ポケモンショック
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ポケモンショックとは、1997年(平成9年)12月16日火曜日にテレビ東京および系列局(TXN)で放送されたテレビアニメポケットモンスター』(ポケモン)の一部視聴者光過敏性発作等を起こし救急搬送された放送事故事件である。また、事件の影響で本番組の放送がおよそ4カ月間休止という措置が取られた。

ポケモンショック
場所 日本
東京都港区虎ノ門
テレビ東京虎ノ門本社(現・日経虎ノ門別館・テレビ東京神谷町スタジオ)
日付1997年12月16日火曜日 (18:30 - 19:00)
原因ストロボやフラッシングなどの激しい点滅を断続的に見たことによる、光過敏性発作
負傷者651人
対処原因が究明されて再発防止策がとられるまで、『ポケットモンスター』関連の情報を自粛
管轄テレビ東京
日本民間放送連盟(民放連)
日本放送協会(NHK)ほか
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なお、ポケモンショックという名称は俗称であり、その他に「ポリゴンショック」「ポケモンパニック」「ポケモン(ポリゴン)事件」「ポケモン(ポリゴン)騒動」「ポケモン(ポリゴン)フラッシュ」とも呼ばれる。
発端及び原因

発端となったのは、1997年12月16日の18:30 - 19:00にテレビ東京系列で放送されたテレビアニメ『ポケットモンスター』第38話「でんのうせんしポリゴン」である。ビデオリサーチ社による当時の調査によると、本放送回の視聴率関東地区で16.5%、関西地区で10.4%だった。

この回は、主人公サトシたちがコンピュータによるポケモン転送システム内でロケット団が引き起こした事件を解決するため、CGポケモン[注 1]ポリゴン」を使って転送システムの内部に侵入するという内容だった。この回ではコンピュータの世界を表現するために、ワクチンソフトによる攻撃シーン、破損したデータを修復したシーンにパカパカを始めとするエレクトロニックフラッシュやフラッシュなどの激しい点滅が多用された。事件後にテレビ東京が配布した報告書「アニメ『ポケットモンスター』問題に関する記録」によれば、25箇所にわたって1秒間以上連続して使用しており、番組後半の部分に関してはこれらの演出が連続して使用されていたという。特にこの演出が顕著だったのは、ピカチュウの技である「10まんボルト」がワクチンソフトのミサイルを迎撃するシーンである。報告書では、各局の同時ネットにより、4歳から12歳にかけての345万人の視聴者が見ていたと推定され、18時51分34秒[1]から4秒間で106回点滅[2][3]したとされている。

本放送の終了後、放送を見ていた一部の視聴者が体調不良を訴え、病院に救急搬送された。病院に搬送された患者の多くは児童であった。自治省(現・総務省消防庁の調べでは30都道府県の中の651人が病院に搬送され、そのうち130人以上が入院したとされている[4]。患者の症状は主に発作様症状、眼・視覚系症状、不定愁訴、不快気分、失神、頭痛吐き気等であり、原因とされているのは上記の激しい光の点滅を断続的に視聴したことにより引き起こされた光過敏性発作である。

病院に搬送されなかったものの、何らかの影響を受けた児童の総数は数千人に達すると推定されている[5]

一つのテレビ番組を見ていたことで700人近くが病院に搬送されたのは、世界のテレビ史上初の出来事であったとされる[5]
当時の報道

放送直後に本事件の第一報を伝えたのは同日21:59から1分間放送された『NHKニュース』(NHK総合テレビ)であった[6]。その後、同日23:30から放送された『ニュースJAPAN』(フジテレビ系列)でも報じられていた。翌日以降は新聞ワイドショー日本テレビ系列の『ザ・ワイド』、フジテレビ系列の『FNNニュース555 ザ・ヒューマン』他)等といったマスコミで大きく報道されることとなった。なお、いずれの番組でも実際に放送された当該放送分の映像が使われたが、問題になった点滅シーンは二次被害防止のため画面を停止した状態で使われた。

この事件がきっかけとなり、しばらくの間ゲームを含めポケットモンスター全体に対するバッシングが行われた。これについて、アニメ版の第1作から構成脚本で関わっていた脚本家首藤剛志は、その多くが騒動に便乗し、根拠に欠くようなものに感じた、と述べている[7]

