ボンビーノ・ビアンコ
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「リボラ」はこの項目へ転送されています。リボラの名でも知られている別のイタリアのブドウ品種については「リボッラ・ジャッラ」をご覧ください。

ボンビーノ・ビアンコ
ブドウ (Vitis)
色白
ヨーロッパブドウ
別名トレッビアーノ・ダブルッツォなど (別名節を参照)
原産地 イタリア
主な産地プッリャ州
VIVC番号1533
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ボンビーノ・ビアンコ (Bombino bianco) は、イタリアワイン用白ブドウ品種であり、おもにイタリアのアドリア海沿岸部、とりわけプッリャ州で盛んに栽培されている。このブドウは収量が高い傾向があり、個性の薄いワインを生み出すことが多い[1]。イタリア各地に多くの別名があり、そのなかにはデビット (Debit[2]) やパガデビット (Pagadebit) といったものがあるが、これらはこのブドウが多産で安定しているため、ブドウ園の所有者が毎年の収穫期に必ず借金 (debito) を返済 (paga) できるという評判に由来する[3][4][5]

このブドウの正確な起源は分かっておらず、ワインにかんする初期の文献では、スペインから来たのではないかと推測されていた。現在ほとんどのブドウ品種学者は、このブドウはイタリア南部の土着品種であると考えており、プッリヤがその原産地としてもっとも可能性が高いと思われる。20世紀にDNA型鑑定によって明らかになったのは、ボンビーノ・ビアンコとボンビーノ・ネロ(英語版)は近い類縁関係にあるものの、果皮色の突然変異 (枝変わり) ではなく、それぞれ別個の品種であるということであった。ボンビーノ・ビアンコはトレッビアーノ・トスカーノ (ユニ・ブランの名でも知られる) と共通する別名を多数もつが、両品種に類縁関係はない。また、DNA型を調べた結果、ボンビーノ・ビアンコはプッリャ州オストゥーニ DOC (Ostuni DOC) のインピーニョ種(ドイツ語版) (Impigno) および同州の地場品種であるモスカテッロ・セルヴァティコ (Moscatello Selvatico) の親種である可能性があることも判明した[6]

アブルッツォ州のワイン生産地域では、ボンビーノ・ビアンコは長年トレッビアーノ・ダブルッツォ (Trebbiano d'Abruzzo) (正式名称トレッビアーノ・アブルッツェーゼ (Trebbiano Abruzzese)[7] ) との関連が指摘されていたが、近年になってブドウ品種学者たちは両品種が同一種なのではないかと疑い始めている。1994年以降、デノミナツィオーネ・ディ・オリージネ・コントロッラータ (D.O.C.) では、トレッビアーノ・ダブルッツォDOCの白ワインのブレンド用に使用が認められたブドウ品種として、両ブドウ品種が別個の品種として挙げられている。欧州連合では、ボンビーノ・ビアンコは大量消費用のテーブルワインヴェルモットのほか、レーズンの生産にも使用することが認められている。また、ドイツには安価なスパークリングワイン (ゼクト) のブレンド用品種として輸出されている[6]
歴史デビット (Debit) やパガデビット (Pagadebit) といったボンビーノ・ビアンコの別名は、生産者が毎回の収穫期に必ず「借金 (debito) を返済する (paga) 」ことができるほど、このブドウが悪天候に強く多産であるという評判に由来する。

「ボンビーノ (Bombino) 」という名称はイタリア語で「小さな爆弾 (bomb) 」を意味し、ブドウ品種学者たちはこの名称がボンビーノ・ビアンコの丸い形をした果房に由来すると考えている。かつて一部のワイン専門家の著述において、このブドウの起源がスペインであるという推測がみられたが、現在その説はほとんどのブドウ品種学者によっておおむね度外視されており、ボンビーノ・ビアンコはイタリアの土着品種でプッリャ州の原産である可能性が高いと考えられている[6]

ボンビーノ・ビアンコはイタリアの複数のワイン生産地域で長年栽培されてきたため、多種多様な別名が数多く存在する。エミリア=ロマーニャ州では、栽培者が「借金を返済する」のに使えるほど安定して収穫が見込めるという評判から、このブドウはパガデビット (Pagadebit) の名で知られていた[3]ラツィオ州では、ボンビーノ・ビアンコがオットネーゼ (Ottonese) の名で知られていたが、21世紀初頭にDNA型鑑定によって同一品種であると確認されるまでは、両者はまったく別個の品種であると考えられていた[6]
ブドウ栽培

