ポリュネイケース
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ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ作『エテオクレースとポリュネイケース』(1725年-1730年) ウィーン美術史美術館所蔵。

ポリュネイケース(古希: Πολυνε?κη?, Polyneik?s, ラテン語: Polynices)は、ギリシア神話に登場する人物である。長母音を省略してポリュネイケスとも表記する。テーバイ攻めの七将の一人。

テーバイオイディプースイオカステーの息子。母親については、ヒュペルパースの娘エウリュガネイアであるとする説もある。兄弟姉妹にエテオクレースアンティゴネー、イスメーネーがある。ポリュネイケースはアドラストスの娘アルゲイアーと結婚し、息子にテルサンドロスがある。

ポリュネイケースの名は「多くの争いを引き起こす者」という意味であり、アイスキュロスギリシア悲劇テーバイ攻めの七将』では、エテオクレース(「真の名誉を持つ者」)の英雄性との対比から厭うべき存在として描かれている。
神話
オイディプースの呪い

オイディプースが出自を知ってテーバイを追放されたとき、ポリュネイケースとエテオクレースの兄弟は父親を庇おうとしなかった。オイディプースは二人に「互いに剣によってわが物を奪い合うがよい」と呪いをかけた[1]

エテオクレースとポリュネイケースはテーバイの王権について協議し、二人が一年ごとに交互に治めることを取り決めた。まずポリュネイケースが初めに治め、翌年エテオクレースに王権を渡したとも、一説にはエテオクレースが初めに治めたとする。いずれにせよ、エテオクレースは1年が経っても王権を渡そうとせず、ポリュネイケースはテーバイを追われた。ポリュネイケースはハルモニアーの首飾りと結婚衣装を携えてアルゴスに逃れた。
アルゴス勢の召集

ポリュネイケースが夜中の王宮で、やはりカリュドーンから逃れて来たテューデウスと争っていたところ、アルゴス王アドラーストスが二人を見て引き分けた。アドラーストスは、「娘を獅子と猪に娶らせよ」というデルポイの神託を思い出し、二人を娘の婿とした[2]。ポリュネイケースはアルゲイアーを、テューデウスはデーイピュレーを妻とした。アドラストスは二人を祖国に戻すことを約束し、まずポリュネイケースをテーバイに戻すため、アルゴス人に招集をかけた。

予言の力のあったアムピアラーオスは、テーバイ攻めではアドラーストス以外は死すべき運命にあることを予見して戦いに反対し、他の者の参戦も阻止しようとした。ポリュネイケースがイーピスに相談すると、イーピスは、アムピアラーオスの妻エリピューレーにハルモニアーの首飾りを贈ればうまくいくと答えた[3]。アムピアラーオスはかつてアドラーストスと不和になったことがあり、二人に争いが生じたときにはアドラーストスの妹でもあるエリピューレーの裁断に従うことを誓約していた。アムピアラーオスは妻に贈り物を受け取らないようあらかじめ伝えていたが、エリピューレーはこれを破って首飾りを受け取り、夫にテーバイ遠征を説得した。やむなくアムピアラーオスは参戦した。
テーバイ攻め

遠征の途中で立ち寄ったネメアーの競技ではポリュネイケースは相撲で優勝した。

ソポクレース作『コロノスのオイディプス』では、両軍のうち、オイディプースが味方に付いた方が勝利を得るという予言がなされ[4]、ポリュネイケースはオイディプースを保護しようとコロノスまで追ってきた。一方、テーバイからはクレオーンが追ってきていた。しかし、二人ともオイディプースに拒絶されたうえ、ポリュネイケースはまたも呪われた。

テーバイ攻めの戦いでは、ポリュネイケースはヒュプシスタイ門を攻めた[5]。両軍の決議の結果、ポリュネイケースはエテオクレースと一騎討ちし、相討ちとなって死んだ。彼の亡骸は叔父クレオーンにより弔いを禁じられたが、妹アンティゴネーがそれを破り、投獄された彼女は自ら命を絶った。
系図

アゲーノール テーレパッサ                      ヒュプセウス  
  
                                               
                        
カドモス ハルモニアー エウローペー           アタマース テミストー     アポローン キューレーネー 
       
                                                
                                             
     ニュクテウス ゼウス セメレー イーノー    エキーオーン アガウエー イリュリオス アウトノエー アリスタイオス 
         
                                                    
                
ポリュドーロス ニュクテーイス ディオニューソス アリアドネー レアルコス メリケルテース ペンテウス       アクタイオーン マクリス 
    
                                  
                    
ラブダコス     トアース スタピュロス ペパレートス オイノピオーン オクラソス  

                               

                         メノイケウス 

                                   
                     
ラーイオス     イオカステー       リキュムニオス ペリメーデー クレオーン 
        
                                           
                        
    オイディプース               オイオーノス メノイケウス ヘーラクレース メガラー イオラーオス 


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