しかし、本事件の影響でNHKで1997年(平成9年)3月29日に放送されたアニメ『YAT安心!宇宙旅行』第1期・第25話でも、同様の原因により気分を悪くしていた視聴者がいたことや[4]、各放送局の調べにより、アニメや実写映像等も本事件と同様の危険性を.mw-parser-output ruby.large{font-size:250%}.mw-parser-output ruby.large>rt,.mw-parser-output ruby.large>rtc{font-size:.3em}.mw-parser-output ruby>rt,.mw-parser-output ruby>rtc{font-feature-settings:"ruby"1}.mw-parser-output ruby.yomigana>rt{font-feature-settings:"ruby"0}孕(はら)んでいること、記者会見等の映像で焚(た)かれるカメラのフラッシュでも同症状が発生することが判明、そのためポケットモンスターなどに関するバッシングは次第に終息していった[8]
各所の対応
テレビ東京および系列局の対応

本事件後、テレビ東京は再発防止の対策がとられるまで、特番を含め『ポケットモンスター』関連の放送を全て休止すること、及び『おはスタ』で『ポケットモンスター』関連の情報を調査結果が判明するまで扱わないことが発表された。また、事件翌日の1997年12月17日に放送された『少女革命ウテナ』にて、前日放送分の『ポケットモンスター』の録画視聴を控えるよう注意喚起するテロップが各局別で流された。その翌日の18日に放送された『おはスタ』では、番組の冒頭にメインMCだった山寺宏一が口頭で録画を視聴しないよう呼びかけた。

本事件の翌週以降、本放送枠は大半がアニメ『学級王ヤマザキ』に差し替えられる事態となった。その他にもテレビ東京ではポケモンの関連番組及び関連するコーナーの放送自粛、レンタルビデオ店からアニメを撤去するよう、遅れネットにて放送されるローカル局に当該放送分以外の回も含めて放送を自粛するように要請した。遅れネットでは翌日12月17日に岐阜放送で放送される回が最速となる予定だったが、こちらも差し替え番組が放送された(系列の岐阜新聞の番組表でも差し替えが間に合った)。一部のネット局は別のアニメの再放送・遅れネットやアニメ以外の遅れネット番組を編成した。

1998年4月11日13:00 - 13:55 には、本事件の経緯等を説明する検証番組『アニメ ポケットモンスター問題検証報告』が、テレビ東京系列6局で放送された。また、5日後の4月16日に再放送された。

放送中止となった年末年始特別番組は以下の通り。

情報!ソースが決め手』(12月30日 17:00 - 17:30) - 関連特別番組として「お父さんのためのポケモン講座」と題して放送予定だったが、ポケモンについて扱っていたため内容を同番組の年間総集編に差し替え。

64マリオスタジアム・スペシャル』(12月30日 18:00 - 19:00) - タイトルでは記されていないものの、番組内にポケモンのコーナーがあったため1998年1月18日に延期、代わりに『楽しいムーミン一家』(再放送)が放送された。

『大晦日だよポケットモンスターアンコール』(12月31日 9:00 - 9:54) -こちらも自粛に伴い『モジャ公』(再放送)、『NG騎士ラムネ&40』(再放送)に差し替え。

ミニ番組枠『ポケモンクイズ』 - ミニ番組の枠で放送予定だったもののこちらも自粛に伴い休止。「お年玉付き新春オススメとくばん」に差し替え。

1998年1月1日

1回目・9:54 - 10:00

2回目・13:24 - 13:30

3回目・15:19 - 15:24


1998年1月2日

4回目・13:44 - 13:50

5回目・15:34 - 15:40

6回目・19:24 - 19:30


1998年1月3日

7回目・10:24 - 10:30

8回目・12:54 - 13:00

9回目・13:54 - 14:00

10回目・15:56 - 16:00



『ポケットモンスター・冬のスペシャル』(1998年1月6日 18:30 - 19:30) - 前半は第28話から第39話までの総集編、後半は新作「イワークでビバーク」の特番となる予定だった。

テレビ東京は、日本国外のガイドラインのうち罰則も規定されているイギリスの独立テレビジョン協会のガイドラインを参考に、他局よりも一段と厳しいガイドラインを策定するため、1998年始め早々に調査団を派遣した他、アメリカにも同様の調査団を派遣した。この他に、局内調査はもちろん、外部調査チームの受け入れやアニメチェッカーの開発と導入を行うなど、事件の当事者として最大限の再発防止策をとった。
その他の放送局