ボンビーの・ビアンコは晩熟タイプの品種であり、もっとも際立った特徴として、このブドウ樹の産出できる収量が非常に高いことが挙げられる。また、うどんこ病べと病灰色かび病などブドウ栽培におけるたいがいの病害に対してしっかりとした耐性があり、比較的栽培しやすいブドウでもある[6]
他品種との関係ボンビーノ・ビアンコとトレッビアーノ・ダブルッツォ (写真) との正確な関係ははっきりとしていないが、トレッビアーノ・ダブルッツォ DOCのワインには両品種とも使用が認められている。

長年のあいだボンビーノ・ビアンコとボンビーノ・ネロの関係は、ピノ・ノワールピノ・ブラン、あるいはグルナッシュグルナッシュ・ブランと同じように、同一品種における果皮色の突然変異であると考えられていた。しかし21世紀初頭にDNA型を分析した結果、この2品種はおそらく非常に近い類縁関係 (兄弟もしくは親子のいずれか) にあるものの、別個のブドウ品種であることが判明した[6]

同様に、ボンビーノ・ビアンコはアブルッツォ州各地で栽培されているブドウのトレッビアーノ・アブルッツェーゼと同一種であると長らく考えられていた (現地では両品種ともトレッビアーノ・ダブルッツォの別名をもつ) が、DNA型鑑定でも (トスカーナ州コニャックの品種であるトレッビアーノ (ユニ・ブラン) とは類縁関係になかったという以外に) 両者の関係は確定しなかった。その一方で1994年以降、イタリア政府公式のブドウ品種登録およびトレッビアーノ・ダブルッツォDOCの規定において両品種は別々の品種として扱われている[6]

さらにDNA型鑑定によって確認されたのは、ボンビーノ・ビアンコは共通の別名をいくつかもつマルケ州の品種ヴェルディッキオとは類縁関係にないが、ラツィオ州で長年栽培されてきたオットネーゼ種とは同一種であるという点である。また、DNA型鑑定からブドウ品種学者たちは、ボンビーノ・ビアンコがプッリャ州の品種であるインピーニョおよびモスカテッロ・セルヴァティコのおそらく親種にあたることも発見した[6]
ワイン生産地域ボンビーノ・ビアンコはプッリャ州、とくにバーリ県、レッチェ県、フォッジャ県でもっとも栽培が盛んである。

2000年の時点で、ボンビーノ・ビアンコの栽培面積はイタリアにおいて3000ヘクタール近くあり、その大部分はイタリア南部、とくにバーリ県レッチェ県フォッジャ県に集中していた。プッリャ州以外では、このブドウはマルケ州、モリーゼ州、ラツィオ州でみられ、ラツィオ州 (とくにフロジノーネ県) ではオットネーゼの名で知られているほか、エミリア=ロマーニャ州では、D.O.C.認定ワインであるパガデビット・ディ・ロマーニャ (Pagadebit di Romagna DOC) の主体品種となっている。アブルッツォ州では、ボンビーノ・ビアンコはトレッビアーノ・ダブルッツォと歴史的に関係が深く、後者の名を冠するD.O.C.認定の白ワインに入れられていることが多い[6]

かつてボンビーノ・ビアンコは、モリーゼ州のビフェルノ DOCやペントロ・ディ・イセルニア DOC、ラツィオ州のチェルヴェテーリ DOC (Cerveteri DOC) やチェザネーゼ・ディ・オレヴァーノ・ロマーノ DOC (Cesanese di Olevano Romano DOC) およびジェナッツァーノ DOC (Genazzano DOC) 、プッリャ州のグラヴィーナ DOC (Gravina DOC) やレヴェラーノ DOC (Leverano DOC) およびロコロトンド DOCにおいて使用が認められていたが[6][8]、2019年時点のD.O.C.規定では指定から外されているか直接の言及がなくなっている (その多くは「その他の地元産白ブドウ」の枠に移された可能性が高い) 。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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