マイバッグ
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再利用可能ショッピング用トートバッグ さまざまな買い物バッグ

マイバッグ運動(マイバッグうんどう)とは、小売店での購買時には買い物袋の持参を呼びかける環境保護運動である。

小売店が渡すレジ袋を使わず、消費者が持参した袋やバッグを使用しようという運動である。一人一人が実行できる、もっとも身近な環境保護運動の一つであるとも言える。いわゆるレジ袋に対し、買い物客が持参するマイバッグは「エコバッグ」(リユーザブル バッグ Reusable bag)とも呼ばれる。
目次

1 目的

1.1 CO2削減

1.2 ごみ削減


2 各国での普及状況

2.1 日本

2.1.1 小売業者における取組み

2.1.2 エコバッグ

2.1.3 テーマソング


2.2 ドイツ

2.3 イタリア

2.4 中国・台湾・香港

2.5 フィリピン


3 脚注

4 関連項目

目的

マイバッグ運動は、レジ袋の過剰な消費から、繰り返し利用できる買い物袋の使用に切り替えることで、ごみの削減や、それに伴う二酸化炭素などの温室効果ガスの削減、レジ袋の原料となる原油の節約(資源保護)などを目的としている。
CO2削減

CO2削減の効果は、レジ袋使用時と買い物袋使用時の環境負荷を比較することで明らかとなる。レジ袋1枚(大型のもの)を作るのに必要な原油は約18.3ml、原油1l当たりの二酸化炭素排出量(固有単位当たり係数)は0.7225kgCなので、レジ袋を削減して製造量も同時に減らしたと仮定し、買い物袋の環境負荷を無視した場合、レジ袋1枚あたり0.013222kgC (=13.2gC) の削減効果があると考えられる[1]

買い物袋の環境負荷と合わせて考えるには、買い物袋1袋を作るのに必要な原油の量と、買い物袋1袋をレジ袋何枚分使用するか(レジ袋代替枚数)を算出し、1枚当たり必要原油量 (l) × 0.7225 (kgC) ÷ レジ袋代替枚数(枚)を計算すればよい。この計算で出る値はレジ袋1枚分に換算した買い物袋の環境負荷なので、この値とレジ袋1枚あたりの値0.013222kgC (=13.2gC) を比較し、後者のほうが大きい場合に効果があるといえる。ただし、これは焼却処分時のCO2だけを考えたもので、ライフサイクルアセスメント (LCA) の手法では、原料採取・製造・輸送・販売で使用するエネルギーまで考慮に入れなければいけない。

また、買い物袋の使用による環境負荷軽減の効果は、同じ買い物袋を長くたくさん使い続けるほど大きくなる。同じように、必要な原油量がより少ない買い物袋に変えたり(石油原料の合成繊維製から天然繊維製に変える、など)、エネルギー消費なども考えたLCA基準で環境負荷が少ない買い物袋に変えることで、効果は大きくなる。

一方、レジ袋から買い物袋に変えた場合新たに増える環境負荷も指摘されている。例えば、レジ袋が果たしていたゴミ袋としての役割が、他の袋で代用された場合の環境負荷などである。
ごみ削減

レジ袋からの切り替えには端的にプラスチックごみの削減という効果もある。

プラスチックごみが海洋ごみとなって環境へ与える影響についても懸念されている。ウミガメなどの生物によるレジ袋の誤飲や誤食、レジ袋等のシート状のプラスチックの海底への堆積によるヘドロ化などの問題である[2]

このほかの理由でレジ袋等のごみ削減に取り組んでいる都市もある。フィリピンのマカティでは2013年から小売業などで用いられるプラスチック袋や発泡スチロール製容器の使用が禁止されているが、その理由は大量のプラスチックごみによる排水路の閉塞が水害の一因になっているためであり、洪水対策の一環としてプラスチック袋の配布の禁止が事業者に義務付けられている[3]
各国での普及状況
日本

