ボーア=ファン・リューエンの定理
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ボーア=ファン・リューエンの定理(―のていり、Bohr-van Leeuwen theorem)は固体物理学の定理であり、古典物理学を適用する限り、熱平衡にある物質の磁化は0であるという定理である。

これは古典物理学を適用する限り、電子の集団の自由エネルギーは磁場に依存しないことから導かれ、したがって反磁性常磁性強磁性などを説明できないということを意味する[1]。これにより磁性とは量子力学的効果によって始めて説明されることとなる。

ヴァン・ヴレックはボーア=ファン・リューエンの定理を簡潔に「いかなる有限の温度、有限の電場・磁場の下でも、熱平衡にある電子集団の磁化は結局はないに等しい。」と述べた[2]
歴史

今日ボーア=ファン・リューエンの定理として知られている定理は、1911年ニールス・ボーアが発見してその博士論文の中で発表し[3]、その後1919年にH. J. van Leeuwen(英語版)によって再発見されその博士論文の中で発表した[4][5]。1932年、ヴァン・ヴレックは電気感受率と磁化率についての著書の中でボーアの最初の理論を形式化し、拡張した[6]。この定理の発見の重要な点は、古典力学の範囲では反磁性常磁性強磁性などの磁性を説明できず、これらを説明するには量子力学相対性理論が必須であるということである[5]
証明

ボーア=ファン・リューエンの定理は、磁性を説明するには量子力学が必要だと数学的に証明している。

磁場がない状態での電子の運動エネルギーは

p 2 2 m {\displaystyle {\frac {{\boldsymbol {p}}^{2}}{2m}}}

であり、したがってマクスウェル=ボルツマン統計によると分配関数の運動エネルギーに依存する部分は

Z 0 = ∫ − ∞ + ∞ exp ⁡ ( − 1 k B T p 2 2 m ) d p {\displaystyle Z_{0}=\int _{-\infty }^{+\infty }\exp {\left(-{\frac {1}{k_{\mathrm {B} }T}}{\frac {{\boldsymbol {p}}^{2}}{2m}}\right)}d{\boldsymbol {p}}}

である。一方、磁場 B {\displaystyle {\boldsymbol {B}}} によるベクトルポテンシャル A {\displaystyle {\boldsymbol {A}}} 下での運動エネルギーは

p 2 2 m → ( p − e A / c ) 2 2 m {\displaystyle {\frac {{\boldsymbol {p}}^{2}}{2m}}\rightarrow {\frac {\left({\boldsymbol {p}}-e{\boldsymbol {A}}/c\right)^{2}}{2m}}}

へと変化する。しかし分配関数は

Z B = ∫ − ∞ + ∞ exp ⁡ ( − 1 k B T ( p − e A / c ) 2 2 m ) d p {\displaystyle Z_{B}=\int _{-\infty }^{+\infty }\exp {\left(-{\frac {1}{k_{\mathrm {B} }T}}{\frac {\left({\boldsymbol {p}}-e{\boldsymbol {A}}/c\right)^{2}}{2m}}\right)}d{\boldsymbol {p}}}


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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