マイクロプラスチック
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ドイツ国内の4つの川の堆積物に含まれていたマイクロプラスチック(白色のバーは1mmを示す)a)サッカー場人工芝で用いられるゴム素材。b)雨に流され自然界で発見されたゴム片。

マイクロプラスチック(: microplastics)は、(生物物理学的)環境中に存在する微小なプラスチック粒子であり、特に海洋環境において極めて大きな懸念材料となっている[1]。一般には、直径 5 mm 以下のプラスチック粒子または、プラスチック断片と定義されている[2][3][4]。海洋研究者の一部は1 mmよりも小さい顕微鏡サイズの全てのプラスチック粒子[5]と定義している。この定義は、現場での採取に一般に使用されるニューストンネットのメッシュサイズが333 μm (0.333 mm) であることから適切でないとの議論もあり[6]、5 mmよりも小さい粒子と定義している研究者もいる[7][8]

マイクロプラスチックは、@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}もともとは、レジ袋コンビニ弁当箱ペットボトルの蓋などの[要検証ノート]プラスチックゴミ(一般的にプラゴミと呼ばれる)である。プラスチック製品の大半は石油を使われているが、そのまま固めるのではなく、石油にさらにエネルギーを加えて化学合成して作られる。全世界で年間[いつ?]に製造されるプラスチック製品は約4億トンであり、その用途は、約半分が容器、包装などに使われている。これらの製品は一度使用すると捨てられる「使い捨て製品」が多く、代表的なものはレジ袋である。現在[いつ?]日本では全国で年間約300億枚のレジ袋が消費されている。その他のプラスチック製品としてペットボトル、食品パッケージ、コンビニの弁当箱などがあり、これらを合計すると、日本では1世帯1日あたり約数百グラムのプラスチックゴミが発生する。プラスチックゴミは人間が的確に処理していれば海に影響を及ぼすことはない。ポイ捨てされたもの、ゴミ箱からあふれて処理されず放置されたものなどが河川や下水に侵入したり、風に飛ばされたりして最終的に海へ流れ着いている。海洋を汚染するマイクロプラスチックの大半は人間が日々の生活で排出されたものに由来している。[9]

マイクロプラスチックは、マイクロサイズで製造された一次的マイクロプラスチックとより大きな二次的マイクロプラスチックに区別できる[10][11]。一次的マイクロプラスチックの例として、化粧品があげられる。二次的マイクロプラスチックは大きなサイズで製造されたものが、自然環境中で5o以下に破砕・細分化したものである。主に、ペットボトルやビニール袋が紫外線などに晒されて劣化することで発生すると考えられている。どちらも人体・環境に甚大な悪影響を与えることが懸念されている。

海洋生物がマイクロプラスチック自体と、それに付着した有害物質(PCBDDTなど)を摂取し[11]生物濃縮によって海鳥人間健康にも影響することが懸念されている[12]。2020年現在、実環境ではマイクロプラスチックに吸着または含有された有害物質による生物への毒性影響はまだ確認されていない。ただし、実環境よりも有害物質とマイクロプラスチックをかなりの量増やした場合には毒性影響が確認されている[13]。これについて日本学術会議は、実環境での軽微な影響を評価する手法が開発されていないからだとして、その手法の開発と調査・研究を推進することが必要だと提言している。また、今後マイクロプラスチックの量が増え続けると悪影響が表れること、マイクロプラスチックは回収が困難であることから、予防的な対策が必要だと提言している[14]
発生源と拡散状況

マイクロプラスチックの発生源と疑われているものは複数存在する

工業研磨材、(角質除去タイプの)洗顔料、化粧品またはサンドブラスト用研削材[15]などに直接使用するために生産されるマイクロプラスチック、または多種多様な消費者製品を生産するための前段階の原料(ペレットまたはナードルと呼ばれる)として間接的に使用するために生産されるマイクロプラスチック("一次マイクロプラスチック")。マイクロビーズとも呼ばれる(en:Microbead)

特に海洋ゴミなどの大きなプラスチック材料が壊れて段々と細かい断片になる結果、環境中に形成されたマイクロプラスチック(いわゆる"二次マイクロプラスチック")。この崩壊をもたらす原因は、などの機械的な力と太陽光、特に紫外線 (UVB) が引き起こす光化学的プロセスである。

家庭での衣類の洗濯によるからの合成繊維の脱落。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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