再発防止対策として12月18日にNHK(日本放送協会)が「アニメーション問題等検討プロジェクト」を立ち上げ、その際に前述した『YAT安心!宇宙旅行』にて放送後に同様の原因で4人の児童が体調不良を訴えていた事例があったことを明かし、「そのとき原因究明をしていれば、今回の事件は起こらなかったかも知れない」として陳謝した。

NHKおよび日本民間放送連盟(民放連)は1998年4月、「アニメーション等の映像手法に関するガイドライン[9]」を策定。以下の手法をともなう映像表現について強い注意を払うことを各事業者に求めた。
映像や光の点滅、特に「鮮やかな赤」の点滅

コントラストの強い画面の反転や急激な場面転換

規則的なパターン模様の使用

本事件を受けて、NHKは1997年12月18日夜に『クローズアップ現代』で「TVアニメ・パニック?子供たちはなぜ倒れたのか?」と題した緊急特番を放送した[10]。また、NHKは本事案を受け、「日本放送協会国内番組基準」第1章第11項「表現」の中に、「アニメーション等の映像手法による身体への影響に配慮する」という規定を追加、中央放送番組審議会での諮問・答申、NHK経営委員会の議決を経て、1998年5月26日より施行された[11]
政府

厚生省(当時)が「光感受性発作に関する臨床研究班」を発足させたほか、郵政省(当時)も「放送と視聴覚機能に関する検討会」を設置、NHKと日本民間放送連盟(民放連)も共同ガイドラインを策定することで合意した。

郵政省は放送法の目的等に違反したとして、1998年4月5日に放送行政局長名による厳重注意を実施。テレビ東京に対して、ガイドラインの策定など再発防止措置の充実に取り組むよう強く要請した[12]
放送再開

本事件後、アニメの放送再開を希望する声は多く、1998年1月30日までテレビ東京に寄せられた意見3,076件のうち、放送の再開を望む意見は全体の72%を占める2,223件だったという。3月30日にはNHKと民放連のガイドラインが発表される見込みが出てきたこともあり、早ければ4月16日に再開できることも発表。そして放送再開を前に検証番組が放送されることとなった。

4月8日、NHKと民放連は光の点滅などを規定したガイドラインを発表。4月11日午後1時00分から午後2時00分に検証番組「アニメポケットモンスター問題検証報告」がテレビ東京系6局で放送された[注 2]。そしてポケモンは放送枠を火曜日から木曜日のゴールデンタイムに移動し、予定通り4月16日19時に放送再開された。この日は放送再開を記念し新たに書き下ろされた「ピカチュウのもり」と「イーブイ4きょうだい」の2本を1時間枠で連続放送。再開時のビデオリサーチ社による調査で視聴率は16.2%だったという[13]

なお、再開時には番組の冒頭にテレビ東京の矢玉みゆきアナウンサーが番組再開に関するコメントや本事件、放送再開に至る経緯、視聴する際の注意を説明した放送がなされた。その後、順次放送を再開したネット局にも別途収録した別バージョンが配布されたが、ネット局側でも独自に再開を知らせる趣旨のコメントとその局でのガイドラインの説明が挿入された。なお、ネット局の中には当該放送分より前のエピソードで打ち切られて休止となった局もあったが、その次のエピソードから38話までの放送話は全て未放送とした上で全ネット局が「ピカチュウのもり」と「イーブイ4きょうだい」(2週に分割して放映)から放送を再開した。
事件以降の第38話及びキャラクター「ポリゴン」の扱い

放送再開後、アニメではオープニングの一部、またピカチュウの10まんボルトの表現、光の強いシーンは光量が以前より抑えられるなどの修正が施された。また、本事件前の放送回も、後に発売されたビデオ・DVD版、再放送、海外での放送の際には点滅箇所の修正が施されている。しかし、本事件が発生した第38話に限っては修正不能と判断[注 3]され、ビデオ・DVD版・再放送枠およびCSにて放送を行っているキッズステーション及び海外にて放送を行っている放送リストからは完全にカットされ、いわゆる欠番扱いとなっている。現在の『ポケットモンスター』38話目は、前述の放送再開時に最初に放送された「ピカチュウのもり」(話数は第39話)に代替されている。

事件後に、ニャース役の犬山犬子と当時のポケモン制作スタッフとの対談が次世代ワールドホビーフェア'97にて行われ、ニッポン放送犬山犬子のポケモンアワー』で放送された。


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