マウンテンゴリラ
[Wikipedia|▼Menu]

ヒガシゴリラ
マウンテンゴリラ Gorilla beringei beringei
保全状況評価[1][2][3]
CRITICALLY ENDANGERED
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
ワシントン条約附属書I
分類

ドメイン:真核生物 Eukaryota
:動物界 Animalia
:脊索動物門 Chordata
亜門:脊椎動物亜門 Vertebrata
:哺乳綱 Mammalia
:霊長目 Primates
:ヒト科 Hominidae
:ゴリラ属 Gorilla
:ヒガシゴリラ G. beringei

学名
Gorilla beringei Matschie, 1903[4]
和名
ヒガシゴリラ[5]
英名
Eastern gorilla[3][4][6]

ヒガシゴリラ(Gorilla beringei)は、哺乳綱霊長目ヒト科ゴリラ属に分類される霊長類。
分布

ウガンダ南西部、コンゴ民主共和国東部、ルワンダ北西部[3][6]

模式標本の産地(基準産地・タイプ産地・模式産地)は、ルワンダ[4]
形態

体重オス165キログラム、メス90キログラム[6]。毛衣は黒いが[5]、まれに褐色がかった個体もいる[6]。鼻柱に突起がない[5]

オスは背の体毛が白くなる[5]
分類

以下の亜種の分類は、Groves(2005)に従う[4]。亜種の和名は、山極(2015)に従う[5]。以下の形態は年齢や性別によって変異が大きく、標本も少ないことから亜種間の識別点として有効かどうかは議論がある[5]
Gorilla beringei beringei Matschie, 1903 マウンテンゴリラ
ウガンダ南西部、コンゴ民主共和国東部、ルワンダ北西部のヴィルンガ火山群およびブウィンディ森林[3][5]身長オス161 - 171センチメートル[6]。体重オス162.5キログラム、メス97.5キログラム[7]。顔は丸く、鼻が短い[5]。1996年に骨格や四肢の軟部組織の比較から、ヴィルンガ個体群とブウィンディ個体群を分割して別亜種とする説が提唱された[5]。一方で比較した標本の数が5つ(頭骨4・骨格1)と少ないこと、分布域の距離が25キロメートルと近く400 - 500年前までは森林が連続していたこと、ミトコンドリアDNAの分子系統推定では遺伝的距離が小さいことから、この分割を否定する説が有力とされる[5]。以下の山極(2015)を元にしたブウィンディ個体群の特徴はヴィルンガよりも標高が約1,000メートル低く平均気温が10℃が高い地域(大型な方が熱の放散を防ぐことができる)で、樹上生活(小型で長い四肢)や果実食(発達した犬歯。固い繊維質植物ではなく果実を食べるため、咀嚼筋が発達せず頭骨の幅が狭い)に適応したものだと考えられている[5]
ヴィルンガ個体群
体毛が長く、黒い。眼窩の幅が広い。
ブウィンディ個体群
小型で、胴が短い。体毛が短く、褐色がかる。眼窩の幅が狭い。犬歯が発達する。四肢が長く、指趾が大型。
Gorilla beringei graueri Matschie, 1914 ヒガシローランドゴリラ
コンゴ民主共和国東部[3]身長オス169 - 196センチメートル[6]。体重オス175.2キログラム、メス71キログラム[7]。顔や鼻は長い[5]
生態

標高600 - 4,100メートル(主に3,800メートル以下)にある、自然林および二次林に生息する[6]

基亜種では棘のある植物の葉を手で折り畳み、口内に棘があたらないようにする採食行動が報告されている[8]。シロアリが生息しない高地に分布する個体(基亜種および亜種ヒガシローランドゴリラの高地個体群)は、少なくとも基亜種は植物についているダニやクモを無作為に食べることで動物質を補っていると考えられている[8]。基亜種は自分の糞も含めた糞食を行い、腸内細菌の摂取や未消化の食物を再吸収していると考えられている[8]

繁殖様式は胎生。妊娠期間は約255日[6]。1回に1頭の幼獣を産むが、ごくまれにではあるが2頭の幼獣を産んだ例もある[6]
人間との関係

農地開発や木材採取による生息地の破壊、内戦による政情不安および生息地の武装集団による占拠、食用の乱獲、人間からの感染症の伝搬などにより生息数は減少している[3]。政情不安に伴い銃器が不法に流通し、密猟者にいきわたっているという問題も発生している[3]。生息地では法的に保護の対象とされているが、密猟されることもある[3]。生息地も国立公園や自然保護区に指定されている地域もあるが、保護区でも上記のように武装集団による侵入および占拠や、保護区内での開発が許可されていたり、違法な木材採取などが行われることもある[3]。1975年のワシントン条約発効時(当時はゴリラGorilla gorillaとして)から、ワシントン条約附属書Iに掲載されている[2]
G. b. beringei マウンテンゴリラ
1980年代以降は、生息数が増加傾向にある[3]。一方で違法な木材採取による生息地の破壊、道路建設による交通事故や生息地の分断、コンゴ民主共和国政府によるヴィルンガ国立公園内での石油採掘の許可、内戦などの政情不安による武装組織の侵入や占拠、家畜との競合、エコツーリズムでの人間による攪乱や感染症の伝搬、野犬による狂犬病の伝搬などが懸念されている[3]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:38 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef