ポーン
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チェス
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クイーン
ルーク
ビショップ
ナイト
ポーン

ポーン(Pawn、??) はチェスの駒の一種で、歩兵を表している。 ドイツ、デンマーク、ノルウェー、スウェーデンでは、農家、農民を表す。



初期配置

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初期配置のポーン

白ポーンはチェスボードの2ランク、黒ポーンは7ランクのマスに配置する。厳密にいえば、各ポーンには名前がついている。これらは「キングズ・ポーン・オープニング」などの定跡の由来となっている。

記述式の棋譜を扱うのでなければ、特に気にする必要はない。ただ両端のルークス・ポーンについては、終盤戦で注意を要する場合もある[注釈 1]

aとhのポーン : ルークス・ポーン(Rook’s Pawn)

bとgのポーン : ナイツ・ポーン(Knight’s Pawn)

cとfのポーン : ビショップス・ポーン(Bishop’s Pawn)

dのポーン : クイーンズ・ポーン(Queen’s Pawn)

eのポーン : キングズ・ポーン(King’s Pawn)

基本的な駒の動き

チェスの駒の中で、ポーンだけは動かし方と敵の駒の取り方が違っている。将棋とも性質が大きく異なるため、特に注意が必要とされている。
動きの基本

前方(相手側)に1マスずつ進むことができる。後戻りはできない。

直前のマスにどちらかの駒がある場合、前へ進むことができない。

直前のマスにある敵の駒を取ることもできない。

ポーンを進ませる直前

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bとcのポーンは進むことができる。ポーンを進ませた直後

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eとgのポーンは進むことができない。
ポーンの初手

スタート地点にいるポーンは、(そのポーンの)初手に限り前方へ2マス進むことができる。

2マスではなく、あえて最初から1マスずつ動いても問題はない。

スタート地点にいる場合でも、味方や敵の駒を飛び越えることはできない。

2マス先に敵の駒がいる場合は、直前に敵の駒がいる場合と同じく、取ることができない。
ポーンを進ませる直前

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cとeのポーンは、1マスか2マス進める。ポーンを進ませた直後

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hのポーンは進むことができない。
敵の駒の取り方 (1)

斜め前方に敵の駒があった場合、駒を取ってそのマスに進むことができる。

斜め前方に敵の駒がない限り、ポーンは斜めに進むことができない。
敵の駒を取る直前

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cポーンは黒ビショップが取れる。
同様に、fポーンは黒ナイトが取れる敵の駒を取った直後

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敵の駒を取った後は、その地点に移動。
(例外は、後述の「
アンパッサン」のみ。)
敵の駒の取り方 (2)

両方の斜め前に敵の駒がある場合は、どちらを取るか選ぶことができる。

ただし、同時に両方とも取ることはできない。

駒を両方とも取らずに、その間を通過させることもできる。

敵の駒を取る直前 (どちらでも良い)

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現在白番。3つの選択肢がある。ルークの方を取った直後

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ビショップの方を取っても構わない。敵の駒を取らず、その間を通過

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状況次第では、こんな手も可能である。

その他

「アンパッサン」についてはアンパッサンを、「プロモーション」については次節を参照。
プロモーション(昇格・成る)


ポーンの動きは前方に進むだけで、後方に戻ることができない。相手側の最終ランクに到達したポーンは、それ以上動けなくなってしまう。そのため、プロモーション(Promotion、昇格・成る)[注釈 2]と呼ばれるルールが決められている。

相手側の最終列に達したポーンは、同色(味方)のクイーンビショップナイトルークのどれか好きな駒に昇格させなくてはならない。クイーンが一番強いので、ほとんどクイーンが選ばれる。以前はこれらの駒への昇格だけでなく、敵駒への昇格や、昇格させずにポーンのままでいることも禁じられていなかった。その後、同色駒への昇格のみが公式規定で定められた。ポーンを到達させたプレイヤーは、同じ1手の一部としてポーンを昇格する駒に取り換える。取り換えたい駒が物理的に余っていない場合の対策は後述の通り。将棋の「成り」に似ているが、チェスの駒の中でプロモーションできるのはポーンだけである。

プロモーションの直前

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プロモーションの直後

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b7ポーンをb8に進め、クイーンに昇格させる場合、白はポーンをb8から取り去り、代わりにクイーンを置く。

その場合、棋譜は「b8=Q」または「b8Q」となる。

後述のアンダープロモーションの場合は、ポーンを昇格させたい駒に取り換える。

殆どの場合、ポーンはクイーンに昇格する。仮に8個のポーンを全てクイーンに昇格したとしても、チェスのルール上は特に問題ない。しかし通常の駒のセットでは、クイーンは白黒それぞれ1個ずつしか用意されていない(別に昇格用として予備のクイーンが1個ずつ入っている駒のセットもある)。そのため一般的には、以下の方法でプロモーションに対応している。

クイーンがすでに取られている(もしくは予備のクイーンがある)場合には、それを盤上のポーンと交換して使用する。

すでに取られた(もしくは予備の)クイーンがなく、代わりにルークがすでに取られていれば、それを上下逆さまにして使用する。

クイーンも上下逆さまのルークも使えない場合には、ポーンを1つのマスに2個置いて使用する。

それも叶わない場合には、目印となるありあわせの物体を付け加える(このようなケースは実戦ではほぼありえないと考えられる)。

なお、これらはあくまでも慣習であり公式なルールではない。大会等では、他のチェスセットからクイーン等を借りるという方法もある。アンダープロモーション(次述)の場合も、昇格させたい駒と盤上のポーンを交換する。
アンダープロモーション

ポーンは最も強力なクイーンに昇格させるのが一般的であるが、(ごく稀に)それ以外の駒を選んだ方が良いケースもある。
これはアンダープロモーション(Underpromotion)と呼ばれ、チェスの戦術の一つとされている。


敢えてクイーンを選ばない理由として、以下のようなものがある。

クイーンに成ると即座にステイルメイトになってしまう事を回避するため(ルーク・ビショップに成る場合)

ナイトの特殊な動きを利用するため(ナイトに成る場合)

自らをステイルメイトに入れるため(このケースは実戦でよりも作局で発生する)

アンダープロモーション 図1

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白番。ポーンを昇格させたいが...アンダープロモーション 図2

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クイーンに成ると即ステイルメイト(引き分け)アンダープロモーション 図3

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ルークでステイルメイト回避。

上図はアンダープロモーションの一例。白ポーンをクイーンに昇格させてしまうと、その時点で黒キングは現在の場所から動けなくなり指し手がなくなってしまう。この結果ステイルメイトが成立し、(白が圧倒的有利な状況にもかかわらず)ゲームは引き分けに終わってしまう。この場合、白はポーンをルークに昇格させればステイルメイトを回避しながらチェックメイトに持ち込める。


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