この項目では、イギリスの伝承童謡について説明しています。日本の音楽グループについては「マザー・グース (日本の音楽グループ)」をご覧ください。
.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{display:flex;flex-direction:column}.mw-parser-output .tmulti .trow{display:flex;flex-direction:row;clear:left;flex-wrap:wrap;width:100%;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{margin:1px;float:left}.mw-parser-output .tmulti .theader{clear:both;font-weight:bold;text-align:center;align-self:center;background-color:transparent;width:100%}.mw-parser-output .tmulti .thumbcaption{background-color:transparent}.mw-parser-output .tmulti .text-align-left{text-align:left}.mw-parser-output .tmulti .text-align-right{text-align:right}.mw-parser-output .tmulti .text-align-center{text-align:center}@media all and (max-width:720px){.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{width:100%!important;box-sizing:border-box;max-width:none!important;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow{justify-content:center}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{float:none!important;max-width:100%!important;box-sizing:border-box;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow>.thumbcaption{text-align:center}}Mother Goose's rhymes挿絵画家アーサー・ラッカムのリトグラフで、1913年刊行の自著[1][2]のための表紙絵である。画題は「ヘイ・ディドゥル・ディドゥル」童謡「ジャック・ホーナーくん」 / 楽譜が大きなパネルのように掲げられている。ジャック・ホーナーくんは暖かな部屋で猫とくつろぎながら読者をご案内。1877年発表。書かれているメロディはオリジナル(原形)である。
マザー・グース[注 1]/マザーグース[注 2] (英:Mother Goose [14][15]) とは、イギリスで古くから口誦によって伝承されてきた童謡や歌謡の総称で通称[16][7][8][9][10]。英米で広く親しまれている[9]。元来は「マザーグースの歌(英:Mother Goose's rhymes)」といった[16]。
著名な童謡は特に17世紀の大英帝国の植民地化政策によって世界中に広まった[17]。現在ではイギリス発祥のものばかりでなく、アメリカ発祥のものも加わり、600から1000以上の種類があるといわれている。英米では庶民から貴族まで階級の隔てなく親しまれており、聖書やシェイクスピアと並んで英米人の教養の基礎となっているともいわれている[18]。現代の大衆文化においてもマザーグースからの引用や言及は頻繁になされている。
なお、「童謡」全般を指す英語としては、「子供部屋の歌」を意味する「ナーサリーライム (nursery rhyme)」[ 語構成:nursery
(〈家庭の〉子供部屋)+ rhyme(脚韻)]を用いるのが通例ではある[19]。「ナーサリーライム」が新作も含む包括的語義であるのに対し、「マザーグースの歌」、略して「マザーグース」は、伝承化した童謡のみに用いられる点に違いがあると考えられる[20]。後述するように「マザーグース」が童謡の総称として用いられるようになったのは18世紀後半からであるが、それに対して「ナーサリーライム」が童謡の総称に用いられるようになったのは1824年のスコットランドのある雑誌においてであり、「ナーサリーライム」のほうが新しい呼称である[20]。英語の童謡は古くから存在したが、それらに対して "Mother Goose" という語が定着するのは18世紀後半以降である。直訳では「鵞鳥(がちょう)かあさん」とでも表現すべきこの語は、同じ意味のフランス語 "Ma Mere l'Oye(日本語音写
例:マ・メール・ロワ)"の意訳語であったと考えられる[21][22]。原著の口絵と英訳本の口絵左:シャルル・ペロー『昔ばなし』(1697年刊)の口絵[注 3]
中央:『昔ばなし』の口絵。別バージョンのガッシュ画。
右:英訳本 "Histories, or Tales of Past Times "(1729年刊)の口絵
1697年、フランスの詩人で作家のシャルル・ペローが8つのおとぎ話をまとめた童話集『昔ばなし
(フランス語版)(Histoires ou contes du temps passe )』をパリで出版した[15][注 4]。それを1729年に[15]イギリス人作家ロバート・サンバー(英語版)が英訳し、"Histories, or Tales of Past Times [24][25]と題して母国に紹介した。その本の口絵(■右に画像あり)は原著の口絵(■右に画像あり)と同じ趣旨で描かれている。暖炉のある部屋で糸車を回しながら幼子と若者に昔話を語って聞かせるお婆さんの様子を表現しているのであるが、原著の口絵にある分厚い木製扉の高い位置に取り付けられている飾り板には「鵞鳥かあさんのお話」を意味する "contes de ma mere l'oye([15]音写例:コントゥ・ドゥ・マ・メール・ロワ、コント・ド・マ・メール・ロワ、英訳:tales of mother goose [14])" というフランス語が記されており、英訳本では、この部分を同じ意味になるよう "mother goose's tales(音写例:マザー・グースィズ・テイルズ)" と言い換え、同書の副題(サブタイトル)にも採用した。のちにこのフレーズは本の表題(メインタイトル)に使われることにもなる。これが、以後 "Mother Goose" として固有名詞化してゆく英語フレーズの初出であった[22]。後述する伝説上の人物としての Mother Goose も全き同根語である。サンバーの英訳本は18世紀中に何度も増刷されて広く読まれている[21]。アメリカでは世紀末の1794年になってようやく出版された。そして、こうしたことを背景に Mother Goose という言葉はまずはイギリスの人々に親しみをもって受け容れられ、伝承童話や童謡と結び付けられるようになっていったと考えられている[26]。
ニューベリー(英語版)[28]によって『マザーグースのメロディ(原題:Mother Goose's Melody )』と題する童謡集が出版され[15][21]、以後、同じような童謡集や伝承童謡に対して Mother Goose という語を用いる慣行が普及・定着していった[21][27]。