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100μLの反応混合物が入っている8連PCRチューブ 卓上型PCR装置
ポリメラーゼ連鎖反応(ポリメラーゼれんさはんのう、英語: polymerase chain reaction)とは、DNAサンプルの特定領域を増幅させる反応。
一般的には数百万?数十億倍に増幅する。英語読みもされるが、その頭文字を取ってPCR法、あるいは単純にPCRと呼ばれることが多い[1][2]。 DNAポリメラーゼと呼ばれる酵素の働きを利用して、一連の温度変化のサイクルを経て任意の遺伝子領域やゲノム領域のコピーを指数関数的に増幅することで、少量のDNAサンプルからその詳細を解析するに十分な量にまで増幅することが目的である[3][4][5]。医療や分子生物学や法医学などの分野で広く使用されている有用な技術である。1983年にキャリー・マリス(Kary Mullis)によって発明され[6][7]、これによりマリスはノーベル賞を受賞した。 PCR法が確立したことにより、DNA配列クローニング
解説
原理完全なPCRサイクルの概略図
PCR法は、試薬を混交したDNA溶液の温度を上げて下げる、という一連の熱サイクルによって動作する。このDNAサンプルの加熱と冷却の繰り返しサイクルの中で、二本鎖DNAの乖離、プライマーの結合、酵素反応によるDNA合成、という3つの反応が進み、最終的に特定領域のDNA断片が大量に複製される。
PCR法では、増幅対象(テンプレート)のDNAサンプルの他に、大量のプライマー(標的DNA領域に相補的な配列を持つ短い一本鎖DNA〈オリゴヌクレオチド〉)とDNAの構成要素である遊離ヌクレオチド、そしてポリメラーゼの一種であるDNA合成酵素(DNAポリメラーゼ)という3つの試薬を使用する。古いタイプのPCR用3温度サーマルサイクラー
最初のステップでは、DNA二重らせんの2本鎖DNAを高温下で変性させ、1本鎖DNAに物理的に分離する。変性が起こる温度は、DNAの塩基構成および長さ(塩基数)によって異なり、一般に長いDNAほど温度を高くする必要がある。
次に、この1本鎖DNAを含む溶液を冷却して、プライマーを一本鎖DNAの相補配列部位に結合させることで、部分的に2本鎖を作らせる(アニーリング)。冷却が急速であると、長いDNA同士では再結合して2本鎖になることは難しいが、短いDNA断片(オリゴヌクレオチド)は容易に結合できることを利用している。この結果、対象とする長い1本鎖DNAの一部にプライマーが結合したものができる。プライマーをDNAよりも圧倒的に多い状況にしておくことで、DNAとプライマーが結合する傾向はDNAとDNAが結合する傾向よりも、さらに優越的になる。