この項目では、衛生的・防護的目的で用いるものについて説明しています。衣装として用いるものについては「仮面」を、その他の用法については「マスク (曖昧さ回避)」をご覧ください。
COVID-19対策のために防塵マスクを装着している人
衛生・医療・医学等の分野を中心に用いられるマスク(英: mask, respirator)とは、人体のうち顔の一部または全体に被るもの、または、覆うものを指す[1][2][3][4][5][6]。頭部まで覆うものを含めることもある。広義では体の他の部分を覆うものもそのように称することがある。 マスクは用途別では、産業用、医療用、家庭用に分けられる[7]。 防塵マスク(ぼうじんマスク、表記揺れ
衛生マスク衛生マスクを装着した警察官/2009年新型インフルエンザの世界的流行時のメキシコ。
用途による分類
防塵マスクフィルターつきハーフマスク(防塵用)呼気バルブつきFFP2マスク
本来は作業者が空気中に浮遊する微粒子を吸引しないようにする目的で用いられるマスク[8][9]。その形状は、シリコンゴム等で形成された本体(全面形面体または半面形面体)に取り換え式のフィルタをつけたもの、または全体が帯電加工された不織布による使い捨て式防じんマスクである[8]。陽圧法のマスクと陰圧法のマスクがあり、陰圧法のマスクには排気弁がついている[9]。あくまでも作業用であり長時間装着して使用するのには向いていない[9]@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}(連続しての着用は1‐2時間が限度)。また、排気弁がついているため、感染拡大防止にはあまり効果がなく、Covid-19においてはマスク着用義務化の際防塵マスクの着用を禁止している国も多い。DS2、N95と同等性能のフィルターはRS2である。フィットチェッカーがついているものもあり、これで陰圧のシーリングチェックを行うことができる。[要出典]
米国には米国労働安全研究所(NIOSH)が認定するN95マスクがあり製品には認証番号がつけられている[9]。このN95マスクは医療機関で感染防止に用いられることも多くなっている[9]。
欧州には欧州標準化委員会が認定する欧州規格(EN)149の「FFP2マスク」があり、N95マスクに相当する。
日本では、労働安全衛生法の規定に基づき、厚生労働省の告示「防じんマスクの規格」に基づいた型式検定に合格し、その合格標章が貼付されている製品をいう[8]。なお、類似の形状をもつものであっても検定合格標章のないマスクは防じんマスクとして販売することはできず、「ダストマスク」「クリーンマスク」などの名称でホームセンター等で市民生活用に販売されている[8]。
医療用マスク医療用マスクを装着して胸腔内手術を行う外科医たち/1990年ごろの米国陸軍施設フィッツシモンズ陸軍医療センター
医療用マスクは、主に空気中の飛沫(飛び散る細かい水玉)を対象とする感染予防を目的とするマスクである[8]。英語では "surgical mask" といい、日本語でもその音写形「サージカルマスク」が別名として通用する。英語のそれは名前のとおり、狭義にはsurgical(外科の、手術の)マスクであるが、広義には医療現場もしくは医療用のマスクを指す。
対象とする粒子径は一般的には5μmより大きいものとされる[8]。SARSウイルス(0.1μm以下)のように感染性病原ウイルスが微粒子で、空気中に浮遊している場合、医療用マスクでは対応できないため、N95やDS2のクラス以上の防塵マスクが使用される[8]。
マスクの性能を表す指標としてBFE(バクテリア飛沫捕集効率、Bacterial Filtration Efficiency)とVFE(ウイルス飛沫捕集効率、Viral Filtration Efficiency)[10]。これはマスクによって前者は黄色ぶどう球菌、後者はΦX174(英語版)を含む懸濁液の粒子(平均粒子径3.0±0.3マイクロメートル)が除去される割合(%)である。アメリカ食品医薬品局(FDA)では、サージカルマスクの基準をBFE95%以上と規定している[10]。
アメリカでは感染性エアロゾルに対する医療用マスクをsurgical maskとし、FDAが登録制度を実施しており、製品には登録番号が表示される[8]。産業用の使い捨て式防塵マスクとしてNIOSHの検定合格証を有するマスクでも、surgical maskとして使用する時は改めてFDAにN95 surgical maskとして登録する必要がある(この場合には性能試験データの添付は不要)[8]。かつてアメリカではsurgical maskの形状についても規格があったが、今では廃止されている[8]。
日本では「サージカルマスク」という呼称やその性能に関して法令上の規定はなく[8]、感染性呼吸器疾患(新型インフルエンザ等)の流行時に政府がガイドラインを公表したことはあったが[8]、性能試験はアメリカのASTMインターナショナルが規定したASTM F 2100や民間の検査会社の独自規格が利用されていた[10]。2021年6月16日には一般財団法人カケンテストセンターがASTMの規定を元に開発した試験方法と性能が日本産業規格「JIS T 9001」として採用された[10][11]。
基本的には使い捨てであるが、アウトブレイクが深刻化するなどして供給不足に陥った場合は、滅菌して再利用することもある[12]。まさにそのような状況となった2020年コロナウイルス感染症大流行時の日本では、病院でさえ一人あたり1週間に1枚などといった悪条件下での対応を余儀なくされた。 防寒、花粉症対策、風邪対策、ウイルス対策、防塵などのための一般向けのマスクを家庭用マスクという[9]。空気中を浮遊または漂う感染性ウイルス粒子(エアロゾル)は、ウイルスに感染した人が会話をしたり、呼吸をしたり、咳やくしゃみなどをしたりすると、症状がない人でも放出される。別の人がこれらのエアロゾルを吸い込み、ウイルスに感染する可能性がある。たとえば、エアロゾル化したコロナウイルスは、最大3時間空気中に留まる可能性がある。家庭用マスクはその拡散を防ぐのに役立つ[13]。 マスクは快適な呼吸能力を低下させる可能性があるため、運動中はマスクを着用しない場合もある。汗をかくとマスクが早く濡れて呼吸が困難になり、微生物の増殖が促進される。
家庭用マスク