日本でエコバッグという用語を用い最初に導入したのは、神田お茶の水でエコロジーショップを運営していた株式会社GAIAプロジェクトで1992年。GAIAプロジェクトの常務取締だった石橋正次は、ドイツで普及していた布製エコバッグを日本でも普及しようと考えた。彼は部下に命じ、ドイツのエコバッグを製造していたインドのトリバンドラムの授産施設にエコバッグの製造を依頼、フェアトレード製品として輸入を行った。当時の売価は上代が350円だった。尚、石橋は、生活クラブなど複数の生協と瓶商の戸部商事などと共に、Rビンという新たな規格のリターナブル瓶(再利用瓶)の開発も行った人物でもある。

GAIAの導入したエコバッグは、初期は各地の自然食品店などで販売されたが、その後エコロジーブームを背景に、ダイエーや西友、イオンなど大手流通が、1994年頃から同様の布製バッグの販売を始めた。エコバッグはGAIAが商標権を持っていたため、マイバッグなどの用語を用いた。これら流通大手は、レジ袋を使用しない消費者に対しての5円程度の割引サービスとエコバッグの販売(多くは100円)を併用したため、マイバッグ運動=レジ袋削減運動というイメージが定着した。

2007年2月でのダスキンの調査によると、滋賀県では86.0%が「いつも買い物袋を持参」もしくは「買い物袋持参が多い」と回答している。この数値は、2位の京都府に20ポイント以上の差をつけて全国一位となっている。また、山形県では、「いつも買い物袋を持参」との回答率が全国で最も高く44.0%となっている。

スーパーマーケットを中心に、マイバッグ持参者に「スタンプがたまると100円引き」等の特典も行われ、企業のノベルティ懸賞賞品に、繰り返し使えるトートバッグを用意することも増えてきている。さらに、条例によりレジ袋有料化を課す自治体も増加してきている。2008年ごろにエコバッグがブームとなり、洒落たものや、セレブ富裕層の愛用するものなどもテレビなどで特集されたりしているが、ブームに乗って頻繁に買い換えるのであれば運動を実践する意味はなくなる。

しかし、その一方で、商品が精算済みかそうでないかの区別が付きづらいため、万引きの温床になりやすい、備え付けの買い物かごが持ち去られるなどのデメリットが明らかとなっている。

なお、エコバッグのほか「エコバスケット」も用いられている。
小売業者における取組み

イオングループ
イオングループでは、独自の運動・レジ袋削減策として「マイバスケット運動[4]」や「レジ袋辞退で2円引き[5](またはレジ袋の有料化[6])」を行なっている。
エコバッグ

宮城県仙台市
仙台市役所、仙台商工会議所などが行うマイバッグ運動では、荒木飛呂彦荒川静香MONKEY MAJIK伊坂幸太郎平間至劇団四季らが無償で協力し、デザイナーズエコバッグが製作された。荒木がデザインしたエコバッグには、荒木の作品である『スティール・ボール・ラン』の登場人物「ルーシー・スティール」の描き下ろしイラストがデザインされている。
テーマソング

茨城県ひたちなか市
ひたちなか市役所の職員有志によりバンドが結成され、イベントなどでテーマ曲『持ち歩こうマイバッグ』を演奏している[7]。演奏は『持ち歩こうマイバッグ - YouTube』を参照。

静岡県三島市
テーマ曲『みんなで使おう! マイバッグ』が製作され、CD化もなされている。このCDは、市内の幼稚園保育園に配布されている。歌詞は『 ⇒みんなで使おう! マイバッグ?未来の三島のために?』、メロディーは『 ⇒05065090_mp3_2008417_radA29F5』を参照。

静岡県掛川市
一般市民の手により作成されたテーマ曲『いつも持っているマイバッグ』が、掛川市役所の公式ウェブサイトやマイバッグ運動に参加する各店舗で流されている。歌詞およびメロディーは『 ⇒マイバッグソング』を参照。

熊本県菊池市
菊池市役所の職員が自ら作詞、作曲し、職員の長女がボーカルを務めたテーマ曲が発表されている。

徳島県吉野川市
テーマ曲『MY BAGの歌』『わくわくの扉』は吉野川市で取り組んでいる“マイバッグ推進運動”のPRソングとして、地元の有志により作詞・作曲され、イベントなどで演奏している。[8]演奏はNHK番組「第14回熱血!オヤジバトル」でグランプリを受賞した、カマンベール『わくわくの扉 - YouTube』『MY BAGの歌 - YouTube』を参照。


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