500 cc直列4気筒のSL型追加。
1987年(昭和62年)- マイナーチェンジ。ヘッドランプを丸形4灯から角形4灯(いずれも規格型)に変更、DIN規格のオーディオスペースが設けられる。直列6気筒エンジンに変わり、直列4気筒のSL型をターボ化。
このタイタンにはキャンターやアトラスといった競合車同様、ウォークスルーバンが存在した。ウォークスルーバンは丸形2灯のヘッドランプが特徴であった。
インドのSMLいすゞ(旧・スワラジマツダ)ではこの型とパークウェイをベースとしたバスや救急車が、マツダとの関係が解消された現在も生産されている。2022年4月現在でもSMLI公式サイトでトラックのSamrat1213XTとスクールバスの「プレステージスクールバスBS-VI」の存在が確認できる。これらはSMLブランドでの販売となるが、2015年6月の時点ではSMLブランドだけではなく、いすゞブランドでも生産されるという日本とは逆の状況が発生していた。
3代目(1989年-2000年)3代目 後期型 カスタムグレード
1989年(平成元年)5月 - 3代目発表。車名ロゴをTitanからTITANに変更。3代目にはマッドガード(泥除け)には「タイタン」と入る。
全車にパワーステアリングが装備され、4速ATとクラス初のキャブサスペンションが採用され、キャブサスペンション装備車(3000cc以上のディーゼル車、シングルキャブのみ)にはフロントの車名ロゴの下に「CAB SUSPENSION」のロゴが入る。また、リアコンビネーションランプの形式が初代後期と同じ3連に戻された。なおV型のmazdaエンブレムは、一連のマツダ車としては最大のものが装着されていた。エンジンは新たに直4・4021ccのTF型を追加。
1992年(平成4年)4月 - マイナーチェンジ。ヘッドランプを角型4灯から異型に変更。4553cc・130馬力のTM型エンジンを追加。
1995年(平成7年)3月 - マイナーチェンジ。
ヘッドランプを異型から角型4灯に変更。平成6年排出ガス規制適合。高出力車にはいすゞ製エンジン(4HF1/4HG1型)を搭載。「MAZDA」ロゴの大きさを変更。シートの形状を一新し、より厚みのある物を採用した。ラジオ装着車は時計機能付きAM/FMラジオ+2スピーカーとなる。
1997年(平成9年)10月 - マイナーチェンジ。
ヘッドランプを角型4灯から異形(ボンゴブローニイ用のヘッドライト)へ、「TITAN」の文字を赤から白へ変更。この時からキャブサスペンション装備車のフロントの車名ロゴの下にある「CAB SUSPENSION」のロゴが無くなった。フォグランプが全車標準装備となり、撥水ドアミラー&ドアガラスがカスタム仕様車に装備されるなど装備の充実が図られた。クラス初の耐候性鋼板をダンプ全車の荷台に採用して耐久性が向上した。
1999年(平成11年)
5月28日 - 一部改良[3]。
エンジンの排出ガスのクリーン化により、4.0Lエンジンを除き平成10年排出ガス規制に適合。このほか、ブレーキの改良による制動性能向上、荷台のアオリの開閉補助装置の変更(ダンパー式からコイルスプリング式に変更)、撥水ドアミラー&ドアガラスのデラックス仕様への拡大適応、バリエーションの追加(フルワイドロー車の設定)を行った。
11月29日 - 4.0L車を改良し、平成10年排出ガス規制に適合[4]。
4代目(2000年-2004年、タイタンダッシュ: 2000年-2010年)4代目