マインドコントロール
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マインドコントロール(: Mind control)とは、操作者からの影響や強制を気づかれないうちに、他者の精神過程や行動、精神状態を操作して、操作者の都合に合わせた特定の意思決定・行動へと誘導すること・技術・概念である[1][2]。マインドコントロール論とも。不法行為に当たるほどの暴力や強い精神的圧力といった強制的手法を用いない、またはほとんど用いない点で、洗脳とは異なるとされる[3]

スティーブン・ハッサンらの研究者や岡田尊司らの精神科医および、消費者問題・カルト宗教問題に取り組む紀藤正樹郷路征記らの弁護士により、マインドコントロール論が提示され、共有されている[4][5][6][7]。マインド・コントロールは、独裁者カルトの指導者が配下に及ぼす心理的支配や、情報機関エージェントを操る技術、悪質な勧誘や詐欺まがいのビジネス、横暴な上司や夫が部下や妻を思い通りに支配することや、悪口や仲間外れにすることで相手を精神的に追い詰めるいじめにも使われるとされる[8]。特に宗教を巡っては、マインド・コントロールを受けた信者が自発的に高額な寄付を続け、破産家庭崩壊に追い込まれるなどの問題が指摘されている[9]。但し、マインドコントロールの概念または理論に対して、懐疑的または批判的な見解は存在する[3][10][11]

三菱総合研究所大学生協カルトによるマインド・コントロールを大学生活で注意すべき50の危険の1つに数え、大学生に向けて注意喚起を行っている[12]
概要

元々マインドコントロールという言葉は、「潜在能力を引き出すためのトレーニング法」という自己啓発的でポジティブな意味合いで使われていた[3]。マインドコントロールには、学校や教育、様々なトレーニングで使われる人の認知行動原理と同じ技術が用いられる[2]。自らの心を平静に保ったり、集中力を高めるなど、心理状態を制御・調整する意味で、この言葉が使われることもある[2][13]。そのため、良いマインドコントロールと悪いマインドコントロールがあるという考え方もあるが、一般的には、「破壊的カルト」等のように何らかの詐術的な意味、他者を騙す性格を持ったものをマインドコントロール、本人に役立つ心理学の応用をセルフコントロールと言う[2][14]。本項では前者について説明する。

マインドコントロール論では、支配された人の意識状態は、普段の正常な意識とはかけ離れたものになるとされる[10]。(1) 破壊的カルト教団による信者の利用、(2) 社会心理学的技術の応用、(3) 他律的行動支配 の3つが一般定義である[10]。人格の「解凍・変革・再凍結」の理論をベースに、認知不協和理論や影響力論、ジャック・ヴァーノンの感覚遮断実験、フィリップ・ジンバルドー監獄実験、プライミング効果論などの社会心理学的テクニックを活用して行われるとされる[3]。宗教的自我変容を最も世俗的理解に立って説明したモデルであり、世間に広く知られている[10]

精神科医ロバート・ジェイ・リフトン中国共産党が行っていたマインドコントロールに8つの要素を認めた[15]

環境コントロール

密かな操作

純粋性の要求

告白の儀式

聖なる科学

特殊用語の詰め込み

教義の優先

存在権の配分

統一教会元信者で心理学者スティーブン・ハッサンは、認知不協和理論を元にマインドコントロールの4つの構成要素を定義した[15]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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